“ロマン帝国”終焉、ベーリー氏らが率いる新時代へ [写真]=Getty Images
チェルシーは30日、トッド・ベーリー氏とクリアレイク・キャピタルが率いる投資グループへのクラブと関連会社の売却が完了したことを発表した。
チェルシーは長年にわたってロシア人実業家のロマン・アブラモヴィッチ氏に所有されてきた。しかし、ロシア・ウクライナ情勢に鑑み、アブラモヴィッチ氏は今年3月2日にクラブ売却の意思を表明。その後、3月10日にアブラモヴィッチ氏が英国政府から資産凍結などの制裁を科され、クラブは英国政府から特別ライセンスを付与されて営業活動を制限された。
100以上の個人および団体がチェルシーの買収に関心を示したが、ベーリー氏らのコンソーシアムが4月末に優先交渉権を獲得。今月6日、25億ポンド(約4033億円)でクラブ株式を購入する条件で合意していた。売却益は全額、慈善事業(ウクライナ支援等)に寄付される予定。また、ベーリー氏らは追加で17億5000万ポンド(約2823億円)を投資し、本拠地『スタンフォード・ブリッジ』の再開発やアカデミー・女子チームへの発展など、クラブの利益のために資金を提供することを約束している。
そして、英国政府はアブラモヴィッチ氏がこの売却によって利益を得ないという法的保証を得て、今月25日に取引を承認。チェルシーはその他必要なライセンスをすべて取得し、取引が完了した。なお、ベーリー氏は買収完了を受け、持株会社の会長に就任する。
チェルシーは、「入札に参加された皆様には、このプロセスへの関与、努力、参加に感謝いたします。また、男女のサッカー選手、両チームのスタッフ、アカデミーの皆さん、そして特に(男子の)トーマス・トゥヘル監督と(女子の)エマ・ヘイズ監督には、このプロセスにおいて忍耐とサポートをいただいたことに感謝いたします。そしてもちろん、クラブにとって困難な局面を迎えているすべてのパートナー、スタッフ、ファンの皆様にも感謝いたします」と、声明を通じてコメントしている。
取引完了により、19年間続いたアブラモヴィッチ政権に幕が閉じた。現在55歳のアブラモヴィッチ氏は石油取引などで富を築き、2003年6月にチェルシーを買収。オーナーとして私財を投じ、チームを強化してきた。オーナー就任以降、プレミアリーグを5度、FAカップを5度、リーグカップを3度、チャンピオンズリーグを2度、ヨーロッパリーグを2度、FIFAクラブワールドカップを1度制覇。ビッグクラブの仲間入りを果たしたが、“ロマン帝国”は思いがけない結末で終焉を迎えた。
今回チェルシーの買収を主導したベーリー氏は現在48歳。ウィリアム・アンド・メアリー大学やロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで経済学・金融学を学び、投資銀行『クレディ・スイス・ファースト・ボストン』や資産運用会社『グッゲンハイム・パートナーズ』などで働いてきた。2015年に共同で設立した投資会社『エルドリッジ・インダストリーズ』は、様々な分野に投資を行うコングロマリットに成長している。
『フォーブス』によると、ベーリー氏の個人資産はおよそ45億ドル(約5719億円)で、2022年は世界637位の大富豪。個人的にNBAロサンゼルス・レイカーズやMLBロサンゼルス・ドジャーズの少数株主なども務めている。
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By サッカーキング編集部
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