いよいよ今週、待ちに待ったチャンピオンズリーグ(CL)の決勝トーナメントが開幕する。ラウンド16(決勝トーナメント1回戦)では、いきなりライプツィヒvsレアル・マドリードやパリ・サンジェルマン(PSG)vsレアル・ソシエダといった好カードが用意されている。
昨シーズンはジョゼップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティがクラブ創設143年目にして初めて欧州の頂に立ったが、今シーズンの決勝トーナメントはどんな戦いが繰り広げられるのだろうか? CLは来シーズンからフォーマットが大幅に変更され、本選参加チーム数が32から36に増加する。そしてグループステージが廃止となり、36チームが1つのリーグに所属する「リーグステージ制」が導入され、今までのホーム&アウェイではなく8チームと1度ずつ対戦する“スイス方式”が採用される。
それでは、現行フォーマットでの“ラストシーズン”となるCLのタイトルの行方を展望しよう。
[写真]=Getty Images
■混戦模様?
大会連覇を目指すマンチェスター・シティだが、イングランド勢にとっては厳しいシーズンとなっている。今シーズンのグループステージでは、マンチェスター・ユナイテッドが格下と見られていたデンマークのコペンハーゲンに後れを取ってまさかの敗退。ニューカッスルと共にグループ最下位で姿を消した。
マンチェスター・シティとアーセナルは危なげなく首位通過を果たしたが、イングランド勢がベスト16に2チームしか残れなかったのは2012-13シーズン以来のこと。当時はマンチェスター・シティとチェルシーがグループステージで敗退し、決勝トーナメントに勝ち上がったアーセナルとマンチェスター・ユナイテッドもラウンド16で敗れ去った。
プレミアリーグ勢の不振により、CLの覇権争いは混沌と化すようだ。イングランド勢は過去6シーズンのうち5シーズンで必ず1チームは決勝まで駒を進めており、2018-19シーズン(リヴァプール 2-0 トッテナム)と2020-21シーズン(チェルシー 1-0 マンチェスター・シティ)に至ってはイングランド勢同士のファイナルとなった。そのためブックメーカー『William Hill』を見ると、今シーズンも国別のCL優勝オッズではイングランドが「2倍」で最有力。しかし、わずか2チームしか勝ち上がっていないこともあり、イングランドが飛び抜けているわけではない。
2番手はバイエルンなど3チームをベスト16に送り込んだドイツで「3.4倍」。続いてグループステージ敗退のセビージャを除く4チームが首位通過を果たしたスペインが「3.75倍」となっている。さらにイタリアの「12倍」、PSGだけが勝ち上がったフランスの「15倍」と続く。ちなみに、欧州5大リーグ以外のクラブ(ポルト、PSV、コペンハーゲン)の優勝オッズは「67倍」となっている。
チャンピオンズカップ時代から数えた国別の優勝回数を見ると、レアル・マドリード擁するスペイン勢が最多となっている。レアル・マドリードの14回とバルセロナの5回を合わせた合計19回だ。その後はイングランド勢の15回で続いており、リヴァプール、ユナイテッド、チェルシー、ノッティンガム・フォレスト、アストン・ヴィラ、そして昨シーズンのマンチェスター・シティと、最多6クラブが頂点に輝いた経験を持つ。
■シティの優勝確率は30%以上?
前述通り、優勝候補の本命はマンチェスター・シティだ。過去3シーズンで2度もファイナルに勝ち上がった同クラブは、昨シーズンの決勝でインテルを1-0で退けて悲願の欧州制覇を成し遂げた。1992年に現行方式のCLに変更となって以降、31年間で連覇を果たしたのはレアル・マドリード(3連覇)だけ。極めて連覇が難しい大会だが、それでもマンチェスター・シティが最も頂点に近いのは明らかだ。『William Hill』の優勝オッズは「3倍」となっており、バイエルンの5倍を抑え優勝候補筆頭と見られている。
しかも、そのオッズは今後さらに下がっていくことだろう。シーズン前半戦こそ故障者を出してつまずいたマンチェスター・シティだが、ここのところはチームに勢いが戻ってきている。12月に参加したFIFAクラブワールドカップ準決勝で浦和レッズを3-0で退けて以降、マンチェスター・シティは公式戦10連勝中。プレミアリーグ開幕戦でハムストリングを負傷したベルギー代表MFケヴィン・デ・ブライネが今年に入って復帰すると、6試合で1ゴール・5アシストとさすがの創造性を発揮している。そしてエースのノルウェー代表FWアーリング・ハーランドも1月末に足の甲のケガから復帰すると、今月10日に行われたエヴァートン戦で昨年11月以来となるゴールを決め、2得点でチームを勝利に導いた。
ようやく二人の主役が復活したことで、グアルディオラ監督も「我々は彼らが不在でも上位につけていたし、彼らが戻ってきたことでチームがさらに強くなったのは明らかだ」とご満悦だ。直近のエヴァートン戦では、85分にデ・ブライネのパスからハーランドが持ち込んで勝負を決定づける2点目をマーク。デ・ブライネのアシストからハーランドが得点するのは昨シーズンの開幕から数えて通算12回目だという。昨シーズンは11ゴールも生み出した黄金コンビだが、今季は公式戦36試合目にしてようやく初ゴールを生み出した!
代表戦もあり多忙を極める両選手は、夏の休暇でも完全に疲労が抜けていなかったそうだ。しかし、ハーランドは2カ月、デ・ブライネは5カ月も負傷で離脱したことで、指揮官も「彼らはフレッシュだ」と期待を寄せる。そのマンチェスター・シティはクジ運にも恵まれている。ラウンド16の組み合わせ抽選会では、最も力が劣るとされるコペンハーゲンを引き当てた。データ会社『Opta』のスーパーコンピュータによると、彼らの優勝確率はコペンハーゲンを引き当てたことで「3.22%」も上昇。1万回のシミュレーションの結果、マンチェスター・シティが優勝する確率は現在「31.85%」となっており、2番手のレアル・マドリード(14.74%)の倍以上となっている。ちなみにマンチェスター・シティは「93.57%」の確率でコペンハーゲンを退けて8強に進むと見られており、決勝まで勝ち上がる確率も「49.86%」と他を圧倒している!
マンチェスター・シティとレアル・マドリードに次ぐ優勝確率の3番手はインテル(12.48%)だ。そしてバイエルン(10.72%)、アーセナル(7.13%)、PSG(5.78%)と続くが、果たしてどのような結末が待っているのか? 現行フォーマットでの“ラストシーズン”となるCLに注目したい。
(記事/Footmedia)
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By Footmedia