アーセナルとマンチェスター・Uが対戦する [写真]=Getty Images
19年ぶりのプレミアリーグ制覇を目指して首位をひた走るアーセナル。先週末のノースロンドン・ダービーに続いて、今週末も優勝争いを左右する大一番を迎える。
アーセナルは宿敵トッテナムを2-0で下し、第3節から守り続けている首位の座を堅持。2位マンチェスター・Cに勝ち点差「5」をつけて今週末を迎えた。このままリードを守りたいところだが、今節も厄介な相手との一戦が待っている。3位につけるマンチェスター・Uをホームに迎えるのだ。
それでは、22日に行われるアーセナル対マンチェスター・Uの上位決戦をプレビューしよう。
[写真]=Getty Images
■首位アーセナル
アーセナルの勢いが止まらない。昨夏に加入した絶対的エースのFWガブリエウ・ジェズスがFIFAワールドカップカタール2022中のケガで離脱したにもかかわらず、リーグ再開後も3勝1分0敗と絶好調。135年の歴史を誇るイングランドのトップリーグにおいて、開幕18試合で勝ち点「47」以上の成績は史上7チーム目だという。過去6チームのうち優勝を逃したのは、18試合で勝ち点「48」を稼いでいた2018-19シーズンのリヴァプール(最終的に2位)だけ。そう考えると、3連覇を目指すマンチェスター・Cが背後に迫っているとはいえ、アーセナルの19年ぶりのリーグ制覇が現実味を帯びてきたと言えるだろう。
今のアーセナルは若い力が躍動している。先発メンバーの平均年齢は、今季プレミアリーグで最年少の「24歳237日」。とりわけ好調なのは、24歳のMFマルティン・ウーデゴーアと21歳のMFブカヨ・サカである。主将を務めるウーデゴーアは前節トッテナム戦でもミドルシュートを叩き込んで勝利に貢献。今季ここまでリーグ7位タイとなる8ゴールを奪っており、既に昨シーズンのゴール数「7」を越えている。サカだって負けていない。今季ここまで6ゴール7アシストと決定的な仕事をしており、アシスト数はMFケヴィン・デ・ブライネ(マンチェスター・C)の「10」本に次いでリーグ2位を記録している。
「子供たちでは何も勝てない」。イングランドのフットボール史に刻まれた“迷言”が間違っていたことは既に証明されている。1995年、元リヴァプールの人気解説者であるアラン・ハンセンが若手だけでは優勝できないとして前述のコメントを残したが、それを見事に覆したクラブこそ、今回のアーセナルの相手だ。マンチェスター・Uはデイヴィッド・ベッカム、ギャリー・ネヴィル、ポール・スコールズ、ライアン・ギグスといった生え抜きの若手、いわゆる“ファーギーズ・フレジリングス”を擁して1995-96シーズンにプレミアリーグを制すると、そこから黄金期を築いたのだ。
■鬼門のマンチェスター・U戦
優勝を目指すアーセナルにとって最大のハードルの1つが、今回のマンチェスター・U戦だ。プレミアリーグでのホームでの対戦に限ると過去7シーズンで5勝1分1敗と相性が良いが、決して一筋縄でいく相手ではない。それは今季最初の対戦で思い知ったことだ。9月4日に『オールド・トラッフォード』で対戦した際、FWガブリエウ・マルティネッリの先制ゴールをVARの判定で取り消されるという不運はあったものの、アーセナルはマンチェスター・Uの快速アタッカーに苦汁をなめさせられた。
マンチェスター・Uでのデビュー戦となったブラジル代表FWアントニーに先制点を奪われると、サカのゴールで一度は追いついたものの、DFラインの背後のスペースを狙われてFWマーカス・ラッシュフォードに2ゴールを許して1-3で敗れた。アーセナルにとって今季プレミアリーグでの唯一の敗戦が、その時のマンチェスター・U戦なのだ。
とりわけ、ラッシュフォードには細心の注意が必要だろう。ミッドウィークのクリスパル・パレス戦では久しぶりにノーゴールに終わったが、それまで公式戦7試合連続ゴール(計8点)。先週末のマンチェスター・ダービーでも決勝ゴールを決め、1959年のデニス・ヴァイオレット以来となるホームゲーム9試合連続ゴールのクラブ記録を達成した。何よりラッシュフォードはアーセナル戦を大の得意としている。2016年2月、ラッシュフォードは「18歳120日」でプレミアリーグデビューを飾ると、いきなり2ゴールの大活躍。その時の相手がアーセナルだったのだ。
さらに今季の対戦でも2ゴールを決めており、先発出場したプレミアリーグでのアーセナル戦は10試合で8ゴールに直接関与している(4ゴール4アシスト)。同選手が最も直接ゴールに絡んでいる相手こそアーセナルなのだ(とはいえ、アウェイ戦では一度もゴールに絡めていないのだが…)。
■カードトラブル?
プレミアリーグには「19試合カット」というルールがある。開幕から19試合目まではイエローカード累積5枚で1試合出場停止となる。だが、20試合目からは5枚目を貰っても出場停止処分にはならない(10枚貰うと2試合停止)。そのため監督にとって「19試合目」は特別なゲームなのだ。
マンチェスター・Uは、その19試合目が今月18日のクリスタル・パレス戦だった。MFブルーノ・フェルナンデスのゴールでリードしていたが、終了間際に同点ゴールを許して公式戦の連勝が「9」でストップ。そして、同試合でチームの心臓部であるMFカゼミーロが今季5枚目のイエローカードを貰ってしまい、今回のアーセナル戦に出場停止となる。カゼミーロ不在で、どうやってウーデゴーアを止めるのか注目だ。ちなみにマンチェスター・Uは今季、カゼミーロが出場した試合は1試合平均「0.7失点」だが、同選手が欠場した試合は「2失点」となっている。
一方でアーセナルは、このマンチェスター・U戦が今季リーグ戦の19試合目となる。DFガブリエウ・マガリャンイス、DFウィリアン・サリバ、サカ、ジェズス(負傷欠場)の4名がイエロー4枚のリーチ状態にあり、この試合で警告を貰ってしまうと次節のエヴァートン戦に出場停止となる。もちろんエヴァートン戦のことは意識せずに目の前のマンチェスター・U戦だけに専念するだろうが、いずれにせよイエローカードは少し気にしておきたいところだ。
■新戦力の活躍は?
アーセナルは20日にブライトンからFWレアンドロ・トロサールを獲得しており、新戦力のデビューに注目が集まる。ミケル・アルテタ監督は、これまでプレミアリーグで116試合25ゴールの実績を残している同選手について、「彼はこのリーグを分かっているので、すぐにインパクトを残してくれるはず」と即戦力として期待を寄せる。チェルシーに横取りされたFWミハイロ・ムドリクの代替とはいえ、流動的な攻撃が自慢のアーセナルには適した補強かもしれない。
ウインガーながら最前線も任せられるトロサールは、3トップのどこでも出場可能だ。足元の技術に長けており、「間違いなく我々のスタイルにフィットする」とアルテタ監督も太鼓判を押す。昨シーズンから数えてリーグ戦で15ゴールを決めているが、何といっても“大物食い”が目立つ。今季はマンチェスター・C戦やチェルシー戦でゴールを決めているほか、10月にはプレミアリーグ史上3人目となるアンフィールドでリヴァプール相手にハットトリックを達成した。昨シーズンはアーセナル戦、トッテナム戦、そしてマンチェスター・U戦でもゴールを決めている。
対するマンチェスター・Uでは、前述のクリスタル・パレス戦で新加入のFWボウト・ベグホルストが先発出場でデビューを飾った。ゴール前での見せ場はほとんどなかったが、前線から下りてきて何度もくさびに入り、周りを生かそうとしていた。197センチメートルの長身のせいで誤解されがちだが、ベグホルストは単純なターゲットマンではなく、ビルドアップに参加してからDFラインとの駆け引きで背後を突くストライカーなのだ。その形がはまればゴールも期待できる。
果たして、今回の大一番で新戦力は結果を残せるのか。それとも、お馴染みの主力が躍動するのか。優勝争いを占うビッグゲームに注目したい。
(記事/Footmedia)
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By Footmedia