右がジョン・テクスター氏[写真]=Getty Images
11月30日にコパ・リベルタドーレス2024決勝が行われ、かつて元日本代表MF本田圭佑らがプレーしたブラジルの名門ボタフォゴが、アトレチコ・ミネイロに3-1で勝利し、南米王者に輝いた。そして、ボタフォゴの成功の裏にはアメリカ人オーナーのジョン・テクスター氏の存在があると、同日ブラジルメディアの『フォーリャ・デ・サンパウロ』など複数メディアが報じた。
現在59歳のテクスター氏はアメリカの中産階級に生まれ、10代の頃はスケートボード選手として「(同競技の伝説的な選手)ロドニー・ミューレンに匹敵する唯一の選手」と評されるほどの存在だった。しかし、負傷によりスケートボードの道を諦め、ビジネスの道に進む。
テクスター氏は運営する会社のバーチャルリアリティ(コンピューターで製作された仮想空間を現実のように投影する)技術が『タイタニック』、『パイレーツ・オブ・カリビアン』などの映画で使用されるなど「ハリウッドの仮想現実の第一人者」と呼ばれる存在に。その後も、スポーツを配信するプラットフォームの『fubo tv』をなど複数のビジネスで成功を収めた。
そんなテクスター氏はサッカービシネスにも進出。2021年には当時カンピオナート・ブラジレイロ・セリエB(ブラジル全国選手権2部)を戦い、多額の負債を抱え破産寸前と言われたボタフォゴの買収に動く。そして、チームがカンピオナート・ブラジレイロ・セリエA(ブラジル全国選手権1部)に復帰した2022年1月にオーナーに就任。積極的な投資と優れたスカウト及びマネージメント体制を構築した。
昇格1年目の2022年にはセリエAの11位となりコパ・スダメリカーナ出場権を獲得すると、翌2023年はセリエAの前半戦で15勝2敗2分けの勝ち点47とし、2位と勝ち点差「13」をつけ首位を独走。しかし、リーグ後半戦になると3勝8敗8分けの勝ち点17と大失速して、優勝したパルメイラスに勝ち点差「6」を付けられた5位でリーグ戦を終えることになった。
そして迎えた2024年、テクスター氏は「ブラジルでは結果が操作されている。特に、パルメイラスが有利になるように恩恵を受けている」と、前年のボタフォゴの失速は意図的に作り出されたものだと主張して物議を醸しつつも、チームは躍進。そして今回コパ・リベルタドーレス2024で優勝を果たし、更にはセリエAでも残り2節を残しパルメイラスと勝ち点差「3」をつけ首位に立っており、国内タイトルとの2冠を獲得する可能性を残している。
なお、テクスター氏はボタフォゴに加え、日本代表MF鎌田大地が所属するクリスタル・パレスの共同オーナー、元FC東京MF安部柊斗が所属するチャレンジャー・プロ・リーグ(ベルギー2部)のRWDモレンベーク、リヨンのオーナーも務めている。ボタフォゴでは成功を収めている一方、リヨンでは約5億ユーロ(約800億円)の財務負債を抱えており、11月にはそれを理由にフランスサッカー経営管理総局(DNCG)から2025年1月の移籍市場における補強禁止処分と賃金制限を科された。今後、財務状況が改善されない場合は2024-25シーズン終了後のリーグ・ドゥ(2部)降格となる暫定処分を受けている。
By サッカーキング編集部
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