バルセロナのトップチームには27人のスタッフが働いている [写真]=Getty Images
それこそ昔は黒だけだったスパイクが、彩り豊かになり、デザインにも凝り始めた。黒子であるはずの審判も黒からカラフルな審判着になり、今では試合中にイヤホンをつけて、線審と常に会話するのが当たり前になった。トッププレーヤーたちは、メーカーの意向もあり、シーズン中にスパイクを何足も履き替え、リーグ戦の公式ボールも季節によって色が変わる。リーグ戦の試合に向けての練習着とチャンピオンズリーグに向けてのそれは違うデザインで、選手たちがトレーニング時にGPSをつけることは、欧州ではもはやスタンダードだ。それこそゲーム中に前半の内容、データが詳細に出てきて、ロッカールームにダイレクトで伝えられる。サッカーは日々、目まぐるしく変化しており、新しい発見がある。
最近驚いたのは、トップチームに関わるスタッフの数だ。スペイン紙『マルカ』がバルセロナのトップチームのオフィシャルの写真撮影を「27人が選手ではないバルセロナの個オフィシャル写真」という見出しで報じた。
オフシャル写真といえば、会長、テクニカルスタッフ、そして選手たちが並ぶ。大抵はユニフォームを着た選手が最も多いはずだが、バルセロナのそれは違った。バルトメウ会長やルイス・エンリケ監督を始め、トップチームのために働く人間が27人もいた。22名のトップチームの選手の数よりも多い。27名の内訳は会長、監督、第2監督2人、トップチーム代表者、フィジカルコーチ3人、ゴールキーパーコーチ1人、スカウティング・分析4人、用具係3人、チームマネージャー1名、ドクター2人、理学療法士4名、心理セラピスト1名、テクニカルスタッフアシスタント1人だ。選手を含めるとトップチームでは実に(会長を除くと)48人が働いている。さすが世界のトップクラブだ。トップチームの選手は手厚い待遇を受けられる環境があり、スタッフの役割は細かく分かれ、それぞれのスペシャリストが担当している。
スペイン紙『アス』はスペイン人監督ジョゼップ・グアルディオラ監督のトップチームのスタッフの数を紹介していた。グアルディオラは16名のテクニカルスタッフを抱えていると報じられた。監督、第2監督2人、フィジカルコーチ、ゴールキーパーコーチ、ドクター、理学療法士4名、テクニカルスタッフアシスタント2人、マッサー、用具係、用具係アシスタント、スポーツアナリスト、コンディショントレーナー。それ以外にも研究熱心なグアルディオラのチームには、スカウティング・分析係がバルセロナと同様に多くいるに違いない。
毎夏飛び出す天文学的な移籍金が象徴するように、サッカーを取り巻くお金の額は、日々大きくなっている。クラブの収支も毎シーズン増えている。そして選手以外のスタッフにも多くの投資が行われるようになり、スカウティングなどもより詳細に行われるようになった。そして仕事も細分化され、スペインのトップクラブではついにスタッフの数が選手の数を上回るようになった。
資金が豊富にあるスポーツには、優秀な人材が集まり、目覚ましい進歩、革新が起こる。欧州のクラブシーンにおけるサッカーの進化スピードは、これまで以上に速くなるだろう。そんなに遠くない将来は、スター選手のスパイクのように、もしくはオフィシャルボールのように、ピッチで行われるサッカーのスタイル、戦略のトレンドが3カ月ごとに変化するのが当たり前となるかもしれない。さらには毎試合ライバルに合わせて、戦い方が変わるチームが増え、もはや戦術、戦略のトレンドといった概念さえなくなるかもしれない。
文=座間健司
By 座間健司