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今季の優勝を占う大一番! 今週末に開催のアーセナルvsマンチェスター・シティをプレビュー

2023.10.06

今週末はアーセナルとマンチェスター・シティが激突 [写真]=Getty Images

 今週末のプレミアリーグは今シーズンの優勝争いを占う大一番が待っている。20シーズンぶりのリーグ制覇を目指すアーセナルが3連覇中の絶対王者マンチェスター・シティを本拠地『エミレーツ・スタジアム』に迎える。昨シーズン、熾烈な優勝争いを演じた2チーム同士の対戦だ。今夏に大型補強を敢行したアーセナルが王者を打ち破るのか。それとも、マンチェスター・シティが貫禄を見せつけるのだろうか。それでは8日(日)に開催されるプレミアリーグ第8節の「アーセナルvsマンチェスター・シティ」をプレビューしよう。

[写真]=Getty Images
 

■相性は…

マンチェスター・シティvsアーセナル

最近の対戦成績ではマンチェスター・シティアーセナルを圧倒


 
 怪我人や最近の調子を考えると今週末の対戦ではホームのアーセナルに分がありそうだが、それでもやはりマンチェスター・シティが有利と見られている。イギリスのブックメーカー『ウィリアムヒル』のオッズを見ると、アーセナルの勝利オッズが「2.75倍」なのに対し、マンチェスター・シティの勝利には「2.4倍」が付けられており、若干だがアウェイチームに分があると見られている。

 また、データ会社『Opta』のスーパーコンピューターの勝敗予想に至っては、さらに顕著な差がはじき出されている。アーセナルの勝つ確率が「26%」に留まるなか、マンチェスター・シティの勝率は「47%」とされている。このデータに従えば、約5割の確率でマンチェスター・シティが勝利するそうだ。
 
 首位マンチェスター・シティと3位アーセナルの勝ち点差はわずか「1」ポイントだが、過去の対戦成績を見るとマンチェスター・シティが敵地でも有利とされるのは当然だろう。というのも、マンチェスター・シティはカップ戦を含めた直近のアーセナル戦9試合に負けていないのである。今年8月のFAコミュニティ・シールドではアーセナルがPK戦の末に勝利しているが、公式記録は1-1の引き分け。そのため過去9戦はマンチェスター・シティが「8勝1分け0敗」と圧倒しているのだ。最後にアーセナルマンチェスター・シティを下したのは、2020年7月のFAカップ準決勝にまでさかのぼる。直近17回の対戦で見ても、アーセナルの勝利はその1回しかない。

アーセナルvsマンチェスター・シティ

アーセナルが最後にマンチェスター・シティを下したのは2020年のFA杯準決勝


 
 プレミアリーグでの対戦に限ると、もっと一方的な数字が残っている。マンチェスター・シティアーセナルを相手にリーグ戦で12連勝中なのだ。その間のスコアは衝撃の「33-5」。アーセナルにとってはリーグ戦で最も連敗を喫している相手がマンチェスター・シティなのだ。最後にアーセナルがリーグ戦でマンチェスター・シティを破ったのは、セオ・ウォルコットとオリヴィエ・ジルー(現:ミラン)がネットを揺らした2015年12月の試合(2-1)。なんとアーセン・ヴェンゲル政権までさかのぼることになる。以降、アーセナルは「0勝2分け13敗」とマンチェスター・シティを大の苦手としており、2019年12月に指揮官に就任したミケル・アルテタは恩師ペップ・グアルディオラを相手にリーグ戦では7戦全敗なのだ…。
 
 とはいえ、今回は“大接戦”が予想される。その理由の1つが豪華すぎる欠場者の顔ぶれだ。
 

マンチェスター・シティの欠場者

(左)ケヴィン・デ・ブライネと(右)ロドリ

アーセナル戦を欠場する(左)デ・ブライネと(右)ロドリ


 
 マンチェスター・シティはベルギー代表MFケヴィン・デ・ブライネを負傷で欠いている。32歳の絶対的司令塔は今シーズンの開幕戦でハムストリングを痛め、長期離脱を余儀なくされているのだ。2015年にマンチェスター・シティにやってきた世界的プレーメーカーは、これまでプレミアリーグ240試合に出場して64ゴール・101アシストをマーク。昨シーズンを含め、過去7シーズンのうち4シーズンでリーグ最多アシストを記録するなど、世界最高のチャンスメーカーの名を欲しいままにしている。
 
 そんな偉大な選手の不在は確かに痛いが、今のところマンチェスター・シティは上手く穴を埋めており、とりわけアルゼンチン代表FWフリアン・アルバレスの万能性が効いている。『Opta』によると、今シーズンここまでプレミアリーグで3ゴール3アシストを記録しているアルバレスは「シュート数」と「チャンス演出数」が共にリーグ5位を記録しているそうだ。彼がトップ下で動き回り常に攻撃に絡んでいるおかげで、マンチェスター・シティは首位をキープできているのだ。
 
 それでも、大一番で頼りになるのはやはりデ・ブライネである。昨シーズンのプレミアリーグでのアーセナル戦は2試合で「3得点2アシスト」と直接5ゴールに絡んでいた。2月『エミレーツ・スタジアム』で行われた試合では、日本代表DF冨安健洋のバックパスを拾って確実に仕留めチームに先制点をもたらした。ちなみに、デ・ブライネにとってアーセナルは、プロキャリアを通じて最もゴールを奪っている相手(プレミアリーグ14戦で8ゴール)だという。
 
 マンチェスター・シティにとってデ・ブライネの怪我よりも痛いのがスペイン代表MFロドリの不在だろう。ロドリは9月23日のノッティンガム・フォレスト戦で退場となり、今回のアーセナル戦は出場停止でピッチに立つことができない。中盤の“メトロノーム”であるロドリの不在は深刻だ。

ロドリ

ノッティンガム・フォレスト戦で退場となったロドリ

 比較的ケガの多いデ・ブライネとは異なり、常に試合に出続けてきたロドリの穴を埋めるのは容易ではない。事実、同選手を欠いた前節ウルヴァーハンプトン(ウルブス)戦では、今シーズンのリーグ戦初黒星を喫している。2019年夏に同選手が加入して以降、マンチェスター・シティロドリ不在のリーグ戦15試合で「9勝1分け5敗」と敗戦率が「33%」。一方で、彼が出場した144試合では「107勝17分け20敗」と敗戦率は「13.2%」に留まっているのだ。
 

アーセナルの欠場者

ブカヨ・サカ

直近のRCランス戦で負傷交代したサカ


 
 マンチェスター・シティ同様、アーセナルも主軸を欠く可能性がある。攻撃の核となるイングランド代表FWブカヨ・サカが今月3日に行われたチャンピオンズリーグ(CL)のRCランス戦でハムストリングを負傷し、途中交代を強いられたのだ。今シーズンはアキレス腱や足の甲を痛めながらも出場し続けてきたサカだが、筋肉系の怪我となれば強行出場も難しいかもしれない。
 
 ブラジル代表FWガブリエウ・マルティネッリの怪我も痛いが、サカ不在となればチームにとっては大打撃だ。生え抜きのサカはアルテタ監督率いる“新生アーセナル”の象徴的な存在であり、欠場となれば得点力、チャンスメーク、スピード、キープ力、推進力といった様々な面でダメージを負うことになる。サカは前半34分に交代したRCランス戦でもブラジル代表FWガブリエウ・ジェズスのゴールをアシストしており、欧州5大リーグにおいて今シーズンの公式戦5ゴール・5アシストに到達した最初の選手となったのだ。
 
 昨シーズンのプレミアリーグのPFA(プロ選手協会)年間最優秀若手選手に選ばれたサカは、イングランド代表でも2シーズン連続でサポーター投票による年間最優秀選手に選出されている。派手な生活とは無縁で、プロ意識が高いウインガーは、何度倒されても立ち上がってプレーを続ける。プレミアでは実に「87試合連続」で試合に出場しており、アーセナルファンだけでなく世界中のサッカーファンから愛される存在なのだ。

ブカヨ・サカ

攻撃の主軸サカが欠場となればアーセナルにとっては大打撃


 
スピードや得点力、さらに一対一のドリブル突破といった圧倒的な個人能力が魅力だが、チームにとって一番ありがたいのは「ボールの収まりどころ」になってくれることだ。通常のチームは最終ラインやアンカーにボールが収まったときにチームが安定するのだが、アーセナルの場合は違う。高い最終ラインを維持して偽サイドバック(SB)も用いるため、彼らのボールの収まりどころは右ウイング(WG)のサカなのだ。
 
サカは、プロ駆け出しの頃にSBを任されたことで、ボールを“奪われにくいWG”を学ぶことができた。そのため極めてボールロストの少ない稀有な選手へと成長し、今のアーセナルは右サイドに張る彼にボールが入ったときに落ち着きが生まれる。それは、ちょうどマンチェスター・シティで言うところのロドリなのだ。
 
 今シーズンのプレミアリーグで最もタッチ数の多いMFはマンチェスター・シティロドリ(723回)であり、最もタッチ数の多いFWはアーセナルのサカ(470回)となっている。サカの場合は2位のポルトガル代表FWペドロ・ネト(ウルブス)に100回もの差をつけて断トツで1位に立っている!
 
 果たして両チームの決戦は、どのような結末を迎えるのだろうか? 今シーズンの優勝争いを占うであろう“頂上決戦”に注目したい。

(記事/Footmedia

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