リーガ・エスパニョーラのエイバルで2年目を迎えた乾貴士が、好調の波に乗りつつある。
序盤戦こそ満足な出場機会を得られなかったものの、10月22日に行われた第9節エスパニョール戦から4試合連続でスタメン出場。チームはこの4試合を2勝1分1敗と勝ち越し、3位セビージャと勝点差「4」の8位に浮上した。
背番号8の定位置は、4-4-2、あるいは4-2-3-1の左サイド。持ち味であるドリブル突破からのチャンスメークで存在感を誇示し、攻撃の中核としてピッチを活き活きと走り回る。その姿こそ、日本人選手屈指のテクニシャンであり、ドリブラーである彼の真骨頂だ。
もっとも、乾本人は自身のプレースタイルについて「ドリブラーではない」と否定する。日本一の栄冠に輝いた野洲高時代は、確かにドリブル偏重型のアタッカーだった。ただ、プロの世界に飛び込めば簡単には通用しなかった。移籍先で“感覚”を共有できる仲間に出会い、チームメイトを生かし、チームメイトに生かされるサッカーの面白さを知った。いつしかそれが、自分の「ストロングポイント」になった。
現在28歳。海外に出て5年半。充実したサッカー人生を歩んできた彼に、「過去の自分」と「今の自分」の“サッカー観”を聞いた。
インタビュー・文=細江 克弥
写真=佐藤 真、足立雅史、ゲッティ イメージズ
「“うまさ”では、絶対に負けたくないと思っていた」
少年時代は、野球が好きだったと聞きました。
乾貴士(以下、乾) 実は、そうなんです。友達がみんな野球をやっていたから、僕も野球をやりたくて。放課後にみんなでやっていたんですけど、それが面白くて、サッカーの練習時間になってもやめられませんでした。だから、サッカーはサボることばかり考えていました。
それは意外です(笑)。
乾 中学生になるまで、ずっとそんな感じだったんですよ。いや、中学1、2年の頃も「サボりたいなあ」とばかり考えていて、ちゃんとやるようになったのは中学3年くらいからですね。
そういう少年時代を過ごしていたのに、どうしてそれだけの足元の技術が身に付いたのか全く理解できません。
乾 ハハ。いや、そういう練習ばっかりやっていたんですよ。高校の頃はもちろんサッカーに打ち込んでいましたけど、やっぱり、人と比べたらちょっと遅いですよね。
プロになることを考え始めたのは?
乾 サッカーをちゃんとやるようになった中学3年くらいから「なりたいな」とは思っていました。でも、「なれる!」とは思っていませんでした。まあ、一応、中学生の頃は滋賀県内では一番うまいと思っていたんですけど……そのくらい調子に乗っていた時期だったんです。
高校生になっても、「同学年では一番うまい」という感覚は変わらなかったのでは?
乾 いや、高校に入ってからは、そういう余裕はなくなりました。1年生の頃は試合にも出られなくて、「ヤバい」と思い始めたんです。それから、部活が終わってからの時間とか、オフの日とか、一人でドリブルの練習ばかりするようになって……。
練習に打ち込む原動力は何だったんですか? 負けず嫌い?
乾 それは、間違いなくあるでしょうね。今もあります。試合の勝ち負けに対してはほとんど何も思わなかったんですけど、“うまさ”では絶対に負けたくないと思っていました。
ということは、“うまさ”で負けたと感じたこともあった?
乾 もちろん。高校の1つ上の先輩だった楠神順平(現サガン鳥栖)選手とか、他にもうまい人がたくさんいたので。「この人たちには勝てへんのかな」といつも思っていました。それから、高校1年の時に関西の選抜チームに呼ばれたんですけど、そこに当時中学3年だった柿谷曜一朗(現セレッソ大阪)がいて……あれは度肝を抜かれましたね。ホントにびっくりしました。「こんなにうまいヤツがいるんや」って。
なにが、どのくらいうまかったんですか?
乾 高校1年の自分が必死でやってイマイチなプレーをしているのに、中学3年のアイツが高校1年を相手に、余裕を持って意味分からんプレーをしてたんです(笑)。「こんなに次元が違うヤツがおるんや」って、ホントに驚きました。
「高校生の頃は、全くサッカーを知らなかった」
野洲高校の2年時、冬の全国高校サッカー選手権大会で全国制覇を成し遂げました。華麗なパスサッカーは「セクシー・フットボール」と呼ばれて盛り上がりましたね。
乾 “その瞬間”は良かったんですけど、正直なところ、“その後”はイヤでした。あの大会で出場していた2年生は僕を含めて3人だけで、新チームはめちゃくちゃ弱かったんです。滋賀県内でも、勝てるかどうか。それなのに、遠征に行けば「すごいプレーをするんだろ?」という目で見られるし、そんなことできないのに期待ばかり大きくて……。
ちょっとした“ありがた迷惑”というか。
乾 応援してくれた人たちには申し訳ないんですけど(笑)。
それでも、日本一になったという経験によって、乾選手個人としての世界観は広がったのでは?
乾 それはあると思います。あれをきっかけに、「もしかしたら、プロになれるかも!」と思い始めましたから。それまでは、「なれたらいいな」くらいだったので、世界観は変わったと思います。でも、もちろん、プロになって、今みたいな状況になるなんて全く思ってなかったですよ。「海外でプレーしてみたいなあ」とは漠然と思っていましたけど。
――サッカー少年なら、誰もが一度は「プロになりたい」という希望を持つと思うんです。でも、実際になれると分かった瞬間の気持ちというのは、経験した人にしか分からないと思うのですが。
乾 難しいですね。特に何かが変わったとは思わないんですけど……いや、やっぱり、ちょっと調子に乗ってしまったと思いますね。
28歳の今、振り返る18歳の自分。
乾 U-23代表に選ばれたりして……ちょっとどころじゃなく、調子に乗りまくってました(笑)。でも、仕方ないですね。若かったですから。
以前にもお話をお聞きしましたが、当時から自分のことをドリブラーであるとは認識していなかったということが意外でした。
乾 ドリブルは好きなんですけど、自分では、試合中にそんなに何度もドリブルで仕掛けるようなタイプの選手じゃないと思っているんです。確かに、高校時代はドリブルばかりしていたし、実際に自信もありましたけど、それはサッカーを知らなかっただけ。それだけじゃ通用しないということを、まだ分かっていなかったんですよね。
サッカーの本質的な部分を少しずつ知り始めたのは、プロになってから?
乾 はい。サッカーを学ばなければ通用しなかったし、プロになってから覚えたことはたくさんあります。それによって失うものもあったかもしれないと考えれば、それが良かったのかどうかは分かりません。でも、サッカーのことを勉強したことは間違いありません。
「自分がプロになるためにはドリブルしかないと思っていた」
ただ、今でも、相手との一対一の局面になれば、「絶対に抜ける」という自信を持っているのでは?
乾 これがね~……“日”によるんですよ(笑)。調子がいい時は、何も考えなくてもスイスイ抜けるんです。でも、調子が良くない時は全くダメなので。もちろん、一対一の局面ではドリブルで勝負したいという気持ちはありますけど。
となると、今、「あなたの武器は何ですか?」と聞かれたら、どう答えますか?
乾 武器? うわ、どうしよ。答えられへん(笑)。武器? 武器って何ですかね……。難しいですね……。何だと思います?
「ドリブル」ではないんですよね?
乾 違う気がしますね。どっちかと言うと、周りの選手を活かすプレーというか。もちろん、その中にドリブルが含まれるのかもしれないですけど。それは、日本で(香川)真司たちとチームメイトだった頃から感じていたんです。「俺、こういうプレーが好きなんや」って。そういう意味では、個人としての武器は、ないですね。
では、サッカーをやっていて“快感”に感じる瞬間は?
乾 そう考えると、ドリブルで相手を抜いた瞬間ではないですよね。やっぱり、ゴールを決めた瞬間とか、イメージどおりのアシストができた瞬間とか、チームメイトとの感覚がばっちり合った瞬間とか。
まさにそういう意味で、野洲高校のサッカーは乾選手のスタイルに合っていたのではないかと思います。感覚を共有できるチームメイトがいて、相手との駆け引きに勝つ喜びを分かち合うというか。
乾 それは間違いないですね。特に2年の時は、純粋に楽しかったですもん。やりたいことをやっていたし、感覚を合わせながらプレーすることができていたので。まあ、あの頃はドリブルばっかりだったんですけど、「プロになるためにはこれしかない」と思っていましたから。
「目立ちたい!」という意識はありました?
乾 どうやったんやろ……。でも、やっぱり目立ちたいと思っていたんでしょうね。チヤホヤされるのが嬉しいと感じていた時期だったので、そういうプレーもしていたと思います。
「世界には、すごいヤツらがゴロゴロいる」
それを踏まえて、今の高校生たちに乾選手からアドバイスすることがあるとすれば?
乾 高校時代は、自分の武器を作ることに専念するくらいでいいと思うんですよ。それがあって初めて他の人から評価されるし、プロの世界への道も開けると思うので。サッカーの難しさとか奥深さを勉強するのは、プロになってからでいいと思うんです。例えば、攻撃の選手だったら守備を学ばないといけないし、今のサッカーなら、守備の選手だって攻撃のことを学ばないといけないですから。もちろん、ドリブルばかりじゃ通用しないということにも気づきますよね。
今、当時の自分を振り返って、「あれをやっておけば良かった」と思うことって、あります?
乾 シュート練習ですよね。シュートさえもっとうまくなっていたら、こんなに苦労しなくて済んだはずですから(笑)。やっぱり、僕が今立っている場所は、「シュートが決まれば勝ち」の世界なんです。だから、もし高校生に戻れたら、ドリブルと同じくらいシュート練習をやるでしょうね。
ちなみに、キャラクター的にはどんな高校生だったんですか?
乾 いやあ、そりゃあもう生意気でしたよ。先生に何かを言われても、言い返したり、無視することもあったり……。改めて振り返ると、俺、かなり悪いヤツやな。全然アカンな(笑)。
それくらい自信があったということですよね。
乾 もちろん、今は本当に、先生のことを心からリスペクトしていますよ。僕がプロになれたのは、先生のおかげやと思っているので。先生はすごく大人で、僕の扱い方を知っていました。まあ、良く言えば「自分を貫けた」ということなんですけど、やっぱり、生意気でしたね。
逆に、あの頃の自分から見た、今の自分は?
乾 プレーの面で言えば、走れるようになりました。性格的には、自分ではよく分からないけど、全体的にちょっとだけ“大人”になった気はします。今もあの頃のままだったら、ヤバいですよね。子供がいるお父さんなんで、大人にならないと。
なるほど(笑)。今やスペインリーグを舞台としているわけですから、選手としての成長ぶりはものすごいものがありますよね?
乾 いや、これは本当に、世界にはサッカーがうまいヤツがゴロゴロいて、それを間近に体感してきたので、自分のことを「うまい」とは全く思わなくなったというか。あれを見てしまうと、「全然やなあ」って思いますよね。
でも、中高生の頃に「アイツはすごい!」と思っていた選手と、今の乾選手が「アイツはすごい!」と思う選手のレベルは、もう全く別次元ですよね。
乾 うん、確かにそうなんですけど、実際に見て、感じてしまうと目が肥えてしまうところもあるんです。本当に、すごいヤツはいっぱいいますよ。世界には。
それが、今の自分にとってのモチベーションでもあるということですよね。昔も今も変わらない負けず嫌い。
乾 それはありますね。頑張って追いつきたいと思うし、ちょっとでも近づきたいと思うので。そういう意味では、今も昔も変わらないのかもしれません。
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By サッカーキング編集部
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