今季限りでチェルシーを退団するテリー [写真]=AMA/Getty Images
「我々のキャプテンは今季限りでクラブを退団する」
1995年、14歳の時にチェルシーの下部組織に入団して以来、22年間にわたり、クラブ一筋を貫いた元イングランド代表DFジョン・テリーが、今シーズン限りで退団することが決まった。
1998年にデビューして以来、クラブ歴代3位の通算713試合に出場し、歴代最多の578試合で主将を務め、プレミアリーグのDFとして史上最多の66ゴールを記録した。2004年には50年ぶりのリーグ優勝をもたらし、黄金期を築き上げた。プレミアリーグを4度、FAカップを5度、リーグカップを3度、チャンピオンズリーグ(CL)とヨーロッパリーグ(EL)をそれぞれ1度ずつ制覇。主将を務めたイングランド代表でも78試合に出場し、2005年以来イングランド人選手最多の5年連続でFIFAベストイレブンに選出されるなど、名実ともに“一流”の選手としてチェルシーの顔であり続けた。
一方で辛酸をなめた時期もあった。2008年のCL決勝ではマンチェスター・Uとのイングランド勢対決でPK戦までもつれ込み、テリーがPKを失敗し、チームを敗北に追いやった。また、その4年後のバイエルンとの同決勝戦では、バルセロナとの準決勝で退場処分を科されたため出場できず。翌年のベンフィカとのEL決勝戦もケガのため出場することができなかった。さらに2010年には当時の同僚の婚約者と不倫、2012年にはピッチ上での差別発言が問題視され、イングランド代表主将の座をはく奪された苦い経験も持つ。
そして今シーズン、アントニオ・コンテ監督新体制となり、新加入のブラジル代表DFダヴィド・ルイスに追いやられる形で出場機会が激減。序盤のケガと「3-4-3」へのシステム変更も影響し、リーグ戦5試合、カップ戦5試合の通算10試合の出場にとどまっている。
テリーはチェルシー退団を発表したものの、「まだプレーできると感じているし、新たな挑戦がしたい」と、現役続行の意思を示しており、次なる新天地には元イングランド代表選手たちが現役最後の地として選ぶ米メジャーリーグサッカーや、巨額のオファーを受けてスター選手たちが続々と移籍している中国1部リーグなどが有力候補として挙がっている。
チェルシーは今シーズン、第12節から首位を快走。最終節までにリーグ優勝が決まれば、5月21日にホームで行われるサンダーランド戦が消化試合となり、テリーの引退試合になる可能性も囁やかれている。プレミアリーグとFAカップの2冠を達成し、有終の美を飾れるか。チェルシーでのテリー最後の瞬間が注目されている。
文=藤井重隆