ファンからは抗議活動も…チェルシーの共同オーナー「すべての人を満足させることはできない」

　チェルシーの共同オーナーを務めるトッド・ベーリー氏が、サポーターから起きた抗議活動に言及した。27日、イギリス紙『イブニング・スタンダード』が伝えている。

　2022年5月にベーリー氏ら投資家グループとベハダ・エグバリ氏を中心としたクリアレイク・キャピタルのコンソーシアム『BlueCo』によって共同で株式購入されたチェルシー。これまで移籍市場では積極的な補強を繰り返し、選手を大きく入れ替えたほか、上層部の人員も大きく入れ替えて新たなチームを築き上げている。

　しかし、新しいオーナー体制では未だタイトルを獲得することができず、ここ2年のリーグ戦は12位、6位と低迷。今シーズンは新しく就任したエンツォ・マレスカ監督の下で、一時プレミアリーグで2位となるなど、大きな改善を見せているが、現在は首位リヴァプールとは大きく離れた5位に位置し、FAカップやカラバオ・カップでは敗退していることから、タイトル獲得の可能性は首位通過したカンファレンスリーグ（ECL）のみとなってしまっている。

　このような状況から、サポーターのオーナー陣に対する不満が爆発。25日に行われたホームでのプレミアリーグ第27節サウサンプトン戦前には、約200人以上のサポーターが『BlueCo』に対する抗議活動を実施していた。

　そんななか、27日に開催された『ファイナンシャル・タイムス・ビジネス・オブ・フットボール・サミット』に出席したベーリー共同オーナーは、抗議活動について聞かれると、「これは当然のことだと思う。常にすべての人々を満足させることはできないと早く気づくことができれば、自由が現れると思う」と語りながら、物事は順調に進んでいることを強調した。

「私たちはただ計画を実行しようとしているだけで、物事は直線的ではないことを認識しており、正しい方向に向かっている。それが本当に重要なことだ。6月には就任3年目となる。人生では50歳、60歳、70歳になっていくことから、それはあまり長い時間ではない。目まぐるしい活動と急激な学習曲線だが、それは良いことでもあると思う」

　また、今季開幕直後には株式の38.5パーセントを所有するベーリー氏ら投資家グループ側と、残りの61.5パーセントを所有するクリアレイク・キャピタル側で衝突があったことが報じられ、お互いに売却に興味はないものの、お互いに買収に動いていると指摘され、大きな騒動となっていた。

　本格的な内戦になる可能性が話題になっていたことから、動向には注目が集まっていたが、昨年9月に共同オーナーのベーリー氏とエグバリ氏が隣同士で試合を観戦する様子も見られ、騒動は鎮火していた。改めてこのことについて聞かれたベーリー氏は次のように語った。

「イギリスのマスコミについて私が学んだことの1つは、彼らは大袈裟に報道して、事実を省略するということだ。私はコメントするつもりはない。私たちは戦略と前進の道筋で合意しており、物事は進んでいる。過去を振り返るつもりはないよ」

　なお、ここ数回の移籍市場では新たな主力となるセンターフォワードの補強に動いているものの、なかなか獲得に至ることができていないことから、スポーツ・ディレクター（SD）らへの風当たりも強くなっているが、ベーリー氏は「ストライカーを見つけることは難しい。食料品店に行って、『ストライカーを買おう』と言うことはできない。ストライカーには素晴らしい技術と、正しいメンタリティが必要だからね」と擁護している。