たくさんの人で賑わう東京・原宿が一時騒然となった。人々の視線の先にいたのは、今夏にプレミアリーグ王者・チェルシーの一員となったアントニオ・リュディガーだ。
2017-18シーズン、リーグ戦と欧州カップ戦の二兎を追うチェルシーにとって、最終ラインのマルチロールは待ち望んだ人材だった。190cmの長身を生かしたエアバトル、屈強なフィジカルでボールを刈り取る守備能力、最終ラインから攻撃の起点となれるパスセンス――。どれをとっても一級品であり、待望の新戦力として懸かる期待も大きい。
そして、新天地での背番号は「2」に決定した。チェルシーの背番号2といえば、10シーズンに渡って活躍したブラニスラフ・イヴァノヴィッチの代名詞である。レジェンドから背番号2を受け継いだ男は、果たしてイングランドの地でどんな「ストーリー」を創っていくのか。
つかの間のオフを利用して、初来日を果たした“新背番号2”に意気込みを聞いた。
インタビュー・文=三島大輔
取材協力・写真=ナイキジャパン
もっともっと力を伸ばしていきたい
――17-18シーズンから、チェルシーでプレーすることが決まりました。これまでのキャリアで青いユニフォームを着るのは初めてですね。
すごくかっこいいと思う。ただ、ユニフォームの色はそこまでプレーに影響しないけどね(笑)。
――移籍を決断した理由は何だったのでしょうか?
プレミアリーグでプレーすることは夢だった。そして、チェルシーはビッグクラブだ。この10年間で多くの成功を収めているし、チャンピオンになることを宿命づけられたクラブだと思う。クラブやアントニオ・コンテ監督が僕を必要としてくれたことは、移籍を決断する上で重要なポイントだった。僕は「上達したい」、「前進したい」と常に考えているからね。それが自分の目標であり、一番大切にしていることなんだ。
――どのようなところにコンテ監督の魅力を感じますか?
ローマ時代のチームメートからは、コンテ監督に関するいい情報ばかりを聞いたよ。すごくいい戦術を持っている監督という印象だね。僕はまだまだ成長していきたいし、もっともっと力を伸ばしていきたい。例えば、昨シーズン、右ウイングバックで才能が開花したヴィクター・モーゼスのようにね。
――昨シーズン途中まで在籍したイヴァノヴィッチの背番号2を受け継ぐことが決まりました。
とても誇りに思うよ。イヴァノヴィッチはレジェンドだし、彼の活躍でチェルシーはタイトルを獲得できたと思っている。ただ、一つ言いたいのは、一人ひとりが背番号とともにストーリーを創っていくということ。もちろん、イヴァノヴィッチは素晴らしいDFだし、尊敬している。だからこそ、チェルシーの新しい背番号2として、これから頑張っていきたいという気持ちなんだ。
――チェルシーにはガリー・ケーヒルやダヴィド・ルイスなど経験豊富なDFがいます。これから始まるポジション争いについては、どう捉えていますか?
僕にとって大きなチャレンジだ。チェルシーは昨シーズンのチャンピオンだからね。でも、できることは分かっているし、チームに貢献できるとも思っている。成長のために努力していくし、全力を尽くすよ。
ストロングポイントは“メンタルの強さ”
――改めて、自身のストロングポイントはどこだと思いますか?
なかなか自分のことを褒めるのは難しいね。ただ、一つ挙げるとするなら、“メンタルの強さ”かな。常に負けたくないという気持ちを持っているし、100パーセント以上のプレーを心掛けているよ。
――スピードがあってドリブルもうまく、パスも正確という印象が強いのですが、なぜFWではなくDFになったのですか?
小さい頃はストライカーだったけど、当時はあまり背が高くなかった。16歳くらいから背が伸び始めて、それに伴ってポジションがだんだんと後ろに下がっていったんだ(笑)。そこから現在に至るよ。
――同じドイツ代表のジェローム・ボアテングとは、ポジションや出身地などの共通点があることから比較されることが多いですよね。
それはすごくうれしいことだよ。代表でのチームメートという関係性だけではなく、私生活でも仲がいいんだ。彼はキャリアを重ねるごとに成長を続けていて、今では世界でトップ3のDFに入ると思う。とても尊敬している選手だ。
――リュディガー選手は守備対応のみならず、センターバックのポジションから攻撃の起点にもなれます。守備と攻撃では、どちらのプレーが得意ですか?
それは両方だね。ビッグクラブでプレーするためには、守備と攻撃の両方が求められている。現代サッカーではDFのボール捌きばかり重要視されているけれど、どちらも大切なんだ。あとは守備にしても攻撃にしても、まずはチャレンジすることが大切だと思うよ。
――新シーズンから着用する『ティエンポ レジェンド 7』は、攻守両面でプレーをサポートしてくれるのではないですか?
以前のモデルよりもすごく軽くなって、グリップ性やサポート性も抜群なんだ。僕は足の幅が広いから、他のスパイクより幅広なのがいい。そこが新しい『ティエンポ』で気に入っているポイントだね。
――ちなみに、今回の来日にあたって楽しみにしていたことはありますか?
日本に来るのは今回が初めてなんだ。日本はとても興味深い国だよ。だけど、スケジュールの関係であまり時間がなくて、時差ボケもあるから少し疲れているね(苦笑)。これから東京の街を少し散策するよ。
――では、最後に新シーズンへの意気込みをお願いします。
今は、自分のやれることをやりたいという気持ちだね。新シーズンはリーグ戦に加えて、欧州のカップ戦もある。すべてはチェルシーが優勝するために、できることから頑張っていくよ。