ライプツィヒは6日のヘルタ戦で勝利し、トップ3を確定させた [写真]=Bongarts/Getty Images
ブンデスリーガ1部初挑戦のライプツィヒが、2試合を残してトップ3が確定し、クラブ史上初のチャンピオンズリーグ(CL)本戦出場権を手にした。リーグ中にもかかわらず水曜日まで休暇を与えられるなど、お祭り騒ぎのをしているが、そもそも果たしてCLに出場できるのだろうか?
大手飲料メーカー『レッドブル』の莫大な資金を元手にドイツサッカー界に旋風を起こしているライプツィヒだが、UEFA(欧州サッカー連盟)のファイナンシャル・フェアプレーの規定に違反しているのではないか、という疑問が常について回っている。同じくレッドブルがスポンサーを務める、FW南野拓実の所属するザルツブルクもオーストリア・ブンデスリーガ4連覇が迫っており、来シーズンのCL出場権獲得が決定的だからだ。
問題になっているのは、「競技を健全のものにするために、同一の出資者が2つ以上のクラブに『決定的な影響を与えて』はならない」という規定。UEFAはシーズン終了後に最終決定を下すようだが、この点に関してドイツ誌『シュポルト・ビルト』はすでに3月から調べ始めていた。
この規定にある「決定的な影響」の詳細は、クラブの総収入の30パーセント以上を出資している場合だ。つまり、レッドブルがザルツブルクとライプツィヒ、両クラブの総収入の30パーセント以上を捻出している場合、この規定を違反していることになる。
だが、用意周到なレッドブルグループはこの点に関しても、すでに対策を練っていた。というのも、レッドブルの会長であるディートリッヒ・マテシッツ氏の投資額は、ザルツブルクの総収入の30パーセントに及ばないからだという。
そのからくりはこうだ。マテシッツ氏およびレッドブルがライプツィヒに投資し、その資金でザルツブルクの選手を獲得する。つまり、ザルツブルクへの直接的な出資ではなく、ライプツィヒによる選手獲得の正規手続きを経由することで、ルールに抵触しないようになっているようだ。
さらに、UEFAはクラブが3000万~4500万ユーロ(約37億〜約56億円)まで出資者による赤字の補填をすることを認めており、仮にライプツィヒがこの額を超えた場合は、「登録選手の制限」あるいは「今夏獲得した選手の欧州カップ戦への登録禁止」、もしくはその両方というペナルティになると『シュポルト・ビルト』誌は予測している。
ライプツィヒは今シーズンの選手獲得に約6000万ユーロ(約74億円)を費やしており、そのうちの3200万ユーロ(約40億円)がザルツブルクからの選手獲得だ。ザルツブルクもエースのスペイン人FWジョナタン・ソリアーノを中国に放出したことなども含めると、「この数年間での移籍金による収入は1億ユーロ(約124億円)を超えています」とスポーツ・ディレクターのクリストフ・フロイント氏は言う。この言葉を信用すれば、かなり長期的にプランを練っていたようで、今後ますますマテシッツ氏やレッドブルの投資額と公式に換算される比率は下がっていくだろう。
ドイツ国内では成金や金満というネガティブなイメージで他クラブのファンから攻撃の的になっているが、こういったクールなまでのプロフェッショナルな隙のなさが他クラブの反感を買い、嫉妬の対象となっているのかもしれない。
By サッカーキング編集部
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