FAカップ4回戦で対戦するマンチェスター・Cとアーセナル [写真]=Getty Images
プレミアリーグの“トップ2”がカップ戦で相まみえる。リーグ優勝の行方も左右しかねない注目のビッグマッチだ。それでは27日(日本時間の28日5時)に開催されるFAカップ4回戦の大一番「マンチェスター・C対アーセナル」をプレビューしよう。
[写真]=Getty Images
■近年はマンチェスター・Cが圧倒
今季プレミアリーグでは19年ぶりのリーグ制覇を目指すアーセナルが首位をひた走っている。2位につけるマンチェスター・Cとは5ポイント差。まだリーグ戦で2度の対戦を控えているとはいえ、現時点ではアーセナルの方が1試合少ないため「実質8ポイント差」と想定することだってできる。今季はアーセナルが一歩前にいるわけだが、近年の対戦成績を見るとマンチェスター・Cが圧倒している。
過去5シーズンで4度のリーグ優勝を誇るクラブは、2016年夏にジョゼップ・グアルディオラが監督に就任して以降、アーセナルを“カモ”にしてきた。ペップ政権のマンチェスター・Cはアーセナルと16回対戦して「13勝1分け2敗」。そして現在5連勝中だ。プレミアリーグの対戦に限ると12戦で「11勝1分け」と一度も負けていない。ペップにとって類似タイプのアーセナルは与し易い相手なのだろう。バルセロナ時代から数えて、ペップが監督として最も勝利を収めている相手がアーセナルなのだ(24戦で17勝3分け4敗)。
しかし、フットボールとは不思議なもので世界最古のカップ戦と呼ばれるFAカップの対戦では話が変わってくる。ペップは、FAカップの試合ではアーセナルに勝ったことがないのだ。それどころか、2戦して2度とも敗れているのである。2017年と2020年にFAカップの準決勝で対戦し、圧倒的に有利と見られながらもアーセナルに苦汁をなめさせられた。そして、その2回ともアーセナルは頂点まで上り詰めており、2020年には就任わずか半年のミケル・アルテタがトロフィーを手にした。
ちなみに両チームはFAカップで通算5度対戦しており、アーセナルの4勝1敗。アーセナルは勝利した4回とも決勝まで勝ち上がっており、アーセナルからするとFAカップのマンチェスター・Cは“縁起物”なのかもしれない。
■相思相愛の師弟対決
ご存知の方も多いと思うが、両チームの対戦は“師弟対決”だ。アルテタ監督は2016年に現役を退くと、古巣アーセナルやトッテナムの誘いを断ってマンチェスター・Cを率いるペップの元で指導者の道を歩み始めた。そして2019年12月にアーセナルの監督に就任するまで、3年半も同門バルセロナの先輩であるペップの右腕を務めたのだ。
だからアルテタは前日会見で「変な気分だ」と漏らした。ペップと優勝争いを演じることについて「私は彼の成功を願っているので、他の人と競い合う方が楽だ」と認めたうえで、こうも説明した。「もちろん、いつか彼と(優勝を)争える日がくることを願っていた。それが今シーズンになったわけさ。それでも私たちの友情は変わらない。私の人生、指導者キャリアにおいてペップは大切な人だからね」
当然、二人の友情は相思相愛だ。ペップも「もちろん彼はライバルだ。我々は互いを倒したいと思っているし、負けたときは親友とは思えないだろうね」と前置きしたうえで「私は人として、監督として彼を大いにリスペクトしている。それはタッチライン上で衝突したって変わらないさ」とアルテタへの想いを口にした。
確かにアルテタは、ペップを彷彿させるほどベンチ前でせわしくなく情熱的に振る舞う。先週末のマンチェスター・U戦では、審判の判定に不服を示してイエローカードを提示されたほどだ。ペップの影響が大きいようにも感じるが、そうではないと否定する者がいる。「私が彼に教えたことなど取るに足らない。彼の性格は、彼が父や母から受け継いだものさ」とペップは説明する。さらにペップは、自分のおかげでアーセナルが改革に成功したという見解についても否定した。「アーセナルの躍進は、全てミケル(アルテタ)の手腕によるものだ。私が与えた影響? それはゼロだ。ゼロなんだ。『私が彼を指導したおかげさ』なんて話はデタラメだ」
だが、いくらペップが否定しても、彼がアーセナルのチーム再建に間接的に加担したことは間違いない。なぜならペップは“右腕”だけでなく“二人の勝者”までノースロンドンに提供したのだから…。
■ペップからの贈り物
アーセナルの躍進の要因は何なのか? 監督の手腕、MFマルティン・ウーデゴーアの自信、ケガが減ったMFトーマス・パルティ、MFグラニト・ジャカの変貌…。挙げ始めたらきりがないが、全ての要素を集めたとしても、それが噛み合うためにはきっかけが必要だったはずだ。そして、それをチームにもたらしたのは昨夏マンチェスター・Cからやってきた“二人の勝者”だろう。
アルテタが古巣マンチェスター・Cからブラジル代表FWガブリエウ・ジェズスとウクライナ代表DFオレクサンドル・ジンチェンコを獲得した際、その判断を疑う者もいたはずだ。両選手ともマンチェスター・Cでは確固たる地位を築けておらず、マンチェスター・Cの余剰戦力の整理を手伝ってしまったようにも映ったのだ。しかし、蓋を開けてみれば全く違った。
世界的タレントが揃うマンチェスター・Cの中では少し埋もれがちだったが、両選手とも間違いなくワールドクラスの選手であり、一流のプロフェッショナルなのだ。ジェズスは、ワールドカップでケガをするまで圧倒的なボール保持力と献身的なプレスでアーセナルの攻撃を牽引。一方、ジンチェンコは失えば危険なエリアでも平然とパスをつないで味方に自信と勇気を与え、偽サイドバックとしてゲームメイクまで行う。何より、彼らの練習態度やサッカーと向き合う姿勢は、間違いなくチームメイトの刺激となった。
今回、ケガのジェズスは欠場するが、アルテタ監督がメンバーを落とさなければジンチェンコはピッチに立つだろう。このカードの古巣対戦となると、中東の潤沢な軍資金を得たマンチェスター・Cが立て続けにアーセナルから選手を引き抜いた頃が懐かしい。コロ・トゥーレ、ガエル・クリシ、サミル・ナスリ、バカリ・サニャ、そしてエマニュエル・アデバヨール…。中には古巣相手にゴールを決めて80mもピッチを疾走して問題になったプレーヤーもいたよね!?
■リーグタイトルは?
今回の対戦は今季プレミアリーグの優勝争いの“予行練習”と言えるだろう。両チームは、今季リーグ戦では一度もぶつかっておらず、まだ2度の直接対決を残している。首位攻防戦の第一章は、約3週間後の2月15日に予定されている。そのため、今回の対決がプレミアリーグの優勝戦線に影響を及ぼすと考えるのが自然だろう。
無論、当事者は否定しがちだ。アルテタは「(勝てば)チームに勢いと自信を与えてくれる」とこの一戦の重要性を認めつつも「リーグ戦とは全くの別物だ。状況が全然違う」と協調する。確かに今回の試合結果ではリーグ優勝は決まらない。むしろ、過密日程を避けるために負けた方が有利になるという考えさえある。それならば、リーグ戦を本番と考えたときに、今回のFAカップは「エピソード0」とでも呼ぶべきか。
いずれにせよアーセナルにとっては自分たちの現在地を知る意味で良いテストになるだろう。果たして、ミケル・アルテタは「私が思うに世界最高のチーム」を相手に敵地で結果を残せるのだろうか? マンチェスター・C対アーセナルの大一番に注目したい。
(記事/Footmedia)
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