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【コラム】いよいよリーガ開幕…バルセロナはレアル・マドリードを止められるか

2017.08.18

今季もレアル、バルサを中心に優勝争いが繰り広げられるだろう

 新シーズンのリーガ・エスパニョーラの優勝候補筆頭は、ディフェンディングチャンピオンでもあるレアル・マドリードだ。昨シーズン、チャンピオンズリーグ(CL)を連覇し、リーガ制覇もなし遂げた首都チームの前途は明るい。なにせ新シーズン開幕を告げるスーペルコパ・デ・エスパーニャ(スペイン・スーパーカップ)において、最大のライバルであるバルセロナに2戦合計で5-1と大勝したからだ。結果だけではない。文句のつけようがないパフォーマンスで、文字どおりバルセロナを圧倒した。

 カンプ・ノウで行われた初戦では、ルカ・モドリッチを出場停止で欠いたが、代わりに入ったマテオ・コヴァチッチが、リオネル・メッシを封じ、ゲームを支配した。前線では途中出場のクリスティアーノ・ロナウドとマルコ・アセンシオが目の覚めるようなゴールを決めた。

 サンティアゴ・ベルナベウで行われた2戦目では、C・ロナウドが出場停止。ギャレス・ベイル、イスコ、カゼミーロらがベンチスタートだったが、先発出場したアセンシオが約30メートルのミドルシュートというゴラッソで先制点を決めると、カリム・ベンゼマが追加点を決め、前半で早々とタイトル獲得を決めた。

アセンシオの活躍が光った [写真]=Getty Images

 UEFAスーパーカップでもかつての指揮官であるジョゼ・モウリーニョをナーバスにさせるほどのクオリティで、マンチェスター・Uに完勝し、国内でもバルセロナを圧倒した。しかも、C・ロナウドというクラブ史において最も重要な選手がピッチにいなくても、遜色ない力強さをピッチで実証した。メッシ頼みのバルセロナとは対照的だ。

 バルセロナ相手に2戦連続で得点を決めたアセンシオには「ベイルではなく、彼がファーストチョイスにふさわしいのではないか」という議論が起こっている。そんな彼を筆頭に、ルーカス・バスケス、コヴァチッチら選手層は厚い。その点でも昨夏に獲得したポルトガル代表MFアンドレ・ゴメスは対峙するモドリッチに振り回され、同じくバレンシアからやって来たストライカー、パコ・アルカセルは点を追いかける状況でも投入されなかったバルセロナとは相反する。

 レアル・マドリードは昨シーズンのメンバーを基本に8月にして新シーズン早くも2冠を手にしているが、移籍市場でも的確な補強を成功させている。昨シーズンにアラベスでブレイクした20歳のテオ・エルナンデス、レンタル先のアラベスから復帰した22歳のマルコス・ジョレンテ、ドイツから20歳のセンターバックのヘスス・バジェホ、ベティスから獲得した21歳のダニ・セバージョスを補強した。国内にいる若いタレントを獲得。新陳代謝を促し、選手層をさらに厚くすることを試みている。トッテナムで大した活躍もできず、中国にいた29歳のブラジル代表MFパウリーニョを4000万ユーロ(約51億円)で補強したバルセロナとは正反対だ。

広州恒大から加入したパウリーニョ [写真]=NurPhoto via Getty Images

 初夏に勃発したC・ロナウドの退団騒動が、現実になったとしても、マドリディスタは落ち着いていられるだろう。それだけの選手が揃っている。その点でもネイマールが退団した現実を乗り越えられずにいるカタルーニャ州のチームとは対極にある。

 レアル・マドリードは、現時点で国内で頭一つ、もしくは二つくらい抜けている。

 どこがレアル・マドリードを止めるのか。

 アトレティコ・マドリードは補強禁止処分中ゆえに、夏に戦力の上積みはなかった。エースのアントワーヌ・グリーズマンの残留は吉報だが、昨シーズンからの現状維持では近隣のライバルを上回れる可能性は低い。

 レアル・マドリードを止める最有力候補は、スーペルコパで惨敗したとはいえ、やはりバルセロナしかいない。夏の間にネイマールに振り回され続け、挙句には彼が退団したことでチームの士気は低下した。だからといって、レアル・マドリードに大きく劣るほどの陣容となっただろうか。4カ月前を思い出してみるといい。ブラジル代表10番の損失は確かに大きいが、バルセロナはほんの4カ月前に出場停止だったネイマール抜きで、“エル・クラシコ”に2-3で勝利している。4月23日にサンティアゴ・ベルナベウで行われ、メッシが決勝点を決めて脱いだユニフォームをバルセロニスタに掲げたゲームだ。両者の陣容はその時からほぼ変わっていない。効果的な補強ができていないことは確かだが、現戦力でもレアル・マドリードには決して劣っていないのだ。

リオネル・メッシ

ネイマールが去っても、バルセロナにはメッシがいる [写真]=Getty Images

 この4カ月で両者の関係は全く変わってしまった。レアル・マドリードは2冠を達成したことで、自信をさらに深め、アセンシオら若い選手もその手にした自信と実績によりさらにパフォーマンスが飛躍した。一方、バルセロナはネイマールの退団により、同じメンバーにも関わらず、パフォーマンスは見違えるほどに劣化した。チームは生物とよく言ったものだ。

 だからこそか。

 バルセロナの新監督エルネスト・バルベルデは、スーペル・コパのセカンドレグ後の記者会見で「マドリーよりも劣ってないと思い続けているのか?」と質問されるとこう返答した。

「シーズンは始まったばかりだ。1年は長い。これから見ていこうじゃないか」

 果たして、バルセロナは4カ月前の強さを取り戻せるか。もしくはレアル・マドリードが今ある勢い、強さをシーズンを通して維持してしまうのか。

文=座間健司

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By 座間健司

フリーライター&フォトグラファー。フットサルとサッカーを中心にスペインで活動中。

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