(左から)マティプ、イブラヒモヴィッチ、ノリート、ポグバ [写真]=Liverpool FC via Getty Images,AMA/Getty Images
2016年夏の欧州移籍市場が終了した。
イギリス紙『デイリーミラー』によると、プレミアリーグ20クラブが費やした移籍金額は史上最高の総額10億ポンド(約1360億円)に達し、マンチェスター・Uがフランス代表MFポール・ポグバ獲得のためにユヴェントスへ支払った9000万ポンド(約122億円)が移籍金世界最高額となるなど、記録的移籍が続いた。
毎年の風物詩ともなっている期限最終日の駆け込み補強では、パリ・サンジェルマンからブラジル代表DFダヴィド・ルイスが3シーズンぶりにチェルシーに戻ったほか、アーセナルで負傷続きのイングランド代表MFジャック・ウィルシャーが格下ボーンマスへ、マンチェスター・Cの同国代表GKジョー・ハートがトリノへそれぞれレンタル移籍するなどのサプライズもあった。
選手の補強と放出に生じた移籍金の差額が最も支出に傾いたクラブは、1位からマンチェスター・C(1億6200万ポンド=約220億円)、マンチェスター・U(1億5200万ポンド=約206億円)、チェルシー(8500万ポンド=約115億円)、となっており、奇しくもリーグ3節を終えた時点でこの3チームのみが3戦全勝という結果を出している。
一方、7月から2カ月間で選手の移籍金から最も黒字を出したのは、日本代表DF吉田麻也が所属するサウサンプトンの2036万ポンド(約27億6000万円)で、中国1部の山東魯能に移籍したイタリア代表FWグラツィアーノ・ペッレ、トッテナムに移籍したケニア代表MFヴィクター・ワニアマ、リヴァプールに移籍したセネガル代表MFサディオ・マネなど、昨シーズンの主力選手放出から念出した移籍金が大きかった。
現地の移籍市場総括の中で「最高の補強選手」との声が多かったのが、パリ・サンジェルマンからフリーでマンチェスター・Uへ移籍した元スウェーデン代表FWズラタン・イブラヒモヴィッチだった。大手メディア『BBC』のサッカー番組『マッチ・オブ・ザ・デイ』の司会者を務める元イングランド代表FWゲーリー・リネカー氏や同番組解説者の元同国代表FWアラン・シアラー氏らも、「給与は高いが、移籍金なしという点を考慮すれば大バーゲン」、「すでに結果を出しており、プレミアリーグの優勝争いに大きな影響力のある選手」などと口を揃えてイブラヒモヴィッチを高く評価している。
このほか、イギリスメディア『スカイスポーツ』の解説者で元イングランド代表DFジェイミー・キャラガー氏は、古巣リヴァプールがDF内田篤人の所属するシャルケからフリーで獲得したカメルーン代表DFジョエル・マティプが「今夏最高の補強」としており、「25歳という年齢を考えると、長期構想でこの先チームの軸になりうる選手だ」と説明。一方、同番組解説者の元フランス代表FWティエリ・アンリ氏はマンチェスター・Cがセルタから引き抜いたスペイン代表FWノリートに着目し、「彼はペップ(ジョゼップ・グアルディオラ監督)が思い描くプレースタイルを体現できる選手であり、私が今シーズン最も注目している選手だ」と期待を込めた。
インターナショナルウィーク明けの9月一発目には、“マンチェスター・ダービー”という大一番で再開するプレミアリーグだが、マンチェスター・Uのジョゼ・モウリーニョ監督が「本番は9月から」と語る通り、各クラブの補強選手たちがチームに順応し、さらなる化学反応を起こせるかどうかに注目が集まる。
文=藤井重隆