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【コラム】またもミスを犯したエメリ監督…名誉挽回のチャンスはあと1度

2018.02.17

PSGを率いるエメリ監督 [写真]=VI Images via Getty Images

 指揮官は、間尺に合わない。パリ・サンジェルマン(PSG)のウナイ・エメリ監督を見ているとつくづくそう思う。高額な収入を手にしているとはいえ、勝利しても、世界記録でブラジル代表FWネイマールを獲得した金満クラブであり、「あれだけの陣容だから勝って当たり前」と囁かれ、負ければ「スター選手、タレントの活かし方を知らない」と断罪される。欧州屈指のビッククラブを指揮しているのだから、彼が有能であることは疑いの余地はない。ましてや何の縁のゆかりもないPSGに招へいされたのは、実力を買われたからである。

 だが、エメリ監督と「成功」という明るいイメージは結びつかない。

 2006-2007シーズンに2部にいたアルメリアをクラブ史上初めて1部に昇格させ、翌シーズンは1部で8位という十分すぎる戦績をおさめた。その手腕を買われ、08-09シーズンからバレンシアの監督に就任した。財政難だったこともあり、(スペイン代表FWダビド・)ビジャ、(同代表MFダビド・)シルバ、(同代表MFフアン・)マタら主軸を売却しなければならなかったが、見事な采配でバレンシアに3シーズン連続でチャンピオンズリーグ(CL)出場権をもたらした。文句のつけようがない戦績だったが、チームの経営状況がどうであろうと過去の栄光を忘れられない本拠地メスタージャのスタンドはタイトルをもたらせない指揮官に満足せず、追われるように退団した。スパルタク・モスクワでは、1年目の11月に成績不振で解任された。背水の陣となったセビージャではヨーロッパリーグ3連覇に導くなど立派な結果を残して、花の都に栄転した。

 名将への階段を登っていたエメリ監督に決定的なケチがついたのは、昨シーズンだ。CL決勝トーナメント1回戦だった。バルセロナに4-0とホームで勝利し、準々決勝への勝ち抜けを決めたかに思えたが、セカンドレグで1-6という歴史に残る大逆転負けを喫した。バルセロナサポーターにとって、記録にも記憶にも残る日となり、反対側のベンチに座っていたスペイン人指揮官の采配は徹底的に批評され、嘲笑された。2012年に出版した「勝者のメンタリティー・エメリのメソッド」と題名のついた本は、フットボールファンやSNS上で格好のネタとなった。

 ゆえにエメリにとってレアル・マドリード戦は、「敗者」のレッテルをはがす絶好の機会だった。

 PSGは昨シーズンに続き、CL決勝トーナメント1回戦で、スペインのチームと対戦した。バルセロニスタは、エメリ監督が仮に勝てば「あのPSGに、負けたのか」とライバルを馬鹿にし、嘲ることに変わりないだろうが、指揮官にとってバルセロナ戦で着せられた汚名を晴らすには、十分な相手だ。スペイン国内のエメリに対するイメージも変わるかもしれない1戦だったが、試合後にバスク人は、またも采配ミスを地元メディアから指摘される結果となってしまった。

ネイマール

ネイマールを中心にチャンスを作るも… [写真]=VI Images via Getty Images

 大きな疑問符がついたのは、アルゼンチン代表MFジオヴァニ・ロ・チェルソの先発起用だ。負傷明けだが、チームの支柱であるイタリア代表MFチアゴ・モッタではなく、アルゼンチン人MFが配置されたのだ。しかし、彼はボールを失うだけでなく、前半終了間際という細心の注意を払わなければいけない時間帯に、しかもビックマッチで、幼稚としか言いようがないファウルを犯して、PKを与えた。

 敗者の宿命とはいえ、エメリ監督の采配には疑問符が尽きなかった。

 66分、得点を奪うことにはかけてネイマールやフランス代表FWキリアン・ムバペより能力の高いウルグアイ代表FWエディンソン・カバーニをベンチに下げた。今シーズン好調で、かつて在籍していたレアル・マドリードを熟知しているアルゼンチン代表MFアンヘル・ディ・マリアを1分も起用しなかった。

 エメリ監督は、またも戦犯の筆頭として名が挙がってしまった。一方、勝者だから当然なのだが、ジネディーヌ・ジダン監督の采配を称える声は大きい。

 レアル・マドリードは、リーガ・エスパニョーラで首位と17ポイント差、コパ・デル・レイ敗退と、今シーズンの残すタイトルはCLだけ。レアル・マドリード寄りのメディアである『マルカ』と『アス』は、2月に入ってから2週間先にあるゲームに関して報道を始めていた。それほどマドリディスタにとって期待と不安が大きかったゲームで、フランス人指揮官の采配が見事にはまった。

クリスティアーノ・ロナウド

2ゴールを決めたC・ロナウド [写真]=UEFA via Getty Images

 とくに79分のスペイン代表MFマルコ・アセンシオと同代表FWルーカス・バスケスの投入だ。アセンシオは2アシストし、「彼の才能はレアル・マドリードの現在と未来であり、ムバペよりも偉大だ。もっと起用すべきだ」という声が挙がるほどだった。コンディションが整わないブラジル代表MFカゼミーロを引っ張り過ぎたという厳しい声もあるが、投入した選手が2アシストをしたのだから、結果的に文句がつけようがないジダン監督の采配だった。エメリ監督とは対照的である。

 CL決勝トーナメント1回戦でもっとも注目を集めるカードのファーストレグは、3-1でレアル・マドリードが勝利した。地元ラジオの討論番組で「決着がついた」というマドリード寄りの記者もいれば、「まだ結果は分からない」と応じる記者もいる。どちらにしろ、ゲームはまだ90分残っている。エメリ監督は自身にまとわりつく「負のイメージ」を払拭できるだろうか。

文=座間健司

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By 座間健司

フリーライター&フォトグラファー。フットサルとサッカーを中心にスペインで活動中。

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