FOLLOW US

清武弘嗣が新天地で「10番」を求める意味とは…強い覚悟で挑む勝負の時

2016.06.23

迷うことなくリーガ挑戦を決断した清武。「自分がどこまでできるのか。ワクワク感しかない」と語る [写真]=Bongarts/Getty Images

「10番をつけたいですね」

 ごく自然に発せられたその一言に、驚かずにはいられなかった。清武弘嗣はどちらかと言えば、発言に慎重なタイプだったはずだ。少なくとも、セレッソ大阪からニュルンベルク(ドイツ)へと渡った4年前、彼が「10番をつけたい」と言うことはなかったし、そう思ってさえいなかっただろう。だからこそ、このセリフに4年間の成長を見る思いがする。

 言うまでもなく、「10番」を背負うには覚悟がいる。2015-16シーズン、ハノーファー(ドイツ)で背番号10を託された清武は、その重みに改めて気付かされた。「大切さが分かりました。10番はやっぱり特別な番号。ピッチに10番がいるのと、いないのとでは全然違う」。「10番」はチームとファンから最も期待され、対戦相手からは最も警戒される。たとえ本人が意識していなくても、周囲の目は明らかに変わる。

 つまり、清武は新天地となるセビージャ(スペイン)で、その重圧を自ら望んでいることになる。

 例えば、いわゆる“欧州組”の中でも、香川真司や岡崎慎司と比較して、清武の活躍は見過ごされがちだ。ニュルンベルクやハノーファーでプレーすることは、残留を目標とする下位クラブで奮闘することを意味した。繊細なテクニックと攻撃センスを武器とするMFにとって、長所を発揮しにくい状況だったことは想像に難くない。清武が振り返るのはニュルンベルクに加入した4年前のことだ。

清武弘嗣

2012年にニュルンベルクに加入。開幕戦からスタメンに抜擢された [写真]=Bongarts/Getty Images

「最初はなめられていましたよ(笑)。『何だ、日本人か』という感じだった。だから練習で一度、ガツンと削りに行ったんです。今思えば少し危険なプレーでしたけど、そこから周囲の自分を見る目が一気に変わりました。自分がその場にいることを認めてもらわないと意味がないし、当時の(ディーター)ヘッキング監督は、無名の僕をトップ下として考えてくれていた。だから、自分がどこかで示さなければいけないと思ったんです」

 自己主張しなければ、海外では生き残れない。これはサッカーがチームスポーツである以上、海外に挑戦する日本人選手にとって永遠のテーマであり続けるだろう。本来の能力を発揮する機会すら与えられず、不本意な形で欧州挑戦に幕を引いた日本人選手の話は、もう珍しくもなくなった。だからこそ、4年間でブンデスリーガ117試合に出場し、17ゴールと30アシストを積み重ねた清武の実績は、見過ごされてはならない。

清武弘嗣

最初は「つけよっかなあ」くらいの感覚だったという10番。試合を重ねる毎に重みを実感していった [写真]=Bongarts/Getty Images

 そう考えたとき、「10番をつけたい」という言葉が本当に理解できる。否応なく注目される「10番」を背負うことは、新天地で清武が自分を主張し、居場所を確保するための、恐らく最短ルートなのだ。「背番号は自分を象徴するものだと思うし、それに見合った活躍をしないといけない。自分がどこまでできるのか、ワクワク感しかない」。その言葉には、これまでの経験に裏付けられた自信の強さが感じられた。

 セビージャはこの夏、「10番」をつけていたホセ・アントニオ・レジェスと、トップ下のレギュラーだったエベル・バネガを放出。その穴を埋めるために、清武とパブロ・サラビアを獲得した。サラビアはレアル・マドリードの下部組織出身で、ヘタフェで10番を背負っていたMF。だが、清武にとってライバルの存在は望むところだ。「激しい競争が待っていると思います。でも、それは自分が待ち望んだこと。絶対にポジションを取りますよ。絶対に負けない。トップ下でプレーするのが一番の目標です」。

 そして何より、セビージャではチャンピオンズリーグの大舞台が待っている。「あの熱さと雰囲気、そしてアンセム。早く体感したい」と胸を躍らせるのは、その先に2年後を見据えているからだ。「必ず2年後のワールドカップに役立つ」。たった6分間しかピッチに立つことを許されなかった2014年のブラジルW杯。清武はその時の悔しさを忘れたことはない。

清武弘嗣

W杯の出場機会は第3戦のコロンビア戦のみ。「ブラジルの悔しさは本当にバネになっている」と語る [写真]=Getty Images

 思えば、4年前のロンドン・オリンピックで日本をベスト4に押し上げた頃から、清武は未来の日本代表を背負う存在と見なされてきた。2018年のロシアW杯では、当然のように主役になるものと思われてきた。だが、時間が無条件に人を成長させるわけではない。だから、清武はよりリスクが少ない選択肢――実際にヘルタ・ベルリンなどから熱心なオファーが届いたという――を選ぶことはなかった。

「自分にもプレッシャーをかけていますし、それに絶対に打ち勝たないといけない。別に失うものはないです。自分が挑戦して、そこで勝つだけ。セビージャのようなビッグクラブでも絶対にポジションを取って、ハノーファーのように自分中心のチームにしたいという気持ちを強く持っている」

 2015-16シーズン、史上初のヨーロッパリーグ3連覇を達成したセビージャには、新シーズン開幕前からビッグマッチが待っている。CL覇者のレアル・マドリードと戦うUEFAスーパーカップがあり、そしてリーガ王者のバルセロナと対戦するスーペル・コパ(スペイン・スーパーカップ)もある。「めっちゃ楽しみにしています。でも、そこまでにポジションを取らないといけない。強豪との対戦は楽しみですし、絶対にW杯につながると思う」。

 そのピッチに、背番号「10」をつけた日本人は立っているだろうか――周囲の期待は膨らむが、もちろん、それが清武のゴールではない。ロシアW杯のピッチに立つ日まで、濃密な2年間が彼を待っている。

【PR】「U-NEXTサッカーパック」で
ラ・リーガ1部全試合を配信

U-NEXT / ラ・リーガ配信

「U-NEXTサッカーパック」は、U-NEXTが提供するサッカーコンテンツに特化したプラン(月額2,600円・税込)

「ラ・リーガ1部」を全試合配信するほか、「コパ・デル・レイ」「プレミアリーグ」なども視聴可能だ。

「サッカーパック」単体契約も可能だが、通常の「月額プラン(月額2,189円税込)」の無料トライアル登録&「サッカーパック」契約がとってもおトク。

専用ページから無料トライアルに登録すると、サッカーパックの支払いに利用できる1,200ポイント(1,200円相当)が付与されるため、初月はなんと1,400円(税込)で「サッカーパック」と「月額プラン」をダブルで楽しめる! 月額プランに加入すれば映画・アニメ・ドラマ等が見放題。サッカーもエンタメも楽しみたい方にオススメだ。

  1. 「U-NEXTサッカーパック」はラ・リーガ1部、プレミアリーグを全試合配信!
  2. コパ・デル・レイ、FAカップなども独占配信決定!
  3. 無料トライアル登録&サッカーパック契約で、初月は1,400円!

【PR】ラ・リーガを楽しむなら
「ABEMA de DAZN」!

ABEMA de DAZN

「ABEMA de DAZN」は、ABEMAでDAZNスタンダードのコンテンツ(※)が視聴できるプラン。 ラ・リーガはもちろん、セリエAやJリーグなどすべてのDAZNスタンダードコンテンツがABEMAで楽しめる。

月額プランは4,200円(税込)、年間プランなら32,000円(税込)で月あたり2,667円(税込)とお得! アニメ・映画・バラエティーなど、ABEMA無料コンテンツも堪能できるのでお見逃しなく。

※プロ野球、DAZN LINEAR、追加有料コンテンツ(ペイ・パー・ビュー)は対象外。

  1. 「ABEMA de DAZN」の年間プランなら月あたり2,667円(税込)でお得!
  2. ラ・リーガ、セリエA、リーグ・アン、Jリーグなどコンテンツが盛りだくさん!
  3. コメントしながらのライブ観戦追っかけ再生見逃し配信など楽しみ方も充実!

【PR】「DMM×DAZNホーダイ」で
ラ・リーガを堪能しよう!

DMM×DAZNホーダイ

「DMM×DAZNホーダイ」とは、DMMプレミアムとDAZNスタンダードをセットで利用できるプラン。単体契約ならDMMプレミアム月額550円(税込)、DAZNスタンダード月額4,200円(税込)のところ、本プランなら月額3,480円(税込)だからとってもお得です!

  1. 「DMM×DAZNホーダイ」なら単体契約より月額1,270円(税込)も安い!
  2. ラ・リーガをはじめとする様々なスポーツ、アニメ・エンタメが見放題で楽しめる!
  3. 新規入会月から3カ月間、「DMMポイント」が毎月550ポイントもらえる!

By サッカーキング編集部

サッカー総合情報サイト

世界のサッカー情報を配信する国内最高峰のサッカー総合メディア。日本代表をはじめ、Jリーグ、プレミアリーグ、海外日本人選手、高校サッカーなどの国内外の最新ニュース、コラム、選手インタビュー、試合結果速報、ゲーム、ショッピングといったサッカーにまつわるあらゆる情報を提供しています。「X」「Instagram」「YouTube」「TikTok」など、各種SNSサービスも充実したコンテンツを発信中。

SHARE

SOCCERKING VIDEO