[写真]=韓国プロサッカー連盟
即戦力を多数補強したものの……
Jリーグと同じく2月に開幕した韓国Kリーグ1(1部)では、第7節終了時点で蔚山現代が首位を走っている。
元浦和レッズの江坂任らが新加入した前年度王者は、第7節で初黒星を喫する以前まで開幕6連勝に成功するなど、2連覇に向けて順調なスタートを切った状態だ。
一方、その蔚山現代の“絶対的ライバル”である強豪チームが、シーズン序盤から大不振に陥っている。2017~2021年までの5連覇含め、史上最多9回のリーグ優勝を誇る全北現代モータースのことだ。
現在、全北現代の順位は2勝1分4敗の勝ち点7で12チーム中9位。前出の蔚山現代は6勝1敗で勝ち点18としているため、すでに首位と11ポイントも離されてしまっている。
シーズン前には湘南ベルマーレに完全移籍したソン・ボムグンをはじめ、キム・ボギョン(水原三星ブルーウィングス)やモドゥ・バーロウ(アル・アハリ・サウジ)など主力選手の退団はあった。
それでも、蔚山現代の優勝に貢献した天野純を横浜F・マリノスから期限付き移籍で獲得し、浦和レッズ時代にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)優勝を経験したラファエル・シルバも獲得するなど、攻撃陣を中心に即戦力を多数補強。2年ぶりの王座奪還へ盤石な準備を進めていたはずが、いざ開幕してからは低迷が続いている。
影を潜める“タッコン”スタイル
下位に沈む最大の要因は、攻撃陣の不振だ。全北現代は伝統的に“タッコン”(「ひたすら攻撃する」という韓国語の略語)と呼ばれる攻撃的スタイルで相手を圧倒するサッカーを駆使してきたが、現時点で総得点数はワースト2位の7ゴール。総シュート数はリーグ全体8番目(78本)と低く、枠内シュート数も全体の37パーセントに相当する29本のみと、そもそも得点チャンスにまで至っていないのが現状だ。
こうした深刻な低迷ぶりにサポーターの不満も爆発。試合中には監督や代表取締役の辞任を要求する横断幕、コールで抗議する“応援ボイコット”を行い、とあるホームゲームの敗戦後にはバスを囲んで監督に怒号を浴びせるなど、チームとサポーター間の溝も深まっている。
今月末には浦和対アル・ヒラルのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝が控えているが、浦和とファイナリストの座をかけて準決勝で対戦したのが全北現代だった。
当時、全北現代は敵地の埼玉スタジアム2002でPK戦までもつれる死闘を演出。観客席の四方を浦和ファン・サポーターが埋め尽くす完全アウェイのなかでも、最後まで諦めずに戦った彼らの姿を覚えている人も多いはずだ。
全北現代はクラブ史上初めて優勝した2009年以降、昨季まで14年連続でトップ3フィニッシュを果たしてきた。まだ今シーズンも序盤戦なだけに、今後の巻き返しを期待したいところだ。
文=姜 亨起(ピッチコミュニケーションズ)