世界最高の2チームによる決戦 [写真]=Getty Images
近年のプレミアリーグを席巻してきた世界最高の2チームによる決戦は痛み分けのドローに終わった。
10日(日)に行われたプレミアリーグ第28節の注目の一戦、リヴァプール対マンチェスター・シティは、勝った方が首位に立つ大一番とあって互いに一歩も譲らずに、1-1の引き分けに終わった。ホームのリヴァプールは、日本代表MF遠藤航(31歳)が中盤の底で的確なポジショニングと気の利いた短いパスでチームのリズムを生み出してゲームをコントロールしたが、先手を取ったのはアウェイのマンチェスター・シティだった。前半23分にコーナーキックからMFケヴィン・デ・ブライネが、相手の裏をかいて低い弾道のクロスをニアポストに送り、それをDFジョン・ストーンズが合わせた。イングランド代表DFの11カ月ぶりのゴールでマンチェスター・シティが先手を取った。
しかしサポーターの大声援を背に受けるリヴァプールも簡単には屈せず、再三のように裏のスペースを狙っていたFWダルウィン・ヌニェスが後半5分に敵の一瞬のスキを突く。DFネイサン・アケのバックパスが少し弱くなったところを見逃さず、猛チェイスしてGKエデルソンの鼻先でボールを触ってそのまま倒されてPKを獲得。これをMFアレクシス・マック・アリスターが確実に決めて試合を振り出しに戻した。その後は互いに一歩も譲ることなく、終盤にはオープンな殴り合いとなって両チームともチャンスを作ったが2点目は遠く、今シーズン最初の対戦と同じように1-1で終了した。この結果、前日に勝利して暫定的に首位に立っていたアーセナルがそのまま首位に立つことに。リヴァプールも勝ち点64でアーセナルと並んでいるが得失点差の関係で2位。そしてマンチェスター・シティが1ポイント差で2チームを追うという、大混戦の三つ巴のまま残り10試合のシーズン終盤戦に突入する。
近年プレミアリーグを席巻して両チームだが、ユルゲン・クロップ監督が今季いっぱいで退任するためプレミアリーグでの「クロップ対ペップ」はこれで見納め。両者のプレミアでの対戦は最近8戦で5度も引き分けと実力拮抗。結局、プレミアでの通算成績は2016-17シーズンの初対戦から数えて計16試合でクロップの4勝、ジョゼップ・グアルディオラの5勝、そして7引き分けという結果となった。試合後にクロップ監督は『Sky Sports』にて「非常に素晴らしいフットボールの試合だった」と両チームを称えた上で「後半の内容はこれまでのシティ戦でベストパフォーマンスだった」と選手たちを絶賛。「シティ戦で、これほどゲームを支配し、良い選択をして、勇敢に戦えたことはなかった。信じられないほどさ。全体的なパフォーマンスに非常に満足していると。雰囲気もそうだし、何という試合、何という日だね」
ドイツ時代を含め、両指揮官の対戦はこれが30回目だった。まだFAカップで対戦する可能性が残されているとはいえ、ひとまず一時代を築いた両指揮官のライバル関係に終止符が打たれた。グアルディオラ監督は退任するクロップと固い抱擁を交わしたあと「彼は戻ってくるよ!」と『BBC』に語った。「ユルゲンはこの仕事を愛して止まない。彼がいたからうちのチームも強くなれたし、私もより良い監督になれた。彼がすぐに戻ってくることを願っている。フットボールには彼のようなキャラクターが欠かせないからね!」
今回の好バトルを英国メディアは「壮大なドロー」とこぞって称えた。『The Guardian』が「息もつかせぬドロー。信じられないほど入り組んだドロー。何年も語り継がれるドロー」と伝えれば、『BBCラジオ』では元ブラックバーンのクリス・サットン氏が自問自答した。「序盤はシティが良かったが後半はリヴァプールが素晴らしかった。どちらが勝つべきだったか、今になってもまだ分からない。後半はリヴァプールが何度もチャンスを作ったが、シティにはFWドクがポストを叩くチャンスがあった。もしかするとリヴァプールは勝てなかったことを悔やむかもしれないね。いずれにせよ、アーセナルのファンは試合を満喫したはずさ!」
試合を中継した『Sky Sports』の解説者たちも大一番を堪能したようだ。両クラブに所属経験のある元イングランド代表FWダニエル・スタリッジ氏は、自分が着ていた風変りなスーツの衣装と絡めて試合内容を絶賛。この日の彼のジャケットは、ボタンではなくシートベルトのバックルのようなデザインとなっていたのだ。「爽快だったね」とスタリッジ氏。「互いに攻め合って、チャンス、タックル、PK疑惑などドラマの連続だった。見ている人にとって素晴らしい試合だったよ。これからもプレミアリーグはジェットコースターのような展開が続くだろう。だからシートベルトを締めてね。僕のブレザーのようにね!」と興奮を抑えきれずにまくし立てた。
スタリッジ氏の隣に座っていた元マンチェスター・シティのマイカ・リチャーズ氏も「これこそプレミアリーグの究極の一戦」と絶賛。さらに普段は辛口で知られる元マンチェスター・ユナイテッドのロイ・キーン氏も「クロップは選手たちを誇りに思うだろうし、そうあるべきだ。彼はフットボール界にとって素敵な人格者だったし誠実だった。リヴァプールのファンは彼を愛して止まないよ」とクロップ監督の功績を称えた。
さてさて、今回の「壮大なドロー」により、プレミアリーグの優勝争いは3チームが勝ち点1差にひしめくカオス状態のまま残り10試合の終盤戦に突入する。今後も、最後までどうなるか分からない世界最高リーグの優勝争いに注目したい。
(記事/Footmedia)
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