エヴァートンを率いた監督たち [写真]=Getty Images
エヴァートンは16日、ラファエル・ベニテス氏の解任を発表した。2016年2月にファラド・モシリ氏が筆頭株主となって以降、エヴァートンが監督に別れを告げるのはこれで6度目となる。
かつては現ウェストハム指揮官のデイヴィッド・モイーズ氏が11年にも渡る長期政権を築いたエヴァートン。しかし、同氏の後任、ロベルト・マルティネス氏が2016年5月に解任されて以降、2シーズン以上指揮を執った監督は一人もいない。新監督候補にはクラブOBのウェイン・ルーニー氏や、12月までフェネルバフチェを率いていたヴィトール・ペレイラ氏などの名前が挙がっているが、次期監督は2年の壁を越えることができるだろうか。
そこで今回は、モシリ氏がオーナーに就任して以降、エヴァートンを率いた監督6名をプレミアリーグでの成績とともに振り返る。勝率が最も高かったのは、やはりあの名将だった…。
[写真]=Getty Images
■ロベルト・マルティネス
在任期間:2013年6月~2016年5月
プレミアリーグでの成績:113試合、43勝34分け36敗(勝率38.1パーセント)
モシリ氏がエヴァートンのオーナーに就任してから3カ月後に解任されたのは、現ベルギー代表監督だった。2013年の夏、11年間もクラブを率いたデイヴィッド・モイーズ氏をマンチェスター・Uに引き抜かれたエヴァートンは、新監督としてマルティネス氏を招聘。スウォンジーとウィガンでは攻撃的なスタイルでファンを魅了したスペイン人指揮官は、初年度はチームをプレミア5位に導いたものの、2年目はトップ10圏外に。翌シーズンは国内カップ戦ではいずれもベスト4に駒を進めたが、リーグでは振るわず。ファンが「マルティネス、アウト」のメッセージをスタジアム上空に飛ばすなど、解任を求める声は高まる一方だった。
2015-16シーズンの最終戦だけを残したタイミングでモシリ氏に引導を渡されたマルティネス氏。エヴァートンでのリーグ戦における通算勝率は38パーセント。1年目には55パーセントもあった勝率を大幅に下げてイングランドを去ることになった。
エヴァートンを離れてから3カ月後にベルギー代表監督に就任したマルティネス氏。世界ランク1位の同代表は今年開催されるワールドカップの優勝候補として注目を集めている。ベニテス氏の解任直後には後任候補として名前が挙がっていたマルティネス氏だが、エヴァートンから打診を受けたベルギー・サッカー協会が断ったと報じられている。
■ロナルド・クーマン
在任期間:2016年7月~2017年10月
プレミアリーグでの成績:47試合、19勝12分け16敗(勝率40.4パーセント)
新監督候補の中でファーストチョイスだったという。2016年の夏、エヴァートンはサウサンプトンに違約金を支払う形で元オランダ代表DFロナルド・クーマン氏の招聘に成功した。2015-16シーズンのプレミアリーグで、サウサンプトンをクラブ史上最高位となる6位に導いたクーマン氏。2年続けて11位に終わっていたエヴァートンも、1年目で7位まで引き上げることに成功。3年ぶりにヨーロッパリーグの参加資格も手に入れた。
2016-17シーズンの終了後にはチームの得点源だったロメル・ルカクがマンチェスター・Uに移籍。反対に同クラブからウェイン・ルーニーが復帰。その他、ギルフィ・シグルズソン、マイケル・キーン、ジョーダン・ピックフォード、デイヴィ・クラーセン等、大型補強を敢行したが、4年連続でチーム得点王だったルカクの穴は簡単には埋まらなかった。
開幕9試合で2勝しか挙げることができなかった2年目のクーマン氏は、2017年10月22日、ホームでのアーセナル戦で2-5の大敗を喫した翌日に解任された。エヴァートン指揮官としてのプレミアでの勝率は、前任者のマルティネス氏を少しだけ上回る40パーセントに終わっている。その後のクーマン氏はオランダ代表を率いた後に、古巣バルセロナの監督に就任。しかしエヴァートン時代と同様に、2シーズン目の10月に成績不振を理由に解任されている。
■サム・アラダイス
在任期間:2017年11月~2018年5月
プレミアリーグでの成績:24試合、9勝7分け8敗(勝率37.5パーセント)
デイヴィッド・アンズワース暫定監督からチームを引き継いだのは、経験豊富なサム・アラダイス氏だった。2017年夏にクリスタル・パレスを退任後、クラブの監督業からは距離を置くことを明言していたアラダイス氏だったが、数カ月で前言撤回。就任当時は13位に低迷していたチームを、最終的に8位まで引き上げた。ビッグゲームでも結果を残し、着実に勝ち点を重ねた“ビッグ・サム”。しかし内容は、首脳陣を満足させるには程遠かった。
アラダイス氏の就任以降、エヴァートンがプレミア24試合で放った通算シュート数213本は、同期間のワースト記録。パス成功率72.9パーセントは全体の13位だった。時代に逆らうロングボール主体のプレースタイルは、最後までファンから受け入れられず、シーズン終了後にモシリ氏から別れを告げられた。
“残留請負人”の異名を取りながら、昨季はウェスト・ブロムウィッチを降格から救うことができなかったアラダイス氏は、昨年夏に同クラブを退任して以降フリーの状態。御年67歳だが一線を退くつもりはないようだ。ベニテス氏の解任後に「talkSPORT」に出演した際には、エヴァートンの新監督にダンカン・ファーガソン暫定監督を推しながら、自身を売り込むことも忘れていなかった。
■マルコ・シウバ
在任期間:2018年5月~2019年12月
プレミアリーグでの成績:53試合、19勝11分け23敗(勝率35.8パーセント)
クーマン氏の後任としてモシリ氏が第一希望に挙げていたのは、当時ワトフォードを率いていたマルコ・シウバ氏だった。招聘に失敗したエヴァートンだったが、その3カ月後、同氏を解任したワトフォードから、「エヴァートンからの不当なアプローチ」がその後の結果に影響を及ぼしたと非難を受けた。
紆余曲折を経て、ハル・シティとワトフォードで手腕が評価された若手監督を招聘することに成功したエヴァートン。最初の移籍市場で、ワトフォードで同氏の下でプレーをしていたブラジル代表FWリチャーリソンの他、リュカ・ディニュ、ジェリー・ミナ、ベルナルジを完全移籍で獲得。アンドレ・ゴメスとクル・ズマをバルセロナとチェルシーからそれぞれローンで加えるという手厚いバックアップを見せた。
1シーズン目は8位と期待に応えたシウバ氏だったが、2シーズン目は開幕15試合でわずか4勝。アンフィールドでリヴァプールに2-5の大敗を喫した翌日、マージーサイドに別れを告げた。プレミアでの勝率36パーセントは、モイーズ氏以降のエヴァートンの監督の中でワースト記録となった。
今季からフルアムを率いるシウバ監督。同クラブは現在チャンピオンシップの首位に立っている。まだ44歳のポルトガル人指揮官がプレミアリーグで“リベンジ”するチャンスは十分に残されている。
■カルロ・アンチェロッティ
在任期間:2019年12月~2021年6月
プレミアリーグでの成績:58試合、25勝14分け19敗(勝率43.1パーセント)
「プレミアリーグでエヴァートン史上最高の勝率を残した監督」。この項目を載せるスペースは、カルロ・アンチェロッティ氏の履歴書にはないだろう。
シウバ氏の解任後、ファーガソン暫定監督の下でチェルシー、マンチェスター・U、アーセナルとのビッグマッチ3連戦を1勝2分けで終えたエヴァートン。悪い流れが払拭されたチームにやって来たのは、直前までナポリを率いていたアンチェロッティ氏だった。レアル・マドリードとミランでチャンピオンズリーグを3度制した世界的な名将をファンも歓迎。アンチェロッティ氏も「首脳陣のトロフィーを取りたいという明白なビジョンが私に響いた」と古豪再建に向けて気合い十分だった。
ファーガソン氏を右腕として残し、すぐに選手たちと信頼関係を築いたイタリア人指揮官。昨年2月には「(2024年に移転予定の)新スタジアムができるまでここで指揮を執っていたい」とエヴァートン愛を強調していた。しかし昨シーズンの終了後、レアル・マドリードに“電撃復帰”。第22節を終えた現時点で2位セビージャに勝ち点4差を付けて首位に立っている。
エヴァートンでのプレミア通算勝率は、歴代最高の43パーセント。短期間でも大物監督ぶりを遺憾なく発揮したアンチェロッティ氏は、今でもエヴァートンのことを気にかけているようだ。再び暫定監督に就いているファーガソン氏は、かつてのボスから励ましの電話をもらったことを明らかにしている。
■ラファエル・ベニテス
在任期間:2021年7月~2022年1月
プレミアリーグでの成績:19試合、5勝4分け10敗(勝率26.3パーセント)
禁断の人選だった。アンチェロッティ氏をレアル・マドリードに引き抜かれたエヴァートンは急遽、新監督探しに奔走。複数の名前が候補に挙がっていたが、最終的に発表されたのは、かつてライバルのリヴァプールを率いたラファエル・ベニテス氏だった。
過去にリヴァプールとエヴァートンの監督を務めたのは、1890年代のウィリアム・エドワードだけという事実からも分かる異例の人選は、一部ファンから猛反対に遭った。結果が出れば周囲の反応も変わったはずだが、10月以降のプレミアでわずか1勝しか挙げることができず。1月15日に最下位ノリッジに敗れた翌日に解任を伝えられた。
プレミアリーグで勝率26パーセントは、エヴァートンでは1994年に同クラブを率いたマイク・ウォーカー氏に次ぐクラブ史上ワースト2位。ベニテス氏自身にとっても、リヴァプール(55パーセント)、チェルシー(58パーセント)時代はもちろんのこと、ニューカッスル(31パーセント)での勝率も下回る、自己ワースト記録の更新となってしまった。
(記事/Footmedia)
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