2022年のU-20アジア年間ベストイレブン [写真]=Getty Images
国際サッカー歴史統計連盟(IFFHS)が2022年のU-20アジア年間ベストイレブンを発表しているので紹介しよう。
IFFHSは、データなどを元に各大陸連盟におけるU-20世代のベストイレブンを発表。いわゆる次世代の“スター候補生たち”を選出したのだ。とはいっても、同部門のUEFA(欧州)ベスト11には既に大舞台で活躍する一流プレーヤーがずらり。ドルトムント所属のイングランド代表MFジュード・ベリンガム(19歳)を始め、スペイン代表でもコンビを組むバルセロナ所属のMFガビ(18歳)とMFペドリ(20歳)など昨年のワールドカップでも代表チームの中心として活躍したタレントが選出された。
さらに、そのワールドカップで大注目を集めることになったクロアチア代表DFヨシュコ・グヴァルディオル(21歳)もベスト11入り。そして前線にはバルセロナのFWアンス・ファティ(20歳)やバイエルン所属のドイツ代表DFジャマル・ムシアラ(19歳)といった才能が名を連ねた。
そんなU-20世代のベストイレブンの「アジア版」はどうなっているのか見てみよう。
[写真]=Getty Images
■GK佐々木雅士(日本) 柏レイソル所属/2002年5月1日生まれ(20歳)
アジア最高の若手ゴールキーパーに選出されたのは、柏レイソルに所属するプロ3年目の20歳だ。クラブ生え抜きの佐々木雅士は、昨年5月にGKキム・スンギュが移籍したことで出番を掴むと、昨シーズンはJ1リーグで20試合に出場して一気に飛躍。今シーズンも守護神としての活躍が期待される。
各年代の世代別代表にも選出されており、昨年はU-21代表として活動。6月に行われたU-23アジアカップではメンバー入りしながらも出場機会がなかったが、その後の親善試合で起用されるなど、GK鈴木彩艶(浦和)やGK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)等と熾烈な定位置争いを繰り広げている。というわけで、アジアの若手ベストキーパーは2024年のパリ五輪を目指す柏のショットストッパーだ。
■CBチェイス・アンリ(日本) シュトゥットガルト所属/2004年3月24日生まれ(18歳)
今回のベストイレブンには日本から2選手が選ばれた。それがGK佐々木雅士とDFチェイス・アンリである。尚志高校で全国高等学校サッカー選手権大会に出場して優秀選手に選ばれたチェイス・アンリは、卒業後にJリーグではなくドイツのシュトゥットガルトに入団。今シーズンは、トップチームでの出場こそないがドイツ4部に所属するシュトゥットガルトのセカンドチームで定期的に試合に出て経験を積んでいる。
187㎝の高さと圧倒的な身体能力を活かした対人守備、さらにはセットプレー時の攻撃にも期待が寄せられるセンターバックは、既に飛び級でU-21日本代表でも活躍している。前述のU-23アジアカップでは4試合に出場してチームの3位に貢献した。このまま欧州で研鑽を積み、来年のパリ五輪ではチームの中心として世界の頂点を狙うだろう。
■右SBジョシュア・ローリンズ(オーストラリア) ユトレヒト所属/2004年4月23日生まれ(18歳)
右サイドバックに選出されたのはオーストラリアU-23代表のジョシュア・ローリンズ(18歳)だ。オーストラリアのパース・グローリーでキャリアを歩み始めたローリンズは、2020年11月に16歳でプロデビュー。アジアチャンピオンズリーグの最年少記録となる「16歳272日」でピッチに立った。その後、昨年7月にオランダのユトレヒトに移籍すると、今季は同クラブのセカンドチーム(オランダ2部)で定期的に試合に出ている。パリ五輪の予選も兼ねている2024年U-23アジアカップでは日本の好敵手になりそうだ。
■CBジャッセム・ガベル(カタール) アル・アラビ所属/2002年2月20日生まれ(20歳)
チェイス・アンリと共にセンターバックで選出されたのはカタールの若手DFジャッセム・ガベルだ。同国の名門アスパイア・アカデミー出身のガベルは、2019年から所属するアル・アラビで17歳から試合に出ており、母国開催となった昨年のワールドカップでも出番こそなかったがカタール代表に選出されていた。今回唯一、2021年版に続いて2年連続での『IFFHSアジアU-20ベストイレブン』選出となった。
■CBジョーダン・コートニー・パーキンス(オーストラリア) ブリスベン・ロアー所属/2002年11月6日生まれ(20歳)
最終ラインの最後の1人は、センターバックと左サイドバックをこなすオーストラリアの若手が選出された。ブリスベン・ロアーの最年少記録となる「16歳276日」でプロデビューを果たしたコートニー・パーキンスは、2021年6月にポーランドのラクフへ移籍。リーグ戦の第2節に初出場を果たしたが、その後は出番が限られたためローン移籍。今季は古巣ブリスベン・ロアーに戻って左ウィングバックなどで活躍している。
■MFキャメロン・パーピオン(オーストラリア) ブライトン所属/2002年9月23日生まれ(20歳)
今回のベスト11にはオーストラリアから最多3名が選出されており、その3人目が日本代表MF三笘薫のチームメイトでもあるブライト所属のパーピオンだ。シドニーFCでキャリアをスタートさせたパーピオンは、2020年にブライトンのアカデミーに加入。今のところプレミアリーグでの出番はないが、今季8月のリーグカップで遂にトップチームデビューを果たした。ウィングやトップ下など、様々なポジションをこなせるMFは今後が楽しみな若い才能だ。
■MFアレクサンダー・アオラハ(イラク) QPR所属/2003年1月17日生まれ(20歳)
イラク人の父の元、ロンドンで生まれ育ったアオラハは、イングランド2部のQPRで研鑽を積んでいる。同クラブのアカデミーを経て、現在はU-21チームに所属しながら、たまにトップチームの練習に参加している。守備的MFやセントラルMFを任されることの多いアオラハは、昨年6月のU-23アジアカップにも出場すると、昨年11月にはA代表デビューまで果たした!
■MFジャスールベク・ジャロリディノフ(ウズベキスタン) ロコモティフ・タシュケント所属/2002年5月15日生まれ(20歳)
国内の強豪ブニョドコル時代にはウズベキスタン・スーパーリーグの最年少記録となる「16歳80日」でゴールを決めた若きタレント。2020年にロシアのロコモティフ・モスクワに引き抜かれたが、現在は母国ウズベキスタンに戻ってロコモティフ・タシュケントに所属している。母国開催となった昨年6月のU-23アジアカップでは、主将として出場して大会最多タイの3ゴールを決めてウズベキスタンの準優勝に貢献した。
■FWオム・チソン(韓国) 光州FC所属/2002年5月9日生まれ(20歳)
今回のベスト11で唯一、韓国から選出されたのがFWオム・チソンだ。若きウィンガーは、2022年シーズンにKリーグ2(韓国2部)で28試合に出場。9ゴールを叩き出して光州FCの1部復帰に貢献した。昨年4月の試合ではサイドからカットインして豪快なシュートを決め、それがKリーグ2の年間ベストゴールの8位に選ばれた。2019年のU-17ワールドカップにも出場したオム・チソンは、昨年1月に19歳にしてA代表デビューも果たしており、今後の飛躍が期待される。
■FWアブドゥラー・ラディーフ(サウジアラビア) アル・タアーウン所属/2003年1月20日生まれ(20歳)
サウジアラビアの期待の若手もベスト11に選出された。国内の名門アル・ヒラルでキャリアを歩み始めたアブドゥラー・ラディーフは、2021年12月に若手主体で臨んだアラブカップでA代表デビュー。その後は世代別代表でプレーしており、昨年9月にはU-20アジアカップ予選で5ゴールを量産して本選出場権の獲得に貢献した。今シーズンは、経験を積むためにアル・ヒラルからアル・タアーウンにローン移籍している。
■FWハリブ・アブダラー・スハイル(UAE) シャバーブ・アル・アハリ所属/2002年11月26日生まれ(20歳)
ベスト11の最後の1人は、既にUAEのフル代表でも活躍しているウィンガーだ。元UAE代表DFを父に持つスハイルは、昨年のワールドカップ・アジア予選でも活躍。3次予選の最終節となった韓国戦では、DFラインの裏に抜け出して得意の左足で冷静に流し込んで決勝ゴールをマーク。6月に開催されたアジア予選プレーオフのオーストラリア戦でも1アシストを記録したが、残念ながらチームは1-2で敗れてワールドカップ出場を逃した。スピードとテクニックを併せ持つ注目のタレントだ。
(記事/Footmedia)
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