今週末に激突するアストン・ヴィラとブライトン [写真]=Getty Images
トッテナム対リヴァプールなど好カードが揃う今週末のプレミアリーグ第7節で、リーグが公式HPで真っ先に特集したのは30日(土)に行われるアストン・ヴィラ対ブライトンの一戦だった!
この両者の対戦カードが注目カードとして特集されるなんて数年前までは考えられなかった。それが今ではイギリスメディア『スカイスポーツ』の中継カードに選択され、土曜日のランチタイムに開催されるのだ(日本時間30日の午後8時30分)。古豪とはいえ、アストン・ヴィラがチャンピオンズカップを制して欧州の頂点に立ったのは40年以上も前の話。ブライトンに至っては主要タイトルとは無縁で、2017年に34年ぶりトップリーグに返り咲いたチームで申し訳ないがビッグクラブとは呼べない。だが、ここ1年の両チームの快進撃により、この試合は注目カードとして扱われるようになったのだ。
プレミアリーグ公式HPが注目したのは両チームを率いる二人の名将だ。「欧州有数のリスペクトされる戦術家の対戦」として戦術バトルに注目している。当然だろう。両監督とも昨シーズンの途中にプレミアリーグにやってくると、一気にチームを飛躍させたのだ。
スティーヴン・ジェラード氏の後任として昨年11月にアストン・ヴィラの監督に就任したウナイ・エメリ氏(51歳)は、17位にいたチームを最終的に7位まで引き上げた。その間に「勝ち点49」を稼いでおり、同期間だけを見ればマンチェスター・シティ(60ポイント)、アーセナル(53)、マンチェスター・ユナイテッド(52)、リヴァプール(51)に次ぐ5位の成績だった。
対するブライトンのロベルト・デ・ゼルビ監督は、チェルシーに引き抜かれたグレアム・ポッターの後任として昨年9月に監督に就くと、やはり快進撃を見せてクラブ史上最高の6位でフィニッシュし、初めてブライトンを欧州カップ戦出場に導いたのだ。そのため、この対戦は昨季の「7位vs6位」であり、今季に至っては「6位(アストン・ヴィラ)vs3位(ブライトン)」という構図だ。そしてブライトンは、この試合に3点差以上で勝利すると、わずか数時間だけかもしれないが暫定的に首位に立てるのだ。
公式HPの記事によると、両指揮官はどちらも「4-2-3-1」を好むが、戦い方は全然違うという。エメリ監督は守備時には一度中盤まで引いて、そこに人数を集めてスペースを消してピッチを狭くしてボールを奪い、カウンターを発動する。対するデ・ゼルビ監督は、ボールを失った直後にハイプレスを仕掛けて即座にボールを奪い返す。そしてボールを保持する際にはピッチを大きく広げ、一定のエリアに人数をかけて打開する、いわゆる「オーバーロード」を駆使する。
確かに守備に関してのデータは顕著で、ハイプレスの強度を示す「PPDA(守備アクションを仕掛けるまでに敵がつないだパス本数)」を見ると、ブライトンがチェルシー、トッテナムに次いでリーグ3位なのに対し、アストンヴィラは下から3番目(データ『understat』)。もちろん、どちらが正しいというわけではないようで、首位を走るマンチェスター・シティは同ランクで10位にいる。
■攻撃パターン
ピッチを狭くしてボールを奪いたいアストン・ヴィラは、各ポジションの距離が近く、サイドハーフも中央に絞ってスペースを消して敵の攻撃の芽を摘み、そこから前線のFWオリー・ワトキンズやトップ下のムサ・ディアビのスピードを活かして一気にカウンターに出る。その結果、アストン・ヴィラは「速攻からのシュート数」と「ダイレクトな攻撃回数」が今季プレミアでどちらもリーグ最多を記録しているそうだ。
Big players for big moments. 😍
Ollie Watkins with the winner at Stamford Bridge! 👌 pic.twitter.com/sJLvVsJDTk
— Aston Villa (@AVFCOfficial) September 24, 2023
一方のブライトンはハイプレスを活用するため「高い位置でのボール奪取後のシュート数」がリーグ1位を記録しているという。ビルドアップに関しては、GKも参加して最後尾から丁寧につなぐ。前節のボーンマス戦ではGKバルト・フェルブルッヘンがパスを奪われて失点したが、その程度で戦術を変えることはないだろう。とはいえ、決して一辺倒というわけでもない。敵がマンマークのハイプレスを仕掛けてきたら、中盤の開いたスペースに前線の選手が下りてきてそこにロングボールを入れて打開する。
「4-2-3-1」の2列目の使い方も対照的だろう。最近アストン・ヴィラは2列目の左にイタリア代表MFニコロ・ザニオーロ、右にMFジョン・マッギンを置いているが、彼らは典型的なウィンガーではない。対するブライトンの左サイドには世界屈指のドリブラーである日本代表MF三笘薫がいる。三笘薫とザニオーロのデータを比較するとやはり対照的で、三笘薫はファイナルサードへボールを運んだ回数がチェルシーのFWラヒーム・スターリングと並んでリーグ最多の20回(データ『Fbref』)。対するザニオーロは出場時間の差もあるが、わずかに6回しかないのだ。
■相性は?
相性という点ではアストン・ヴィラに分がありそうだ。昨季、エメリ監督はアストン・ヴィラを率いてブライトンに2連勝しており、自信を持って今週末を迎えるはずだ。とりわけ、ホームゲームには絶対の自信がある。アストン・ヴィラは昨季の最終節にブライトンを本拠地に迎えて2-1で勝っているだけでなく、昨季途中から数えてリーグ戦のホームゲームは9連勝中なのだ。これはアストン・ヴィラにとって過去40年間で最長のホーム連勝記録だという!
今回、鍵を握るのはホームのアストン・ヴィラがどこまで我慢できるかだろう。ブライトンはカウンター攻撃に徹するチームを苦手にしており、今季プレミアで唯一の黒星が第3節のウェストハム戦。ボール支配率「78%」を誇りながらカウンターを受けて1-3の敗戦を喫しており、アストン・ヴィラも例えホームゲームでもウェストハムにならってカウンターに徹した方が良いかもしれない。
いつものように中盤のスペースを消すためにハイラインを敷くと裏のスペースを狙われかねない。ブライトンはマンチェスター・シティに次ぐロングパス精度(59.5%)を誇っており、一発で裏を取ることが可能だ。そのためプレミアHPの記事も「ブライトンは間違いなくアストン・ヴィラのハイラインを狙うだろう。三笘薫のスピードという明確な脅威を利用して」と、日本代表エースがキーマンになることを示唆している。
An incredible impact, @Kaoru_Mitoma! 😮💨🔥 pic.twitter.com/Lwh50JE7DG
— Brighton & Hove Albion (@OfficialBHAFC) September 24, 2023
果たして注目の一戦はどちらに転ぶのか? 好勝負が期待できそうだ。ちなみにデータ会社『Opta』のスーパーコンピューターも、アストン・ヴィラの勝つ確率が「37.7%」でブライトンが「33.3%」と勝敗予想を決めかねているようだ!
(記事/Footmedia)
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By Footmedia