3月から中断していたチャンピオンズリーグが8月7日に再開する [写真]=Getty Images
おそらく、今回ほどチャンピオンズリーグ(CL)の再開を待ちわびたことはないかもしれない。コロナ禍による中断期間は約5カ月に及んだし、何より、残りのゲームを視聴できない可能性が取り沙汰されたからだ。
再開まであと10日に迫った7月28日のことだった。アメリカの大手メディア『Bloomberg』が、新型コロナウイルスによるスケジュールの変更などを理由にアジアでの放映権契約が早期解除される可能性を報じると、「日本でCLを視聴できないの?」といった懸念の声がSNS上を中心に広がった。それからまもなく、DAZNが決勝まで予定通り配信すると発表したことで一件落着となったが、これまで経験したことのないような不安を感じたサッカーファンは少なくなかったはずだ。裏を返せば、それほど多くのファンに待ち望まれる大会がCLと言える。
兎にも角にも、世界最高峰の戦いが再び幕を開ける。8月7日、8日からリスタートを迎え、まずは未消化となっていた決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)セカンドレグの4試合が行われる。
ただ、ずいぶんと久しぶりのCLである。中断前最後のゲームは、3月11日に行われたリヴァプール対アトレティコ・マドリード(と、パリ・サンジェルマン対ドルトムント)だった。ご存知のとおり、前回王者の敗退が決まった試合である。あれからCLは止まったまま。いざ「再開」と言われても、遠い昔の話のように思うファンもいるのではないだろうか。
2019-20シーズンのCLは一体どんな大会だったのか。リスタートを前にここで振り返ってみたい。
■ベスト16の顔ぶれは順当? それとも…
今大会を象徴するトピックと言えば、ラウンド16が欧州5大リーグのクラブで占められたことだろう。これは史上初めての出来事である。
昨シーズン、優勝候補を次々と破って4強入りを果たしたアヤックス、今大会のグループステージ(GS)でリヴァプールと激闘を演じたザルツブルクらは決勝ラウンドに勝ち進めず。一方でイングランド勢(リヴァプール、トッテナム、マンチェスター・C、チェルシー)とスペイン勢(バルセロナ、レアル・マドリード、アトレティコ・マドリード、バレンシア)は全4チームがGSを突破。ドイツ勢、イタリア勢、フランス勢も、それぞれ1チームを除いた全出場チームが16強への切符を掴んだ。
CLを主催するUEFA(欧州サッカー連盟)は、欧州カップ戦における直近5シーズンの成績をもとに「UEFAクラブランキング」を発表しているが、決勝ラウンドに勝ち進んだ16チームのうち13チームが同ランキングでトップ20に入っている(8月5日現在)。トップ20圏外は、バレンシア(27位)、ライプツィヒ(32位)、アタランタ(50位)の3クラブだけ。欧州大会ではお馴染みのクラブが決勝ラウンドに顔をそろえたというわけだ。
この結果を受けて、「大方の予想通りの展開」や「サプライズなき大会」と見る向きもあったが、これらの意見が正しいのは半分だけだろう。驚きがなかったわけではないからだ。
■大会を盛り上げる2クラブ
その筆頭格が、初出場ながらベスト8進出を果たしたアタランタだろう。GSでは開幕3連敗スタート。絶体絶命の窮地に陥りながら、その後の3試合を2勝1分けの無敗で終えて16強入りを果たした。3連敗スタートからの決勝ラウンド進出はCL史上初めてのこと。“プロビンチャーレ(=地方クラブ)の星”は大会史に残る偉業を成し遂げた。
また2度目の出場となったライプツィヒも、初めて決勝トーナメントに進出。就任1年目のユリアン・ナーゲルスマン監督は、GS首位通過を果たした史上最年少監督(当時32歳)となった。指揮官のみならず、スカッドの平均年齢も25歳を下回るほど若く、大会に新風を吹き込んだ。
ラウンド16でも、アラタンタは強豪バレンシア、ライプツィヒは昨季の準優勝チームであるトッテナムを相手に2連勝。2戦合計スコアはアタランタが8-4、ライプツィヒが4-0と、いずれも4点差をつける圧勝で、悠々とベスト8の舞台にたどり着いた。
準々決勝では、アタランタがフランス王者にして、世界でも指折りの”金満クラブ”であるパリ・サンジェルマンと対戦。ライプツィヒは、過去6シーズンで2度の準優勝を誇るアトレティコ・マドリードと相まみえる。CLにおける実績は天と地ほどの差があるものの、チームとしての攻撃力や組織力は互角と言っても過言ではない。好対照なクラブ同士の激突はファンならずとも注目だろう。
なお、準々決勝以降の組み合わせはすでに決定しており、上記4クラブがトーナメント表の同じ“山”に入った。つまり、彼らのうち1クラブが決勝への切符を掴むことになる。アタランタが「初出場にして初優勝」という快挙を成し遂げる可能性はゼロではないし、欧州制覇を悲願の目標とするパリ・サンジェルマンとアトレティコ・マドリードにとっては、願ってもないチャンスになる。ビッグイヤーへの渇望はこれまでにないほど高まっているはずだ。
対照的にもう一つの“山”は、優勝候補が居並ぶ激戦区となった。マンチェスター・C、ユヴェントス、バルセロナ、バイエルンと昨シーズンの各国王者が集結し、彼らの対戦相手もレアル・マドリード、リヨン、ナポリ、チェルシーと欧州大会の常連クラブばかりである。
2月末に行われたラウンド16ファーストレグで大きなリードを奪ったのは、敵地でチェルシーを3-0と一蹴したバイエルンだけ。レアル・マドリード対マンチェスター・Cは1-2、リヨン対ユヴェントスは1-0、そしてナポリ対バルセロナは1-1と、僅差、もしくはタイスコアでの折り返しとなった。セカンドレグでの逆転劇も十分に期待できるだろう。
■異例の超短期決戦
準々決勝からはポルトガルのリスボンで集中開催され、各ラウンドは一発勝負のシングルレグで行われる。そのため、“180分の戦い”を堪能できるのも、ラウンド16ならでは。無観客での開催になるとはいえ、1つのゴールで勝者と敗者が瞬時に入れ替わる――あの緊張感を味わえるのもラウンド16の醍醐味のひとつだ。
そして、いざ再開すると、あっという間に終わりを迎えるのも今大会の特徴である。7日に再開してから23日の決勝戦が行われるまで、わずか17日間で11試合をこなす。まさに“超”がつくほどの短期決戦だ。ハードすぎるスケジュールだけでなく、夏の過酷なコンディションのなかでプレーする選手たちにとっては前代未聞の戦いだが、だからこそ、予想もしないようなドラマが生まれるかもしれない。“見る側”にとっても、真夜中の連戦に臨むのは簡単なことではないが、きっとシビれる瞬間に立ち会えることだろう。
異様で、特別な、シーズンのクライマックス。“欧州最強”の座に輝くのは、果たしてどのクラブなのか。間違いないのは、死闘、激闘、熱闘が連日繰り広げられるということ。このCLを見ずして、今年の夏は語れない。
(記事/Footmedia)
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By Footmedia