昨年1月にディエゴ・ロペスが加入して以降、1年以上も続いているレアル・マドリードの正GK論争。トップレベルのGK2人による健全な定位置争い自体はチームにとって望ましいことなのだが、問題はイケル・カシージャスの先発復帰を求めるファンとメディアのプレッシャーの大きさだ。
ディエゴ・ロペス本人はもちろん、指揮官カルロ・アンチェロッティにとっても頭痛の種となってきたスペイン国内の“カシージャス贔屓”を見かねてか、先日アンチェロッティの実娘カティアが雑誌『ヴァニティ・フェア』のインタビュー内で次のように意見している。
「私はメディアのプレッシャーにさらされる中で成長してきた。世間が父のことを話題にするのは慣れている。でもなぜみんなイケル・カシージャスのことばかり心配して、ディエゴ・ロペスのことは考えないの? 私には理解できない。彼は素晴らしいGKで、たくさんの能力を要しているというのに」
またカティアは自身の恋人ミノ・フルコが栄養士としてレアル・マドリードのスタッフ入りしたことを「コネ採用」と批判する声に対しても、同インタビューの中で反論している。
「彼のスタッフ入りが批判されるのは自然なことだけど、それまで父と共に働いていた栄養士が昨年夏に交通事故で亡くなったことはあまり知られていないでしょう。いずれにせよ、彼がR・マドリードに相応しいスタッフかどうかは時間が経てば分かること。選手が体調を崩したら責任を問われるのは彼。良い仕事をしなければクビになるまでよ」
エゴの強いスター選手たちだけでなく、メディアとも良好な関係を築く術に長けた父が「スペイン版デルボスケ」なんて呼ばれているだけに、歯に衣着せぬ娘の物言いは母親譲りなのだろうか。
なおカシージャスは11日のアトレティコ戦後に「ミステル(監督)とはもう話した。この話題は終わりにしてくれ。誰かに謝罪されたら受け入れるのが筋だからね」とコメント。娘の発言について父アンチェロッティから謝罪があったことを明かしている。
文=工藤 拓