CLと英2部でのプレーを経験した選手たち [写真]=Getty Images
ウェールズ代表FWギャレス・ベイルの新天地はロサンゼルスFCに決まった。2013年から所属したレアル・マドリードでは5度のチャンピオンズリーグ(CL)優勝を経験したベイル。同クラブとの契約が今夏で満了となり、代理人がチャンピオンシップ(イングランド2部)のカーディフと交渉していることも伝えられていた。
最終的にベイルは地元へ戻ることよりも、メジャーリーグサッカー(MLS)に挑戦することを選んだが、CL覇者の看板を引っ提げ、2部リーグでプレーをする道を選択した選手も少なくない。イギリスメディア『デイリー・スター』は、過去にCL制覇を経験した後、チャンピオンシップでプレーをした10人の選手を紹介している。
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■ジョン・テリー
プレミアリーグ史上、最高のDFの一人だが、CLには苦い思い出が多いだろう。アカデミーからチェルシーに所属し、キャプテンとしてプレミアリーグの優勝トロフィーを5度も掲げたジョン・テリー。CLの決勝に初めて進んだのは2007-08シーズン。マンチェスター・Uを相手に1-1の同点で延長120分を終え、勝負の行方はPK戦へ。後攻チェルシーの5人目のキッカーを務めたテリー。決めればビッグイヤーを獲得できる状況下で失敗し、ライバルチームにトロフィーを譲った。2度目のファイナルは2011-12シーズン。バルセロナとの準決勝セカンドレグで退場していたテリーは、出場停止でバイエルンとの決勝の舞台に立つことができず。チームはPK戦の末にCL初制覇を果たしたが、テリーにとっては消化不良となった。
15個もの主要タイトルを獲得したチェルシーを2017年に退団したテリーは、当時チャンピオンシップのアストン・ヴィラに移籍。キャプテンとしてチームを昇格プレーオフ決勝まで導いたが、プレミア復帰を逃してクラブを退団。2018年10月に現役引退を発表した。
■ヌワンコ・カヌ
ナイジェリア代表として1996年のアトランタ五輪で金メダルを獲得する1年前、ヌワンコ・カヌはアヤックスの一員としてビッグイヤーを手に入れた。16歳でオランダの名門に加入し、2シーズン目の1994-95シーズンにルイ・ファン・ハール氏の下でCLを制覇したカヌ。ミランとの決勝ではクラレンス・セードルフとの交代で途中からピッチに入った。
アヤックスを離れた後はインテル、アーセナル、ウェスト・ブロムウィッチを渡り歩き、2006年に加入したポーツマスに残りのプレイヤー人生を捧げた。当時はハリー・レドナップ氏の下、プレミアリーグで戦っていたポーツマス。2007-08シーズンにはFAカップを制覇。決勝でカヌが唯一のゴールを決めて、翌季のUEFAカップ出場権を手に入れた。しかしここからクラブの運命が暗転。深刻な財政難に陥り、2010年2月に破産申請を行ったポンピー(ポーツマスの愛称)は、同年のプレミアリーグを最下位で終えてチャンピオンシップに降格。実績ある選手が次々とクラブを離れる中、カヌは再契約の形でポーツマスに残り、2012年夏まで2部リーグでプレーを続けた。
■ウェイン・ルーニー
エヴァートンで華々しくデビューを飾り、マンチェスター・Uで輝かしい13年を過ごした元イングランド代表FW。2004年に加入したマンチェスター・Uでは、プレミアリーグを5度制覇。2007-08シーズンのCLでは決勝でPK戦の末にチェルシーに勝利を収めた。チェルシーと勝ち点「1」差でリーグ優勝を逃した2009-10シーズンは、チームは無冠に終わりながらもPFAとプレミアリーグの年間最優秀選手賞をダブル受賞したルーニー。2017年に古巣エヴァートンに戻り、1年だけプレーをした後はアメリカに渡り、D.C.ユナイテッドでプレーをした。
2020年1月にチャンピオンシップのダービー・カウンティとコーチ兼任契約を交わし、同年11月から暫定監督を務めることになったルーニー。その後、同クラブの監督に正式に就任して現役を引退。選手としてはチャンピオンシップで30試合6得点という数字を残した。なお、破産申請等により勝ち点21を剥奪されたダービーは、2021-22シーズンを23位で終えてリーグ1(3部)に降格。クラブはルーニー監督の退任を発表している。
■アンディ・コール
決勝バイエルン戦で後半アディショナルタイムの劇的な2ゴールにより、マンチェスター・Uが制した1998-99シーズンのCL決勝。主役の座はスコアラーに名を刻んだ途中出場のテディ・シェリンガムとオーレ・グンナー・スールシャールに奪われた。しかしトレブルを達成した同シーズンのマンチェスター・Uでツートップを張っていたのは、ドワイト・ヨークとアンディ・コールだった。イングランドで12クラブを渡り歩いたA・コール。ニューカッスルの若手エースだった1993-94シーズンにプレミアリーグの得点王に輝いたが、キャリア最盛期は1995年1月から7年所属したマンチェスター・U時代。リーグ優勝を5回も経験した。
マンチェスターを離れた後も、ブラックバーン、フルアム、マンチェスター・C、ポーツマス等で、プレミアリーグの舞台でプレーを続けたA・コール。キャリア晩年はバーミンガムとバーンリーへのローン移籍でチャンピオンシップを経験。最後は生まれ故郷のノッティンガムに戻り、当時2部リーグ所属のノッティンガム・フォレストでキャリアに幕を閉じた。
■アシュリー・コール
キャリアを開始したアーセナルでは2003-04シーズンの無敗優勝を含めて主要タイトルを5つ獲得。同クラブで活躍している間にPFA年間ベストイレブンには3度も選出され、世界最高の左サイドバックとの呼び声も高かったアシュリー・コール。2006年に移籍したチェルシーでも、絶対的な左サイドバックとしての地位を固め、2011-12シーズンにはクラブ史上初のCL制覇に大きく貢献。決勝バイエルン戦では1-1の末にPK戦にもつれこむと、4人目のキッカーを務めて見事に成功させている。
チェルシーで8年を過ごした後は、ローマ、LAギャラクシーを経て2019年1月にチェルシー時代のチームメイト、フランク・ランパード氏が指揮を執っていたダービー・カウンティに加入。同シーズンが終わるまでのプレーとなったが、プレーオフを含めてチャンピオンシップで11試合に出場。アーセナルとチェルシー時代に計7度も優勝したFAカップでは、自身初となるゴールもマークした。
■エイドゥル・グジョンセン
キャリアで最も輝いたのはチェルシー時代だろう。2000年に当時2部のボルトンからチェルシーに加入したエイドゥル・グジョンセン。ジョゼ・モウリーニョ氏が監督に就任した2004-05シーズンにはレギュラーとしてリーグ制覇に貢献。翌季は連覇を達成した。CLチャンピオンに輝いたのはバルセロナ時代の2008-09シーズン。決勝マンチェスター・U戦では出場機会が訪れなかったが、バルセロナに在籍した3年間にグジョンセンは3つの主要タイトルを獲得した。
スペインを離れた後は、モナコやトッテナム、AEKアテネ等、欧州のクラブを渡り歩いた元アイスランド代表FWは、2014-15シーズン途中にボルトンに復帰。チャンピオンシップで21試合に出場し5得点を記録した。1年でボルトンを離れた後は、中国やインドのクラブにも在籍している。
■キコ・カシージャ
レアル・マドリードでCL制覇を3度も経験しているキコ・カシージャ。しかし3度の決勝の舞台で、カシージャに与えられたポジションは“控えGK”だった。下部組織からレアル・マドリードに所属していたが、一度も出場機会がないまま2007年にエスパニョールに移籍。リーガで正GKとして経験を積んだカシージャは2015年にレアル・マドリードに戻って来た。しかしコスタリカ代表GKケイロル・ナバスのバックアップに甘んじ、公式戦での出場は3年半で43試合に留まった。
2019年1月に当時チャンピオンシップのリーズに移籍し、即レギュラーの座を獲得。2019-20シーズンにはチャンピオンシップ王者にチームを導いた。しかしプレミア昇格を果たしたリーズは、リヨンからフランスU-21代表GKイラン・メリエを獲得。出場機会を失ったカシージャは、2021-22シーズンはエルチェにローン移籍。35歳のGKは新シーズンを前にリーズを離れる可能性が高いと見られている。
■ジョン・オビ・ミケル
元ナイジェリア代表MFミケルは、2006年から10年以上もチェルシーに在籍。公式戦372試合に出場し、2度のリーグ優勝に貢献した。CL制覇は2011-12シーズン。ベスト16まではベンチスタートが多かったミケルだが、ベスト8以降はロベルト・ディ・マッテオ暫定監督の下で全試合にフル出場。決勝バイエルン戦でも120分間フル稼働してビッグイヤーを掲げることに成功した。
アントニオ・コンテ氏が監督に就任した2016-17シーズンは完全に出場機会を失ったミケルは、「ナイジェリア代表でのポジションを失わないため」に、シーズン途中で中国の天津泰達足球倶楽部へ移籍。2年間プレーをした後、チャンピオンシップのミドルズブラに加入した。トラブゾンスポルを経て、2020-21シーズンもチャンピオンシップのストークでプレー。公式戦41試合に出場した。マイケル・オニール監督は残留を望んだが、ミケルはクウェートSCへの移籍を選択。しかしわずか4カ月でクウェートSCを退団し、35歳の現在は無所属となっている。
■ガリー・ケイヒル
チェルシーに在籍した7年半の間に全てのタイトルを獲得した。アストン・ヴィラでキャリアをスタートし、2007-08シーズン途中に移籍したボルトンで才能を開花させたガリー・ケイヒル。プレミアリーグのクラブで主力としてプレーを続けたケイヒルは、2012年1月にチェルシーへ完全移籍。2019年に契約満了に伴い、クリスタル・パレスへフリーで移籍するまでの間に、公式戦290試合に出場。プレミアリーグ、FA杯、ヨーロッパリーグ(EL)では2度ずつ優勝を果たし、リーグ杯、さらに2011-12シーズンのCLでもトロフィーを獲得した。
クリスタル・パレスでの2年契約を満了したケイヒルは、2021年にチャンピオンシップのボーンマスと契約。すぐに不動のセンターバックとしての地位を確立したが、冬の移籍市場でリヴァプールからローン加入したナット・フィリップスにポジションを奪われて以降は一度もピッチに立つことができず。ボーンマスはプレミア昇格を果たしたが、ケイヒルはまたしても契約満了を迎えることになった。12月に37歳の誕生日を迎える元イングランド代表DFは、この夏にどのような決断を下すのだろうか。
■ボージャン・クルキッチ
最後は現在ヴィッセル神戸に所属するボージャン・クルキッチだ。バルセロナのカンテラ育ちで、同クラブで164試合に出場。トップリーグに所属した2007年からの4年間で、3度のリーグ優勝と2度のCL制覇に貢献した。なお、ビッグイヤーを獲得した2009年と2011年の決勝は、いずれもマンチェスター・Uが相手だったが、ボージャンは2度ともベンチには入ったものの、出場機会は訪れなかった。
2011年にローマへ移籍し、2年後にバルセロナに復帰したボージャン。アヤックスへのローン移籍を経て、2014年に当時プレミアリーグのストークと契約を締結。クラブが同リーグ19位に終わった2017-18シーズンはアラベスにシーズンローンに出ていたが、2018年夏に2部へ降格したストークに復帰すると、チャンピンシップで21試合に出場した。その後、MLSのモントリオールで2シーズンを過ごした天才FWは、2021年にヴィッセル神戸に電撃加入をしている。
(記事/Footmedia)
※記事内容に誤りがありましたので、訂正いたしました(7月1日 20時33分)
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By Footmedia