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不発のハーランドにラムズデールの好セーブ…コミュニティ・シールドの現地評は!?

2023.08.07

 今月11日(金)のプレミアリーグ開幕を前に、毎年恒例となっているコミュニティ・シールドが6日に開催された。

 昨季のプレミアリーグの“トップ2”が激突したコミュニティ・シールドは、アーセナルが王者マンチェスター・C(マンC)にPK戦の末に競り勝った。試合は0-0で迎えた77分、昨季3冠を達成したマンCが途中出場のMFコール・パーマーの華麗なミドルシュートで先制。そのまま逃げ切るかに思われたが、昨季プレミアリーグ2位のアーセナルが意地を見せ、後半の追加タイム11分にこちらも途中出場のFWレアンドロ・トロサールのゴールで追いついた。

 1-1のままPK戦に突入すると、マンCが3本中2本のPKを失敗し、PKスコア1-4で今季最初の栄冠をアーセナルに譲った。コミュニティ・シールドの結果は本番のリーグ戦にはあまり影響がないが、それでも2003-04シーズン以来のリーグ制覇を目指すアーセナルにとっては自信につながる勝利だったはずだ。

 アーセナルは新戦力のDFユリエン・ティンバー、MFデクラン・ライス、MFカイ・ハフェルツが揃ってスタメン出場。昨季3戦全敗だったマンCに勝利したことで新シーズンに向けて弾みのつく勝利となった。その一戦を英国メディアはどのように見たのか--。出場した選手たちの採点を見てみよう。

 プレミアリーグ開幕を翌週に控えた“前哨戦”のような位置づけとなっているコミュニティ・シールドは、公式戦ではあるがチームや選手の状態把握に加え、お祭り的な要素も強い。今回の試合も互いに相手の出方を探る時間が長く、エキサイティングな打ち合いを期待していたファンからすると少し肩透かし食らった感じだったのかもしれない。

 それを反映するかのように全国紙『Daily Telegraph』紙の採点は全体的に低く、両チーム合わせて先発22名のうち実に16名が6点以下(10点満点)という寂しい採点結果になった。昨季ゴールを量産したマンCのFWアーリング・ハーランドも64分まで出場しながらシュートは0本。タッチ数13回でドリブル突破を試みたのも1回だけと、見せ場を作ることができなかった。『Daily Telegraph』の採点も両チーム合わせて最低タイとなる5点。寸評の内容も「試合に入るのに苦労。チャンスは少なく、彼には全く回ってこなかった。それでも運動量とポストプレーは悪くなかった」というものに。

 マンC側で7点以上の採点を得たのは3名だけ。中盤の軸であるMFロドリは「昨季チャンピオンズリーグ決勝で決勝点を決めたようにゴールへの嗅覚がある。序盤にボックス外から惜しいシュートを放ったほか、ハーフウェイラインからのシュート、さらにダイビングヘッドでもゴールに迫った」として7点。DFルベン・ディアスも「重要なデュエルを制していた」として7点の評価を得た。

 そしてチーム最高の8点を付けられたのがDFジョン・ストーンズ。「15分過ぎから中盤を徘徊するようにもなったが基本的には通常のセンターバックとしてプレーし、全てを止めた。腕を後ろに隠して体でブロックする場面も」と評された。

 PK戦を制したアーセナルも7点以上の採点は3名だけ。マンC同様に最終ラインが評価され、センターバック(CB)のウィリアン・サリバは「夏に契約を更新して去就問題も安心。今季も守備の中心となるだろう。落ち着いており、ポジショニングも良く、ハーランドが彼に引き寄せられた」として7点。左サイドバック(SB)として先発出場した新戦力のユリエン・ティンバーも同じく7点。「昨季アヤックスでは主にCBだったが左SBもしっくりくる。危機回避できるスピードもあるし、ボールを持って中に入ることもできる」と評価された。

 そしてアーセナルのマン・オブ・ザ・マッチに選出されたのが守護神アーロン・ラムズデールだ。「ロドリのハーフウェイラインからのシュートにも反応し、後半はストーンズ、フォーデン、ロドリのシュートを止めた。パーマーの得点は仕方ない。PK戦でも見事なセーブを見せた」として8点が与えられた。

 一方で、1億500万ポンド(約190億円)でウェストハムから加入したMFデクラン・ライスについては「最高額の英国人プレーヤーは動き回って空中戦で体を張った。流れを生み出す役目は果たせなかったが、それは新しいチームメイトやスタイルに慣れれば発揮されるだろう」として6点に留まった。

 全国紙と違い、ロンドン紙『Evening Standard』はアーセナルの先発11名中9名に7点以上の高い点数を付けた。ライスについても「極上の公式戦デビューではなかったが、後半に入ると彼らしい運動量を見せてギアを上げていき、最終的には精力的なパフォーマンスを披露。そのスタミナこそ彼が世界中のMFとは一線を画す部分」として8点の高評価を付けた。

 ライス同様に8点を付けられたのは右SBのベン・ホワイト。「うまくボールをさばき、マンCのジャック・グリーリッシュにも対応。攻撃力も発揮し、CBよりもサイドバックとして優れていることを証明した」と評した。そしてチーム最高点を得たのは、やはり好セーブを披露したGKラムズデールだ。PK戦でもロドリのシュートを止めてチームを勝利に導いた守護神には10点中9点という採点が付けられた。

 同じロンドンのメディアである『Football London』は、ラムズデール、ホワイト、ティンバー、そしてMFマルティン・ウーデゴールと同点ゴールのFWレアンドロ・トロサールにチーム最高の7点を付けた。腕章を巻くウーデゴールについては「素敵な足技などを見せ、ボールを持った際の能力を披露。後半は良いパフォーマンス」と評し、同点弾を決めたトロサールのことは「土壇場でその価値を発揮。スーパーなインパクト」と称えた。

 一方、マンチェスターの地元紙『Manchester Evening New』は、ハーランドとグリーリッシュに辛い評価を付けた。58分でフィル・フォーデンに代えられたグリーリッシュについては「ほとんどプレーに関与できず早い時間帯で交代」、ハーランドについても「いくつか良いタッチはあったが、マンCがチャンスを作れずほとんどパスの供給なし」として二人ともチーム最低の5点となった。

 先発陣が高評価を得られないなか、チーム最高の8点を与えられたのは交代出場の2名だ。57分から登場したフォーデンは「先制ゴールに関与し、自ら2点目を決めかけた」として8点。さらにマテオ・コヴァチッチに代わって64分から出場したMFケヴィン・デ・ブライネについても「この試合のベストプレーヤー。30分間で、他の選手の90分以上の働き。でもPKは蹴らない方がいいかも…」と、PK戦でシュートを外してしまった点を指摘しつつも、チームの絶対的ゲームメーカーを称えた。

 昨季のチャンピオンズリーグ決勝でハムストリングを痛めて途中交代し、怪我が心配されていたデ・ブライネだが途中からピッチに立ってサポーターを安心させた。やはりシティのプレミアリーグ4連覇のカギを握るのは稀代のチャンスメーカーということか。

 果たして新シーズンはどんなタイトルレースが繰り広げられるのか? 世界最高リーグの開幕が待ち遠しい。

(記事/Footmedia)

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