プレシーズンが始まり、各クラブが新戦力の獲得を目指して移籍市場が賑わう中、もっと身近なところ、すなわちアカデミーに目を向けるクラブもある。どのチームもアカデミーを所有しており、金銭面やファンとの繋がりを考えると、アカデミー出身の若手が活躍してくれれば、クラブにとってそれほど良いことはない。そこで今回は2023-24シーズンを前に、イギリスメディア『Planet Football』が選出した各クラブの注目の若手選手を紹介しよう。今日は2022-23シーズンのトップハーフのチームを紹介する。
[写真]=Getty Images
■フルアム:ジェイ・スタンスフィールド
2022-23シーズン、フルアムはプレミアリーグでクラブ史上2番目に高い勝ち点「52」でフィニッシュ。トップリーグでのトップハーフ入りは2011-12シーズンぶりのことだったが、マルコ・シウヴァ監督は若手ではなく経験豊富な選手を好んで起用していた。
そんなフルアムで『Planet Football』が選んだのはジェイ・スタンスフィールドだ。現在20歳のストライカーは、昨シーズンはリーグ1(イングランド3部)のエクセターにレンタル移籍で加入し、リーグ戦36試合の出場で9ゴール7アシストと結果を出した。
クラブの絶対的エースであるセルビア代表FWアレクサンダル・ミトロヴィッチは現在、サウジ・プロフェッショナルリーグへの移籍が取り沙汰されている。仮にサウジ行きが実現した場合、クラブは代役を探すこととなるだろうが、スタンスフィールドが出番をもらう可能性も高くなるだろう。
■ブレントフォード:ロメオ・ベッカム
アカデミーを廃止してBチームを設立するなど、独自の育成を行うブレントフォードには魅力的な若手も多い。結局、プレミアリーグのルール変更によってアカデミーは再開された中、注目の選手を挙げるのなら、Bチームに所属するロメオ・ベッカムだろう。
元イングランド代表MFデイヴィッド・ベッカムの次男であるロメオ・ベッカムは、過去にはアーセナルの育成組織に所属。アーセナル退団後はサッカーから離れた時期もあったが、2021年9月に父親が共同オーナーを務めるメジャーリーグ・サッカー(MLS)のインテル・マイアミのBチームに入団。昨年9月からブレントフォードの練習に参加し、1月にインテル・マイアミからのレンタル移籍により正式加入。そして、今年の夏に完全移籍を果たした。
完全移籍で獲得したということはブレントフォードがロメオ・ベッカムに何か特別なものを見出したということだろう。それが何なのか、新シーズンで見られることを期待しよう。
■トッテナム:アルフィー・ディヴァイン
アンジェ・ポステコグルーを新監督に招へいし、新時代を迎えたトッテナム。指揮官のアイデアとキャラクター、新加入選手たちにより、すでにクラブには新しい風が吹き込まれているが、ポステコグルーはユース出身で18歳のディヴァインをトップチームに帯同させるという決断も下している。
5月のFIFA U-20ワールドカップアルゼンチン2023ではU-20イングランド代表の「7番」を背負い、4試合で2ゴール1アシストと結果を残したディヴァイン。情熱を持ったクリエイティヴな若手こそ、昨シーズンの戦いに気落ちしたスパーズファンにとって最も必要な存在であり、彼が新生トッテナムでどこまで出番をもらえるのか注目だ。
■アストン・ヴィラ:キャメロン・アーチャー
多くの人にとって無名な存在であるアーチャーだが、この21歳がここ半年で見せた活躍は目覚ましいものがある。
1月からチャンピオンシップ(イングランド2部)のミドルズブラにレンタル移籍で加入すると、20試合で11ゴール6アシストと爆発。チームを昇格プレーオフ進出に導くと、先日のUEFA U-21欧州選手権2023では、U-21イングランド代表の一員として2ゴール1アシストで優勝に貢献した。
ウナイ・エメリ監督が、これまで数々のストライカーを見出してきたことを考えれば、新シーズンにアーチャーが爆発する可能性は十分に考えられる。
■ブライトン:エヴァン・ファーガソン
『Planet Football』をして「正直、誰を選んでも良かった」と言わしめたブライトンからはアイルランド代表FWエヴァン・ファーガソンが選出された。
昨年12月後半からリーグ戦でチャンスを得たファーガソンは、結局プレミアリーグ19試合のピッチに立って6ゴール2アシストを記録。4月にクラブと2028年までの新契約を結んだストライカーは、2023-24シーズンに本格的なブレイクを果たすこととなるかもしれない。
ファーガソンはまだ18歳ながら、ストライカーに必要なものを全て持ち合わせている。新シーズンはクラブ史上初の欧州大会となるヨーロッパリーグ(EL)を戦うブライトンだが、ファーガソンがどのようなプレーを見せるのかにも期待だ。
■リヴァプール:ステファン・バイチェティッチ
2023-24シーズンに向けてチームの刷新を行っているリヴァプールにおいて、18歳のバイチェティッチの重要性はこれまで以上に大きなものになるだろう。
昨シーズン、年齢にそぐわぬ落ち着きや技術でユルゲン・クロップ監督の信頼を得ていたバイチェティッチだったが、3月に内転筋を負傷し、一足先にシーズンが終了。チームも結局チャンピオンズリーグ(CL)出場権を逃すなど悔しい思いをしただけに、新シーズンへのモチベーションは高いはずだ。
■ニューカッスル:ガラン・クオル
Aリーグ・メン(オーストラリア1部)で高い評価を得て、昨年夏にニューカッスルへの完全移籍に合意したクオル。1月から正式にチームに加わったが、そのままスコットランドのハーツに武者修行へ向かい、公式戦9試合に出場して1ゴールを記録した。
昨年夏にAリーグ・オールスターズの一員としてバルセロナと対戦した際には、シャビ・エルナンデス監督をして「彼は本当によくやった。何度もチャンスを作り、もう少しでゴールというところまで行った。17歳なんて信じられない」と言わしめたクオル。18歳のウィンガーは、もう1シーズン他のチームへのレンタル移籍で経験を積むことになるかもしれないが、エディ・ハウ監督にとって気になる存在であることに間違いはないだろう。
■マンチェスター・U:コビー・メイヌー
マンチェスター・Uのファンにとって、メイヌーは馴染みのない名前ではないはずだ。だが、一般的なファンは、昨シーズンのカラバオ・カップ準々決勝チャールトン戦でトップチームデビューを果たしたこの18歳のことをほとんど知らないだろう。
しかし、エリック・テン・ハフ監督は、間違いなくこのメイヌーを高く評価している。昨シーズンは何度もファーストチームの練習に参加させ、新シーズンに向け背番号も「73」から「37」に変わった。
プレーぶりを育成組織出身の先輩である元フランス代表MFポール・ポグバ(現:ユヴェントス)とも比較されるメイヌーは、プレシーズンもトップチームに帯同し、12日にノルウェーで行われたリーズとの親善試合にはスタメンで出場。このままアピールを続けられれば、チームの中で立ち位置を見つけられるかもしれない。
■アーセナル:イーサン・ヌワネリ
昨年9月、「15歳181日」でプレミアリーグのみならず、イングランドのトップリーグ史上最年少出場記録を樹立したヌワネリ。生まれたのはなんと2007年だ。
プロ契約を結べるのは17歳になってからであり、アーセナルはそれまでチェルシーやマンチェスター・C、リヴァプールといったライバルからヌワネリを必死に守ることになる。しかし、ミケル・アルテタ監督はヌワネリを高く評価しており、それは最年少デビューをさせたことからも伺える。
結局、トップチームでの出場は最年少デビューを果たした1試合のみにとどまっているが、1つ年をとったヌワネリが新シーズン、どの程度チャンスをもらえるのかは注目だ。
■マンチェスター・C:リコ・ルイス
昨シーズン、突如マンチェスター・Cのトップチームに割り入り、ブレイクを果たしたかのように見えたルイスだったが、“トレブル”を目指すシーズン終盤は再びベンチに座ることが多くなり、FAカップとCLの決勝はどちらも出番がなかった。
そのまま3冠を掴んだマンチェスター・Cにはリフレッシュが必要であり、イングランド代表DFカイル・ウォーカーの去就も不透明となっている今、ルイスにかかる期待は大きい。『Planet Football』は「彼はスターになっていくだろう」と予想しつつ「もしそうならなくても、数年後にとんでもない額で売ることも可能だ」と綴っている。
(記事/Footmedia)
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By Footmedia