プレミアリーグでは追加タイムが10分を超えることも多い [写真]=Getty Images
今シーズンのプレミアリーグ序盤戦で話題になったのは“長過ぎる”アディショナルタイムだ。
シーズン開幕前に行われたマンチェスター・シティとアーセナルによるFAコミュニティ・シールドでは、後半のアディショナルタイムが提示されると、会場に詰めかけたファン・サポーターは大いにざわついた。試合中に大きなアクシデントは発生していないにも関わらず、なんと「8分間」が追加され、さらにアディショナルタイム中に負傷者が出た影響で最終的に後半の追加タイムは13分間に。恩恵を受ける形となったのがアーセナルで、101分に同点に追いつくと、その後のPK戦を4-1で制し、3年ぶり通算17度目の優勝を果たした。
試合後、敗れたマンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督は「今後の試合時間は100分間になるだろう」と語り、大量ゴールが生まれる試合では「明日の朝までプレーすることになるだろう」と皮肉を口にした。「明日の朝まで」は大げさだが、試合時間が90分から「100分」に延びたのは事実だ。というのも、今シーズンからプレミアリーグは昨年のFIFAワールドカップカタール2022で採用された「より正確なタイムキープ」を導入したのである。これにより今シーズンは追加タイムが飛躍的に増え、それに伴い試合時間も延びている。
インプレーの時間を増やすとともに、時間稼ぎといった不要なプレーを排除する意図があるそうだが、果たしてアディショナルタイムの変化は実際の試合にどんな影響を与えているのだろうか?
[写真]=Getty Images
■試合時間
「7分!」が当たり前になった今シーズンのプレミアリーグは、1試合の平均時間が100分を超えている。これまでに消化された80試合における1試合のアディショナルタイムの平均時間は前後半合わせて「11分33秒」。昨シーズンの平均は「8分27秒」だったため、今シーズンは「3分6秒」も追加タイムが増えたことになる。
試合時間で見ると、昨シーズンは平均で「98分27秒」だったが、今シーズンは100分を超えて「101分33秒」となっており、わずか3分の延長とはいえ、かなり印象が変わってくる。
なお、今シーズンの“最長試合”は今月7日に行われたフルアムvsシェフィールド・ユナイテッド。前半の途中に深刻な怪我人が出たことで試合が中断し、前半のアディショナルタイムは「14分」に。後半も「8分」の追加タイムが設けられ、最終的に試合時間は「113分54秒」だった。このほかにも9月16日のアストン・ヴィラvsクリスタル・パレスが110分を超えるなど、100分では済まない試合がいくつも存在する。
■実際のプレー時間
試合時間が延びたことにより、実際の「プレーイングタイム」も確実に長くなっている。イギリスメディア『BBC』によると、昨シーズンのインプレータイムは過去10年間で最も短い「54分52秒」だったという。それが試合時間の延長により、今シーズンは「58分48秒」まで増加している。試合時間は3分しか延長されていないが、プレー時間は4分近くも増えているのだ。これは、時間稼ぎに対する厳しい処分の効果と言えるだろう。
今シーズンのプレミアリーグは、過敏すぎるほど「遅延行為」を徹底的に取り締まっている。ゴールキックの際にボールの位置を反対サイドに動かせばイエローカードが提示され、スローインでも時間をかければ警告の対象となる。アーセナルの日本代表DF冨安健洋も、第2節のクリスタル・パレス戦でスローインに時間をかけたとして警告を受け、その後のファウルで2枚目のイエローカードを貰って退場になった。リーグ戦で退場になるのはキャリア初のことだったという。
イギリスメディア『スカイスポーツ』で解説を務める元マンチェスター・ユナイテッドのギャリー・ネヴィル氏は「遅延行為を止めさせるには15分間の追加タイムよりも退場にさせる方がインパクトはある」と言及したが、さすがに冨安の退場については敵将のロイ・ホジソン監督でさえ「逆の立場なら私も憤慨したはず」と同情を示した。
インプレ―時間の増加は素晴らしいことだが、あまりにも厳しすぎる取り締まりは試合を壊しかねないようだ。
■ゴール数は?
『BBC』によると、アディショナルタイムが増えたことでドラマチックな決着も増えたという。今シーズンは80試合を終えた時点で240ゴールが生まれているが、そのうち「32ゴール」がアディショナルタイム(前後半を含め)に生まれているという。全体の「13.3%」が追加タイムでのゴールなのだ。
昨シーズンは、80試合を終えた時点での追加タイムのゴールは「11」しかなかったそうだ。全日程終了後のデータを見ると、昨シーズンは総ゴール数1084のうち「84ゴール」が追加タイムのゴールで、割合にしてわずか「7.7%」。そう考えると、追加タイムが3分増えたことによりアディショナルタイム中のゴールの割合は倍増していることになる。ちなみに追加タイムで放たれたシュート本数も、昨シーズンと比較すると「38.7%」も増えているという。
プレミアリーグ史上最も“遅いゴール”は2011年4月にリヴァプールのディルク・カイトがアーセナル戦で決めた「101分48秒」のゴールだ。しかし、今シーズンはプレミアリーグ史の“遅いゴール・トップ5”に名を連ねるゴールが3つも生まれているそうだ。
今月7日の試合では、1点ビハインドのまま終盤を迎えたマンチェスター・ユナイテッドが、87分に投入したスコットランド代表MFスコット・マクトミネイの後半追加タイムの2得点でブレントフォードに逆転勝利を収めた。1999年のチャンピオンズリーグ(CL)決勝では、バイエルンを相手に後半アディショナルタイムの2得点で逆転優勝を遂げたマンチェスター・ユナイテッドだが、リーグ戦における後半追加タイムでの逆転勝利はクラブ史上初の快挙だった。ファーギータイムで有名なアレックス・ファーガソン政権でも達成できなかったことを今シーズン達成したのである。
首位に立つトッテナムも、ホームゲーム2試合連続で後半の追加タイムに決勝点を決めるというプレミアリーグでは7年ぶりの快挙を達成している。今シーズンここまで後半アディショナルタイムに生まれたゴール数は計「24」。昨シーズンの同時期の5ゴールに比べると「5倍」近くに増えており、アディショナルタイムが延びたことで劇的なゴールが増えていることになる。
これはイングランド人の気質に合っているのかもしれない。データサイト『Opta』によると、これまで欧州カップ戦の決勝で延長戦を除いた90分以降のゴールで勝敗が決まったゲームは3試合あり、いずれもイングランド勢が優勝した試合となっている。(1999年CLのマンチェスター・ユナイテッド、2013年ヨーロッパリーグのチェルシー、2023年カンファレンスリーグのウェストハム)
果たして、アディショナルタイムの増加はプレミアリーグにどのような影響を及ぼすのか? 今後も前後半の追加タイムに注目したい。
(記事/Footmedia)
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