マンCのエース・アグエロ(左)と新加入のG・ジェズス(右)[写真]=Getty Images
マンチェスター・Cに新たなエースの誕生か。新戦力のブラジル代表FWガブリエウ・ジェズスが2試合連続ゴールを決めた一方で、エースとして君臨してきたアルゼンチン代表FWセルヒオ・アグエロは2試合連続ベンチスタートとなった。
今冬に加入したG・ジェズスは1月21日に行われたプレミアリーグ第22節のトッテナム戦で新天地デビューを果たした。わずか10分足らずのプレーだったが、ジョゼップ・グアルディオラ監督を魅了するには十分だった。「5〜10分ぐらいだったが、彼は全てを見せてくれた」。G・ジェズスはその後の2試合でアグエロを抑えてスタメンを勝ち取り、第23節ウェストハム戦で初ゴールを決めて3試合ぶりの勝利に貢献し、翌24節スウォンジー戦では劇的ゴールを含む2得点でチームを救い、指揮官の期待に応えた。
だが、グアルディオラ監督はストライカーの起用について「ゴールだけが問題ではない」という。元イングランド代表DFのギャリー・ネヴィル氏は、イギリスメディア『スカイスポーツ』でG・ジェズスの先発出場について「アグエロよりも運動量がある。アグエロは圧倒的な選手だが、グアルディオラが自分の哲学に沿って築き上げているチームにしっかりフィットしていない」と指摘すれば、元マンCのアンディ・ヒンチクリフ氏も「アグエロよりG・ジェズスが先発出場していることに疑問の声もあるが、その理由は何よりボールがないところでの運動量だろう」と解説。
元マンCのナイアル・クイン氏も「G・ジェズスは走るのを止めない。相手選手に絶えずプレッシャーをかけ続けている」というように、前線からのプレスを求めるグアルディオラ監督にとって、運動量がスタメン起用の重要な決め手だったようだ。確かに、同メディアのスタッツではG・ジェズスが1試合平均で11.31キロを走り、73回のスプリント数を記録。一方のアグエロは走行距離9.79キロ、スプリント数59回と数字上でも明らかだった。
今シーズン公式戦でチーム最多の18ゴールを挙げてきたアグエロだが、運動量を誇るG・ジェズスの加入によって試練の時を迎えることとなった。「ペップがアグエロを気に入っているとは思わないね。(スタメン落ちは)不吉な前兆のようなものだ」。『BBC』で解説者を務める元イングランド代表DFのフィル・ネヴィル氏はそう語り、アグエロのマンチェスター・C退団を予想。実際、同選手の移籍報道は加熱しており、レアル・マドリードやチェルシーなどが今夏の移籍候補として噂されている。
ただ、これまでクラブ歴代3位の通算154ゴールを誇るアグエロが、19歳の新星にそう簡単にスタメンの座を明け渡すとは思えない。トッテナムなどで活躍した元イングランド代表MFのジャーメイン・ジェナス氏は解説者を務める『BBC』で「アグエロはプレミアリーグ史上最高のストライカーの1人。残りのシーズンでチームのために全力を尽くすと言う彼を信じている。彼は生まれながらの勝者で、ピッチではいつも最高のプレーを見せてくれる」とエースとしての太鼓判を押した上で、「ジェズスの才能に疑いはないが、ウェイン・ルーニーやマイケル・オーウェンが見せたほどの鮮烈なインパクトはない。まだ十分に見ていないから、アグエロより優れた選手か、ポジションを奪えるか、なんて考えるほどではない。スウォンジー戦の活躍でアグエロのポジションがなくなったとは信じ難いよ」とG・ジェズスの評価は時期尚早だと主張した。
アグエロ本人も2試合連続で終盤のみの出場となったスウォンジー戦後には今後のさらなる活躍を誓っていた。「もちろんこのクラブにいたい。今後の3カ月はベストを尽くしてチームに貢献する。将来について考えるのはその後だ」。また、グアルディオラ監督も「アグエロはチームで最も重要な選手の1人。(今後も)多くの試合でプレーする」と重要性を強調。今後、プレミアリーグやチャンピオンズリーグで豊富な経験や高い得点力が、“運動量”よりも重要となる場面はあるはずだ。
『BBC』によると、クラブ幹部が5日にアグエロ売却の意向はないと明かしたが、それでもジェナス氏が「今の状況が続けば、アグエロは夏に移籍するだろう。彼はマンCのベンチにいるような選手ではない」というように、ポジションを奪われるようなことがあれば、退団の可能性は高くなる。19歳のライバル登場で岐路に立たされこととなったアグエロがマンチェスター・Cのエースとしての真価を問われている。
By サッカーキング編集部
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