セビージャでのポジション争いへ意気込んだ清武 [写真]=Daisuke Nakashima
2018年にロシアで行われるFIFAワールドカップのアジア最終予選。日本は初戦でUAEにまさかの黒星スタート。その後、タイ、イラクに勝ち、オーストラリアに引き分け、2勝1分け1敗と持ち直した。
そして迎えた11月15日、清武弘嗣が「本当に厳しい状況、次の試合は本当に大事なので、勝つためにチームが一丸とならないといけない」と話したグループ首位、サウジアラビアとの一戦。そのピッチに清武はいた。日本の攻撃の起点となり、前半終了間際にはPKで先制点も奪った。
50分に左足首を痛めるアクシデントがあったものの、64分までプレー。トップ下として輝きを放った。日本は清武の活躍で、首位との大一番に勝利。サウジアラビアと勝ち点で並び、2位で最終予選前半を折り返した。その4日前に行われたキリンチャレンジカップのオマーン戦も踏まえると、この2試合で清武が残したインパクトは大きい。
しかし、日本代表戦では存在感を示した清武だが、所属のセビージャでは、ここのところ出場機会に恵まれていない。リーガ・エスパニョーラの開幕となるエスパニョール戦で先発フル出場。74分に初得点、初アシストも決め鮮烈なデビューを飾ったが、第4節のMF乾貴士が所属するエイバル戦以降、先発出場はない。
そのことに関して清武は、「ハリルさん(ヴァイッド・ハリルホジッチ日本代表監督)も言っているように、チームではチームの役割があって、代表では代表での役割がある。代表は全く別物」だと言う。それではシーズンが開幕して3カ月、リーガ・エスパニョーラ、そしてセビージャの印象はどのようなものなのだろうか。
「想像していた通りといえばそうだが、やっぱりリーガの選手はうまい。技術は予想を超えている。その上で激しさがあり、戦える。これはブンデスリーガで経験したこととは全く違う」と清武は語る。
さらに、「セビージャはいい選手がたくさんいて、技術も高い。チームも攻撃的ですごくいいサッカーをしている。このレベルの高い中で練習ができているのは、自分にとってはプラス」と語る。チームでは英語がほとんど通じないという言葉の壁にも苦しんでいるが、「毎月、代表戦もあった中で、いつチームにケガ人が出て出番が回ってくるかもわからないので、そういう意味でモチベーションは保てている」。
そんな中で、出場機会を増やすために清武が感じていることを聞くと、「ドイツ人も似ていると思うが、日本人は言われたことをきっちり守ってやる。スペインはけっこうルーズな感じもあるが、戦術的な規律を守りつつ自分のプレーをしている。そういう部分もすごく必要なのかなとも思う」。
そして、「出ている選手と一緒のプレーをやっても結果で比べられるだけで意味がない。何かこう、何でもいいが、強くいったり、走る距離だったり、他の選手にはないものをやっていくしかないと思う」。加えて、「もっとボールタッチ数を増やせたらいいし、その中で結果が求められる」と決意を語った。
清武を獲得したモンチSD(スポーツディレクター)も「リーガの開幕戦は素晴らしいパフォーマンスだった。その後、少し調子を落としたが、代表の試合もあったので当然。私たちはキヨを信頼して、我慢する必要がある」と期待を寄せる。
また、清武の負担となった代表戦は3月までない。モンチSDも「移動距離が長く、時差もある。特に彼のポジションは競争が激しいが、これからの3、4ヵ月、彼がずっとチームと一緒にいて、続けて練習できることを願っている」。
しかし、これから国王杯も始まり、次のラウンドに勝ち進めば、1月からは週に2試合を戦う過密日程となる。「私たちは多くの試合を戦うので、キヨにもチャンスが来るだろう。その時のために、彼は精神的にしっかり準備をして、彼の高いクオリティで期待に応える必要がある」。
アジア最終予選で高いパフォーマンスを見せ、日本代表で躍動した清武。モンチSDが「すべての選手にチャンスがある。キヨにもある」と語ったように、これから訪れるであろうチャンスをしっかり活かし、スペイン・セビージャでの更なる飛躍に期待したい。
リーグで3位につけるセビージャは、11月26日(土)に行われる第13節で元イタリア代表監督のチェーザレ・プランデッリを新監督に招聘しチームの立て直しを図るバレンシアをホームに迎える。そしてその翌週には、バルセロナとレアル・マドリードが対戦する伝統の一戦クラシコが行われる。
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By WOWOW