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【コラム】上位と下位の差が縮まったリーガ…大きな要因は放映権料分配による経済格差の縮小

2017.01.28

前半戦首位のレアル(上)、2位セビージャ(中)、3位バルサ(下) [写真]=Getty Images

 リーガ・エスパニョーラの前半戦が終わった。クラブワールドカップに出場したレアル・マドリードは1試合消化試合が少ないが、勝ち点43の首位でリーガを折り返した。2位はセビージャで42ポイント、3位はバルセロナで41ポイントだった。上位3チームの勝ち点を合わせると126ポイントだ。

 スペイン紙『エル・パイス』は前半戦終了時点の上位3チームの合計勝ち点を過去のシーズンと比較した。126ポイントまで下がったのは実に2008-09シーズン以来となる。08-09シーズン以降は132(09-10)、139(10-11)、128(11-12)、136(12-13)、147(13-14)、133(14-15)、129(15-16)だった。合計ポイントが最も多かったのが13-14シーズンで、この年は前半戦で2位だったアトレティコ・マドリードがリーガを制覇した。

 この数字から読み取れるものがある。

 13-14シーズンは上位と他のチームの間に大きな差があった。一方、今シーズンは各チームの力が拮抗している。つい最近までバルセロナとレアル・マドリードの2強は、シーズンでの総勝ち点114ポイント(勝ち点3×38節)のうち100をとらなければ優勝できないと言われていた。彼らの強さが際立つ“取りこぼしが許されない”耐久レースだった。今は違う。バルセロナは今シーズン、ホームで昇格組のアラベスに負けた。ほんの少し前までならば考えられないことだ。2強は、本拠地では下位チーム相手に4点、5点の差をつけて大勝するのが当たり前だった。

 実力差は、なぜ縮まったのか。

 バルセロナとアトレティコ・マドリードは数年前に比べるとチーム力が低下したという指摘も確かだろうが、最も大きな要因は経済格差が縮まったからだ。放映権料の分配が改革された。チームによっては、昨シーズンの倍に近い放映権料を手にしたクラブもある。さらに世界金融危機を発端に始まった国内の経済危機も最悪の時は過ぎ、中位、下位クラブも以前に比べて選手補強に投資できるようになった。

 世界金融危機が起こったのは、2008年だった。リーガは上記したように08-09シーズンから、上位と下位の勝ち点差が大きくなっていた。奇遇ではない。政治同様に、経済もやはり、スポーツとは切り離せない。

文=座間健司

By 座間健司

フリーライター&フォトグラファー。フットサルとサッカーを中心にスペインで活動中。

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