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今季もバルサとレアルの一騎打ちか…リーガ優勝争いの焦点はただひとつ

2015.08.22

今季もバルサとレアルの優勝争いに注目が集まる [写真]=Getty Images

文=座間健司

 新シーズンが21日に開幕した。

 バルセロナか、それともレアル・マドリードか。リーガ・エスパニョーラの覇権争いは、今シーズンもこの2大クラブに絞られる。

 世界選抜を思わせる両チームのメンバーの顔ぶれを見ても、それは一目瞭然だ。3冠王者バルセロナには昨シーズン同様に“MSN”と評される南米の偉才3人が前線に並ぶ。首都の白いチームには2シーズン連続でバロンドールを手にしたポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドを筆頭に“BBC”と評される欧州の屈指のアタッカーが揃う。選手として絶頂期を迎える世界屈指のタレントを前線に3人も揃えられるのは、スペインでこの2クラブだけ。地球上でもクラブの歴史と予算を考えた時にこの2大クラブに対抗できるのは、バイエルンとマンチェスター・Uくらいしかない。バルセロナレアル・マドリードはリーガだけでなく、チャンピオンズリーグでも常に優勝候補の筆頭だ。この2チームを差し置いて、どのチームがリーガの優勝候補になれようか。リーガはいつだって、バルセロナレアル・マドリードの38節に及ぶ競争だ。両クラブの象徴であったスペイン代表GKイケル・カシージャスと元スペイン代表MFシャビはいなくなったが、今シーズンもその様相は変わらない。

 昨夏にスペイン紙『エル・パイス』にリーガ各クラブの年間予算が掲載されていた。今シーズンも大体このような額だろう。

 レアル・マドリードが5億2000万ユーロ(約715億円)、バルセロナが5億900万ユーロ(約700億円)で次にアトレティコ・マドリードで、1億4600万ユーロ(約200億円)だった。バレンシアは1億1400万ユーロ(約156億円)で、セビージャは8000万ユーロ(約109億円)だった。この5チームは今シーズン、チャンピオンズリーグ出場権を手にしているが、昨シーズン予算が多かった上から5チームでもある。ちなみに昨シーズン最も予算が低かったのは、エルチェで1600万ユーロ(約21億円)だった。バルセロナレアル・マドリードが下位チームに大勝するのはお馴染みとなったが、予算を比べれば、その結果も当然に思えてしまう。予算が約40倍もあるチームにどう勝ち点を奪えばいいというのか。

 アトレティコ・マドリードにしても、2大クラブの3分の1しか予算がない。それだけの圧倒的な差をディエゴ・シメオネ監督を中心にシリアスなフットボールで何とか詰め寄ろとうしている。彼らはそれで2シーズン前にリーガを勝ち取った。「アトレティのフットボールは守備偏重で面白くない」という批評もよく耳にするが、バルセロナレアル・マドリードに対してそういうスタイルで挑むのは、この経済的格差を知ってしまうと「仕方ない」と思わず同情してしまう。「持たざる者」の戦い方に徹するしかない。

 ゆえにリーガの優勝争いの焦点はひとつだ。バルセロナレアル・マドリードのどちらが、より多く勝ち点をとりこぼすか。

 バルセロナはシーズン開幕前にその問題点を露呈した。スペイン・スーパーカップのファーストレグ・アスレティック・ビルバオ戦では、レギュラーでピッチに立つ選手とベンチに座る選手との間に大きな差があった。さらにバルセロナはスペイン代表FWペドロ・ロドリゲスが出場機会を求めて、チェルシーに移籍してしまった。ブラジル代表FWネイマール、スペイン代表DFジョルディ・アルバが欠場し、彼らの不在は痛手となった。特にネイマールの不在は痛かった。もし自慢のスリートップに負傷者が出た場合、バックアッパーはFWムニル・エル・アダディとFWサンドロ・ラミレスしかいない。レギュラーとサブの間に大きな実力差があったがゆえに昨シーズン、レアル・マドリードは失速した。クロアチア代表MFルカ・モドリッチとコロンビア代表MFハメス・ロドリゲスを失い、その絶対的な強さがなくなった。バルセロナももし主力に負傷者が出れば、同じ事態となる。

 FIFAの処分もあり、バルセロナは1月までトルコ代表MFアルダ・トゥランもスペイン代表MFアレイクス・ビダルも起用できない。1人でもスターが欠けるとバルセロナには付け入る隙が生まれる。アスレティック・ビルバオ、そして欧州スーパーカップの舞台でセビージャが示した。ルイス・エンリケ監督は1月までにどんなやりくりをして取りこぼしを防ぐのか。リーガ、チャンピオンズリーグ、コパ・デル・レイに加えて、クラブワールドカップも控える。日程は昨シーズンよりも過密だ。

 ラファエル・ベニテスを新監督に迎えたレアル・マドリードも問題点を抱える。ウェールズ代表MFガレス・ベイルのポジションだ。ウェールズ人をトップ下で起用しているが、まだ順応期間なのか、それとも本人は希望しているが資質がないのか、機能していない。前線にはC・ロナウドという絶対的な得点源がいるが、果たして新たな布陣は機能するのか。いつベストの布陣を手に入れられるのか。

 地元メディアはプレシーズンで無得点のゲームが4試合もあったことを批評。バレンシアを指揮した時代もそうだったが、「退屈なフットボール」というレッテルをベニテス監督に貼り付けたがっている。レアル・マドリードは、指揮官への要求が地球上で最も高いクラブだ。ファビオ・カペッロのように結果を出してもフットボールが退屈なら首にされ、結果が出なければ、サポーター、メディア、選手から愛されていようとカルロ・アンチェロッティ監督のように切られる。ベニテス監督は試合数をこなすごとに自分の来夏の続投を確かなものにできるだろうか。

 バルセロナはスタメンとサブの間に力の差がある1月までにどれだけ取りこぼさないことができるか。レアル・マドリードは新たな布陣が適応するまでに、一体どのくらい取りこぼさないことができるか。リーガの覇権争いは1月までの戦いがひとつの重要なポイントとなる。

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By 座間健司

フリーライター&フォトグラファー。フットサルとサッカーを中心にスペインで活動中。

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