2シーズン連続CLの決勝の舞台に立つリヴァプールは通算6回目の欧州制覇を目指す [写真]=Getty Images
もうこれ以上、「シルバーコレクター」とは言わせない。
ユルゲン・クロップ監督の就任後、リヴァプールは2015-16シーズンの国内リーグカップ、ヨーロッパリーグ、そして17-18のチャンピオンズリーグと、三度もカップファイナルに進出しながら、いずれもタイトルを目の前にして敗れ去っている。そして今季は、プレミアリーグの舞台でも、あと一歩のところでマンチェスター・シティに優勝を譲った。
だがそれでも、3年半の指揮で着実に経験を積み重ね、今季はプレミアでクラブ歴代最多の30勝を挙げ、リーグ歴代3位、クラブ史上最高記録となる勝ち点「97」を積み重ね、ペップ・グアルディオラのシティと住む時代が違っていれば確実にリーグを制覇していたであろう今のメンバーに、クロップは絶対の自信を持っている。
「今のチームよりも優れたチームで決勝に臨んだことは一度もない」
古巣のドルトムント時代にもCL決勝で敗れたことがあるクロップは、そう断言する。1年前、キエフの地でレアル・マドリードに1-3で敗れた屈辱の記憶と、「ここに戻ってこなくてはならない」という思いが、リヴァプールをさらに強くしたのだとクロップ。その強い気持ちがサポーターにまで伝染した結果が、今季CL準決勝、バルセロナ相手に0-3から劇的な逆転勝ちを果たしたアンフィールドの奇跡だった。勢いそのままに目指すは、欧州カップ戦では15-16のEL、昨季のCLに続いて「三度目の正直」でのトロフィー獲得だ。
欧州屈指の破壊力を誇る“左右の矢”
決勝の相手であるトッテナムは、クラブの予算規模で言えばリヴァプールの方が上だが、それでも決して侮れない相手だということもクロップはよくわかっている。今季はホーム、アウェーいずれも2-1で勝利してダブルを飾ったものの、特に3月のホーム戦は土壇場に決まったトビー・アルデルヴァイレルトのオウンゴールで勝ちを拾った「ラッキーゲームだった」と指揮官自身も認めており、両チームの間に大きな差はないと考えている。
だから、油断はない。でも、何か特別な策を講じたり、いつもと違う戦い方をしたりということもないだろう。3年半の集大成となるマドリッド決戦で、クロップと仲間たちはいつものようにハードなゲーゲンプレスを仕掛け、ボールを奪ったら目にも留まらぬ速さで相手ゴールに迫る「フルスロットル」なフットボールをするはずだ。
試合開始からエンジン全開でトッテナムのゴールに襲い掛かるのが、右はモハメド・サラーとトレント・アレクサンダー・アーノルド、左はサディオ・マネとアンドリュー・ロバートソンというリヴァプールの“左右の矢”だ。今のヨーロッパ・フットボール界でも屈指の破壊力を誇るこの両サイドは、トッテナムとスカッドを見比べた中で明確なアドバンテージになりうるセクション。リヴァプールにとって理想の展開は、両翼の縦のコンビで敵方の両サイドバック、キーラン・トリッピアーとダニー・ローズに対して数的優位を作り出す形だ。
相手に一瞬も息をつかせないスピードスターのマネ&サラーに、神出鬼没のロベルト・フィルミーノを加えた3トップが流動的に動き回って相手のサイドバックの注意を引き、その裏に空いたスペースをアレクサンダー・アーノルドとロバートソンの2人が突ければ、ゴールは必ず生まれる。今季のリヴァプールは、この両翼の成長により、サイドバックが今までよりも高い位置を取り攻撃に寄与する場面が格段に増えた。結果、2人はそろってプレミア2桁アシストをマーク。欧州最高のサイドバック・コンビと呼ばれるまでに成長し、3トップによる高速カウンターに次ぐリヴァプールの新たなストロングポイントとなっている。
攻守で存在感を示すファン・ダイクが勝利のカギ
サイドバックの攻撃参加と同様に勝利へのパスポートになりそうなのが、また違った意味で高い攻撃性能を持つDF、フィルジル・ファン・ダイクの存在だ。もちろん彼にはリヴァプール守備陣の大黒柱として、ハリー・ケインやソン・フンミンといったスパーズの有能なアタッカーたちを封じるという大仕事がある。だがそれに加えて、とりわけこういった接戦が予想される大一番では、攻撃面でも“困った時のファン・ダイク”が勝敗を左右することになるかもしれない。
思い出されるのは、バイエルンと対戦したラウンド16のセカンドレグだ。敵地で3-1の勝利をもぎ取ったこの一戦は、ファン・ダイクが守備だけでなく攻撃面でも違いを生んだ。大事な最初のアウェーゴールをもたらしたのは、彼の正確無比なフィードだった。相手のGKとDFの間に走りこんだマネの足元にピタリとボールを落としてアシストを記録したシーンは、彼の高いキック技術を証明していた。彼のフィードは、ハイライン戦術を敷くトッテナム相手にも重要な武器になりそうだ。
また同じバイエルン戦の後半には、CKの場面でジェイムズ・ミルナーのキックに頭で合わせ、強烈なゴールも決めている。実はリヴァプールは、今季の欧州5大リーグで最も多くセットプレーからゴールを奪った(20得点)チームであり、ファン・ダイク自身もプレミアで4ゴール、CLで2ゴールを挙げている。CLファイナルのような1点を争う大舞台でも、1本のセットプレーが戦況をガラリと変える可能性は大いにある。
今季ここまで、公式戦通算で合計68ゴールを挙げているマネ、サラー、フィルミーノの強力3トップに注目が集まりがちなリヴァプールだが、アシスト部隊や、彼らが攻めあぐねた際に“虎の子の1点”をもぎ取れるDF陣の底力も、大きな注目ポイントだ。
文=寺沢薫
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