ダンディー・Uへの移籍が難航している川島 [写真]=Getty Images
スコットランド1部のダンディー・ユナイテッドが、日本代表GK川島永嗣との契約で双方合意に達したと報じられてから1カ月あまりが過ぎたが、一向に動きがない状態が続いている。
理由は英国の内務省が「ワークパーミット(労働許可証)」をまだ発行していないから。イングランド、スコットランドなど英国のリーグでは、EUおよびEFTA加盟国のパスポートを持たない選手はこの許可証がないと就労ビザが下りないため、プレーをすることができない。それどころか、試合と同じく“労働”にあたるチーム練習にも参加が許されないのだ。
欧州サッカー界でも英国特有のシステムだが、これはリーグというより国のルールに則ったものだ。ごくごく簡単に言えば、英国政府が国外からの移住者を制限し、自国民の働き口が減らないようにするのが目的。そのため、サッカー選手に限らず英国の就労ビザ取得は審査が厳しく、基本的に受け入れは“英国の成長に貢献できる優秀な人材”に限られる。(※英国も加入しているEUでは加盟国間の「自由移動」が協定で保証されているため、EU市民は許可証なしで自由に就労が可能)
サッカー界でも、「EU圏外からは優秀な人材のみ受け入れる」という国の基本原則に従ってイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドのサッカー英国4協会がルールを作り、政府の承認を得て、非EU選手がプレーする条件を定めている。
現在、イングランドのFAが定めている条件は以下。
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■出身国の過去2年間のFIFAランキングが平均50位以上であること
■過去2年間に行われたフル代表の公式戦出場率が以下を満たすこと(21歳以下の場合、過去1年間)
FIFAランク1位〜10位:30%以上
FIFAランク11位〜20位:45%以上
FIFAランク21位〜30位:60%以上
FIFAランク31位〜50位:75%以上
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これは今年5月から新たに採用された新規定である。それまでは「FIFAランク70位以上」「直近2年間の代表戦75%以上の出場」で、こちらを聞いたことがある人も多いはずだ。しかし、自国選手の成長を促すべくFAが改訂に踏み切った。
なお、スコットランドなど他協会もイングランドの新基準に合わせる方向だが、2015-16シーズンのスコットランドFAのレギュレーションを見るとの旧基準(70位以上/75%以上)のままになっているため、まだ変更されていないようだ。
さらに、若手選手などで上記の条件を満たしていない場合でも、英国サッカー界への貢献が期待できる「exceptional talent(優れた才能)」があると専門の委員会が認めた場合には許可が下りる。たとえば、アーセナルで言えばかつての宮市亮や、昨冬に加入したブラジル人DFガブリエウ・パウリスタなどがそうだ。彼らは当時フル代表選手ではなかったが、アーセン・ヴェンゲル監督の“推薦状”がモノを言って特例が認められたと言われている。
しかし、一方でヴェンゲルは10代だった当時のアンヘル・ディ・マリアをアルゼンチンから連れてこようとして労働許可が下りなかったことを明かしている。
日本人選手を見ても、“ワークパーミットの壁”に阻まれた例は多い。宮本恒靖のウェストハム移籍(2001年)、三都主アレサンドロのチャールトン移籍(2002年)、家長昭博のプリマス移籍(2009年)などが、労働許可証の問題で“内定”から一転、破談になった。最近では2012年に前田遼一がウェストハムからオファーを受けたが、こちらもビザの問題がネックとなり、契約に至らなかったと報じられた。
日本人に限らず、世界各国で労働許可証が下りずに英国でのプレーを断念した例は山ほどある。
ダンディー・Uは、川島の労働許可証の発行を求め、すでに内務省に必要書類を提出している。しかし、何らかの理由でそれが処理されていない状態だ。その理由は、同クラブのミクス・パーテライネン監督にもわからないという。
「滑稽だよ。書類は内務省にある。きっとどこかの机に山積みにでもなっているのだろう。早く届くことを願わなければいけない」
指揮官はそう怒りを露にする。それもそのはず、川島との合意後に契約した労働許可が不要な元フランス代表FWフローラン・シナマ・ポンゴル、フランス生まれの元コートジボワール代表DFギー・デメルはすでにチームに合流しているのだから、苛立つのも当然だろう。
チーム練習参加も許されない川島について「彼は公園を走り、ジムに通っている。彼は我々のためにプレーし、日本代表に復帰したがっているのでフラストレーションを感じている」と同情を寄せるパーテライネン監督。だが、最終的には彼が言うように“お役所仕事”を「座って待つことしかできない」のである。
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By サッカーキング編集部
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