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「正直者が馬鹿を見る」「口は災いの元」 自身の発言で損をするC・ロナウド

2016.09.18

物議を醸す発言の多いクリスティアーノ・ロナウド [写真]=VI Images via Getty Images

 正直者が馬鹿を見る。

 レアル・マドリードの生ける伝説クリスティアーノ・ロナウドのニュースを見ていたら、そんなことわざが思い浮かんだ。

 つい先日も彼の発言がメディアの注目を集めた。

 事の発端は、元バルセロナのキャプテン、シャビ・エルナンデスのラジオでのコメントだった。スペインラジオ局『カデナ・セール』の人気番組『エル・ラルゲーロ』のインタビューに応じ、C・ロナウドとリオネル・メッシの比較について問われると、「彼にインテリジェンスがないなんて言ったことは1度もない。クリスティアーノは非凡なサッカー選手であり、1つの時代を築ける選手だ。彼の問題は、実質的に歴史上最高の選手が同じ時代にいることだ。僕にとっては、比較にならない。レアル・マドリードのファンでない限り、世界中のサッカー好きもそう思っていると思うよ」と応えていた。

 C・ロナウドは反論した。リーガ・エスパニョーラ第3節のオサスナ戦後にシャビのコメントについて聞かれ、「インターネットで最も検索されている選手は僕だ。彼は僕のことを話し、1面になりたいか、プロモーションに利用したいんだ。シャビが僕について話したからって何だって言うんだ。シャビはカタールでプレーしているのか、それとも違うところなのか、そんなの僕は分からないよ」と話し、さらに「シャビはすべてを勝ち取ったが、バロンドールを1度も手にしていない。僕は3回受賞している」とも応じた。

 この発言にバルセロナ寄りの記者は「シャビはワールドカップ、ユーロも2回取っているんだぞ、リスペクトしろ」と言えば、「シャビが言ってきたのだから、ロナウドには反論する権利がある」とマドリード寄りの記者は言う。「ロナウドは反論してもいいが、こうやって話すべきではなかった。彼は黙ってピッチの中で自分のパフォーマンスで実証できるのに、こういう発言が世間に浸透して、今までピッチで勝ち取ってきたものの価値が薄れてしまう」と意見する記者もいた。

 C・ロナウドは時として、その発言が議論を呼ぶ。スペイン紙『マルカ』はC・ロナウドのこれまでの発言をまとめて伝えた。

 2011年のチャンピオンズリーグ、アウェーでのディナモ・ザグレブ戦後に「なぜブーイングされるのか?」と質問されると「僕がハンサムだし、お金持ちだし、いい選手だからだ」とコメント。つまり妬みがそうさせると話した。

 その発言から1年後のグラナダ戦後には「僕は悲しい。クラブはなぜ僕が悲しいかを知っている」と話した。そのシーズン、レアル・マドリードは何のタイトルも勝ち取れず、ジョゼ・モウリーニョ監督を更迭して欲しいという意図を込めたクラブへの発言だった。

 2014年のワールドカップでメッシが大会MVPに選出されたことを質問されると「考えていることをすべて言うと、僕は刑務所にいることになる」と発言した。

 昨シーズンはバルセロナのメッシ、ルイス・スアレス、ネイマールがプラベートでも仲がいいことを指摘され、それについて質問を受けると「いっしょに食事をとり、抱擁することに何の価値もない」と話し「(マンチェスター・U時代に)チャンピオンズリーグを勝ち獲った。僕は(リオ・)ファーディナンド、(ポール・)スコールズ、もしくは(ライアン・)ギグスとは話さなかった。おはようの挨拶をするだけだ。ピッチではチームのために戦うだけだよ。僕が(カリム・)ベンゼマと夕食に行ったり、(ギャレス・)ベイルを家に招待したりすることはない。僕らはプロフェッショナルだ」と話した。

 またアトレティコ・マドリードとのダービーに敗れ、首位バルセロナとの勝ち点差が12となった後で「同僚が(バルセロナのような)高いレベルにあれば、僕らは首位だっただろう」とチームメイトを公の場で批判した。

 当然ながらレアル・マドリードのエースの発言は、大きく取り扱われ、1日中ニュースで流れる。そうやってC・ロナウドのイメージは世間で形づくられていき、寡黙なメッシとは対象的な自己顕示欲の強い姿が定着した。C・ロナウドが慈善事業にどんなに募金しようが、自身のコメントにより定着したイメージはもう変わらないだろう。

 自分で自分の首をしめる。

 C・ロナウドとメッシが世界最高の選手であることに疑いの余地はない。どのトップアスリートもそうであるように両者には強烈なエゴ、負けず嫌い、独占欲という一面があるはずだが、口下手なゆえにメッシは自分の気持ちを話さずに優等生とされ、C・ロナウドは正直に自分の気持ちを話してしまうがゆえに放漫な野郎と受け取られている。

 口は災いの元。

 C・ロナウドを見ていると、やはりいろんなことわざが思いつく。

文=座間健司

By 座間健司

フリーライター&フォトグラファー。フットサルとサッカーを中心にスペインで活動中。

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