ローリー氏が発掘した7人のタレント [写真]=Getty Images
アーセナルは17日、元チーフスカウトのスティーヴ・ローリー氏が63歳で亡くなったことをクラブ公式サイトで発表した。
ユース部門のスカウト担当として、1980年1月からパートタイムでアーセナルの仕事を始めたローリー氏。ジョージ・グラハム監督時代にフルタイムで働くようになり、アーセン・ヴェンゲル氏が監督に就任した1996年にチーフスカウトに昇格、2017年の退職までクラブに尽力した。
多くのタレントを発掘し、アーセナルの黄金時代の到来に一役買ったローリー氏は、敏腕スカウトとして世界に知られた存在だった。
イギリスメディア『ミラー』は、ローリー氏がスカウトした主な7選手を紹介している。
[写真]=Getty Images
■トニー・アダムス
まだローリー氏がパートタイムで働いていた頃に、スカウティングに成功したのが、後の“ミスター・アーセナル”ことトニー・アダムスだった。「今ではもちろん認められていないが、ウェストハムの練習場で彼に接触した。最初はどうにもならなかったが、彼の父親に興味がないか打診した」と、過去にクラブ公式サイトで明かしたローリー氏。14歳だった当時、ウェストハムとアーセナルという2つの選択肢があったという元イングランド代表DFは、最終的に後者を選択。2002年に現役を退くまで、アーセナルでキャリアを全うした。4度のリーグ制覇を含め、10個の主要タイトル獲得に貢献したアダムスは、クラブ史上最も成功したキャプテンとして歴史に名を刻んでいる。
■レイ・パーラー
元イングランド代表MFレイ・パーラーがアーセナルの下部組織に加わったのは、ローリー氏のおかげだったという。1992年1月のリヴァプール戦でトップチームデビューを飾り、2年後からはレギュラーとして活躍。無敗優勝を成し遂げた2003-04シーズン終了後、ミドルスブラへと移籍した。アーセナルでは3度のプレミア制覇を含め、9つの主要タイトルを獲得。ローリー氏の訃報を受けて17日にツイッターで動画を配信したパーラーは、アダムスからも連絡が来たことを明かし「素晴らしいレジェンドだった。アーセナル・フットボール・クラブにとって非常に悲しい知らせだ。スティーヴ・ローリーのためでなければ、私はあそこまでやれなかった。本当にありがとう」と感謝を伝えている。
■セスク・ファブレガス
セスク・ファブレガスがバルセロナからアーセナルに加わったのは、2003年のU-17世界選手権でスペインを準優勝に導き、自らは大会得点王とMVPに輝いた直後のことだった。敏腕スカウト仲間として知られたフランシス・ガジガオ氏とともに、当時16歳だったセスクをアーセナルに勧誘することに成功したローリー氏。すぐに才能を発揮して中心選手に成長したセスクは、2011年にバルセロナへ戻るまでの8年間で300試合以上に出場し、キャプテンも務めた。
今回の訃報を受け、ツイッターを更新したセスク。ローリー氏とのツーショット写真とともに「もしもあなたが16歳だった僕にアーセナルと契約することを説得していなければ、今の僕はどうなっていたか分からない。あなたからのアドバイス、日々与えてもらった自信は永遠に忘れない。すごく寂しい」と心のこもった追悼コメントを出している。
■ロビン・ファン・ペルシ
「おとぎ話じゃないよ」
ロビン・ファン・ペルシがそう前置きしたのも無理はない。アーセナルに加入する数カ月前の2004年4月。フェイエノールトでレギュラーの座を失っていたファン・ペルシは、リザーブチームのアヤックス戦に出場。相手サポーターからCKを蹴る時にビールや唾をかけられながらも、冷静さを失わずにゴールも決めたという。すでにフェイエノールトからの退団を決意し、PSVへの移籍が目前に迫っていたというファン・ペルシだが、“おとぎ話”のような出来事が運命を変えた。試合を見に来ていたファン・ペルシの父親が、アムステルダムのホテルの近くでビールを飲んでいたところ、そのホテルに滞在していたローリー氏と同席することに。2人は元々知り合いだったという。
2020年の『Premier League Productions』でファン・ペルシが当時のエピソードを明かしている。
「父は彼に『もしアーセナルがロビンを買いたいなら急ぐんだ。数日以内にPSVと契約する』と言った。スティーヴはアーセン(・ヴェンゲル)に電話をし、こう言ったそうだよ。『ギャンブルであることは分かっているが、ギャンブルをするんだ。私が保証する』とね」
アーセナルでは選手としてだけでなく、人間としても大きく成長を遂げたファン・ペルシ。現在はフェイエノールトのユースチームでコーチを務めている。
■ガエル・クリシー
17歳の時にカンヌからアーセナルへの移籍が決まったガエル・クリシー。ローリー氏は、2012年にイギリス紙『イブニング・スタンダード』に引用されたコメントの中で「試合はもちろん、ウォームアップをじっくりと観察した。彼には強さとスピードがあり、隙がなかった。多くの要素を持ち合わせていた」と、元フランス代表DFを評価していた。
世界最高の左サイドバックと称されたアシュリー・コールがいながら、インビンシブルを達成した2003-04シーズンにリーグ戦12試合に出場したクリシー。A・コールが2006年にチェルシーへと移籍した後は、完全にレギュラーポジションを獲得した。2011年にマンチェスター・Cへと移籍し、さらに2度のプレミア制覇を経験。現在はスイスのセルヴェッテでプレーするクリシーは、16歳の時にカンヌまで視察に来てくれたローリー氏に対して恩を感じているようで「僕をトップレベルのフットボールに導いてくれた。彼が居なければこれまでの成功はなかった」と語っている。
■オリヴィエ・ジルー
2012年1月、ローリー氏と元アーセナルDFで当時同クラブのスカウトを務めていたジル・グリマンディ氏に、ヴェンゲル氏から指令が下った。シーズンが終了するまでにモンペリエのエースストライカーを間近で視察し、報告せよ、と。
2011-12シーズンにリーグ・アンで21ゴールを決め、ネネ(当時パリ・サンジェルマン所属)と並んで得点王となり、モンペリエをクラブ史上初のリーグ優勝に導いたジルー。翌シーズンにはアーセナルの選手としてチャンピオンズリーグ(CL)グループステージでモンペリエとの古巣対決に臨んだ。アーセナルで5年半、さらにチェルシーで3年半プレーし、プレミアリーグで255試合出場90ゴールという偉大な記録を残したフランス代表FWは、今シーズンからミランでプレー。36歳で迎えることになる今年のワールドカップでも活躍が期待できそうだ。
■セルジュ・ニャブリ
現在のバイエルンでの活躍を見れば、ローリー氏の才能を見抜く目は確かだったのだろう。今から12年前、当時シュトゥットガルトの下部組織に所属していた15歳のセルジュ・ニャブリは、アーセナルU-16チームのトライアルに参加した。その場に居合わせた人物によれば、ローリー氏はわずか10分で「何てことだ。この少年は最高だ」と絶賛していたという。
17歳でアーセナルのトップチームでデビューを飾ったニャブリだが、その後は伸び悩むことに。2015-16シーズンはローン先のウェスト・ブロムウィッチでトニー・ピューリス監督(当時)から「ここで通用するレベルではない」と酷評され、ほとんどピッチに立つ機会を与えられなかった。しかし2016年にドイツに戻ってから飛躍を遂げたニャブリは、今ではバイエルンとドイツ代表で欠かせない選手となっている。今年3月にはイギリスメディア『フットボール・ロンドン』が、大きく成長したニャブリの再獲得をアーセナルが狙うのではないかと報じていたが、果たして。
(記事/Footmedia)
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