カーディフへの移籍途中に亡くなった元ナントのサラ氏 [写真]=Getty Images
2019年1月に飛行機墜落事故で亡くなったアルゼンチン人FWエミリアーノ・サラ氏の移籍金をめぐり、スポーツ仲裁裁判所(CAS)がカーディフ・シティの主張を退けた。26日にイギリスメディア『BBC』などが報じた。
サラ氏は2019年1月19日にナントからカーディフへの完全移籍が決定。しかし、契約締結のためフランスからイギリスに向かう途中で飛行機事故に遭い、28歳の若さで亡くなった。
ナントはカーディフに対し、移籍金1700万ユーロ(約23億円)の支払いを要求。移籍金は3年間の分割払いだったが、カーディフは正式な選手登録が行われていなかったことを理由に支払いを拒否していた。そして国際サッカー連盟(FIFA)は2019年9月、カーディフに対し、分割払いの初回分である600万ユーロ(約8億円)をナントに支払うよう通達。カーディフはこれを不服とし、CASへの上訴を行っていた。
複数回にわたり書面提出の期限が延長されたこともあり、最初の聴聞会がCAS本部で行われたのは今年3月のことだった。CASは「提出されたすべての証拠と両クラブが提出したすべての主張を十分に考慮した結果、ナントからカーディフ・シティへの同選手の移籍が完了した」と判断。「同選手の死亡前に契約で定められた条件が満たされたため」、カーディフの上訴を棄却し、同クラブにナントへ分割払いの初回分である600万ユーロを支払うよう命じた。なお、今回の裁定は最初の600万ユーロのみを対象としており、残る1100万ユーロ(約15億円)については議論されていない。
しかしながら、カーディフはCASの裁定を受けて、「カーディフ・シティはCASの決定に失望しています」と声明を発表。さらに別の機関で争う姿勢を示した。
「この裁定は、FCナント(およびその代理人)の事故に対する責任という重要な問題を決定するものではなく、したがって、別の場で決定される必要があります。クラブの弁護士が判決理由を整理した後、我々は上訴する予定であり、その間ナントへの支払いは行わない予定です。もし、これらの訴えが却下され、クラブが移籍金を支払う義務がある場合、クラブはその損失を取り戻すため、事故の責任者に対して損害賠償を求める法的措置を取ることになります。これにはFCナントとその代理人が含まれます」
「私たちの思いは、クラブが設置した信託によって経済的に支援されているエミリアーノの家族に向けられ続けるでしょう」
一方、ナントは次のような声明を発表している。
「FCナントは、スポーツ仲裁裁判所(CAS)による本日の控訴審判決を歓迎します。CASはカーディフ・シティの訴えを全面的に退け、エミリアーノ・サラ選手の移籍に関して2019年9月25日にFIFAが下した決定を確定させました。そこで裁判所は、FCナントが訴訟当初から主張していたように、同選手が航空事故で悲劇的な死を遂げた時点で、カーディフ・シティへの移籍が完了したと判断しました。その結果、CASはカーディフ・シティにFCナントへの移籍金の支払いを命じ、カーディフには手続き費用と仲裁費用として歴史的に高額な費用の支払いを命じました」
「カーディフ・シティによって開始され、その後何度も延期されたこの手続きは、エミリアーノに近いすべての人々にとって困難なものでしたが、ようやく完了したことを喜んでいます。クラブは、選手の家族を尊重して決して反応しなかった世間の誤った風評がこれで終わることを望んでいます」
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By サッカーキング編集部
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