バルサはマンUと対戦する[写真]=Getty Images
UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝、マンチェスター・Uvsバルセロナの1st legが、10日(日本時間4時)にキックオフされる。
近年のCLでは隆盛を極めてきたスペイン勢。だが、今季は決勝トーナメント1回戦で同大会3連覇中のレアル・マドリードと、直近5シーズンで二度の準優勝を経験しているアトレティコ・マドリードの敗退が決定し、準々決勝に残ったのはバルサのみとなった。
果たしてこれは、黄金時代崩壊の序章なのか。はたまた、スペイン勢の覇権はまだしばらく続いていくのだろうか。
■CLでのマンU戦は過去8試合で3勝4分1敗
CLにおけるマンチェスター・U戦で、バルサは3勝4分1敗の成績を残している。敗戦率は12.5%と低いが、8試合で10失点と比較的ゴールを割られる頻度も多く、それがドローの多さにつながってきた。
唯一の敗戦は2007-08シーズンの準決勝2nd leg。『オールド・トラッフォード』で行われた一戦では、ポール・スコールズのゴールが決勝点となった。当時は、バルサを暗黒時代から救い出したロナウジーニョのコンディションが下降の一途をたどっており、この準決勝2nd legでもチームに帯同せず。チームの戦い方からも閉塞感が漂い、「変化の必要性」を感じさせた試合だった。
しかしその翌シーズン、バルサはCL決勝で“赤い悪魔”を相手にリベンジを果たす。クリスティアーノ・ロナウドやウェイン・ルーニー、カルロス・テベスらを擁していたマンチェスター・Uに2-0で勝利。ジョゼップ・グアルディオラが到来したバルサは、新たなサイクルのスタートを高らかに宣言した。
バルサが最後にマンチェスター・Uと対戦したのは、2010-11シーズンの決勝。ペップ体制の円熟期をむかえていたバルサがペドロ・ロドリゲス、リオネル・メッシ、ダビド・ビジャのゴールでビッグイヤーを手にしている。
■心のトゲとして残る「ローマの悲劇」…カギは主力選手たちの疲労度
2014-15シーズンの優勝以降、バルサはCLで3シーズン連続ベスト8どまりとなっている。なかでも衝撃的な敗戦だったのは、昨季のローマ戦だろう。
1st legの結果は「ほぼ完璧」と言えるものだった。本拠地『カンプ・ノウ』で4-1と大勝。ダニエレ・デ・ロッシとコスタス・マノラスがオウンゴールを献上するなど、ローマは混乱しているようにすら見えた。アウェイゴールを一つ許したものの、この大差ではさして影響を及ぼさないはず……。バルサの準決勝進出は確実だと、誰もが思ったことだろう。
だが、ローマは死んでいなかった。奇跡の逆転突破を懸けて2nd legに臨んだ“ジャッロロッソ”は、猛烈なプレスと前への推進力でバルサを圧倒。試合開始早々にエディン・ジェコがゴールネットを揺らすと、1st legで痛恨のオウンゴールを記録したデ・ロッシとマノラスが汚名返上のゴールを決めた。ローマの圧力で窒息寸前となったバルサは、『スタディオ・オリンピコ・ディ・ローマ』で1ゴールも挙げることができず。2試合合計スコアは4-4で並んだものの、1st legのアウェイゴールが致命傷となり、準決勝進出の夢は露と消えた。
ローマでの大失敗には、シーズンを通したチームマネジメントの難しさが色濃く反映されていた。エルネスト・バルベルデ監督は主力を固定して連携面の熟成をはかっていたが、その反動でチームはシーズン後半に息切れを起こすことに。休みなく連戦をこなしてきた選手たちは、ローマ戦で明らかに疲弊していた。
そして、昨季の悪夢は再び繰り返される危険性がある。今回のマンチェスター・U戦の直前、バルサはリーガ・エスパニョーラでアトレティコ・マドリードと対戦。ルイス・スアレスとメッシのゴールで2-0と勝利し、ラ・リーガ優勝をほぼ手中に収めた、だが、勝ち点3確保のためにフルメンバーを起用したこと、試合終盤までスコアレスの展開が続いたために、キープレーヤーたちを90分間起用せざるを得なかったことで、スカッドの疲労度は間違いなく高まっている。国内の試合で主力を温存できなかったことは、もしかするとCLの舞台で高くつくかもしれない。
■“大黒柱”メッシは好調を維持するも…「そけい部の違和感」がどう影響するか
今季も例に漏れず、メッシは影響力の大きさを見せつけている。CLでは6試合出場で8ゴールを挙げているし、攻撃を組み立てる時やスイッチを入れる時は、必ずと言っていいほどボールがメッシを経由する。週末のアトレティコ戦でも、メッシは常に決定的な存在で在り続けた。
だが、メッシが絶大な影響力を持つ半面、バルサは「メッシがコケたら皆コケる」危険性を抱えている。これは何も今に始まった問題ではないが、その解決策を見出せていない以上、マンチェスター・U戦にも不安はつきまとう。
そのメッシは、久々にアルゼンチン代表に復帰した3月の国際Aマッチウィークでそけい部の違和感を訴え、代表活動を途中で切り上げた。そけい部周辺の違和感は1月から感じていたようだが、過密日程によって症状が悪化したようだ。現に、ラ・リーガ第30節のビジャレアル戦ではスタメン出場を回避(61分から途中出場)。バルベルデ監督はコンディションの調整に気を配っているが、メッシに何かアクシデントがあれば、バルサの準決勝進出は暗雲が漂ってくるだろう。
■マンU戦1st legの予想スタメン…中盤インサイドと右SBで変更の可能性が
バルベルデ監督が「冒険を好まない」タイプだということを踏まえると、10日の1st legは“鉄板メンバー”のほとんどがスタメン出場するはずだ。
変更があるとすれば、中盤インサイドと右サイドバックか。縦に早い攻撃を得意とするマンチェスター・Uが相手ということもあり、自ずと試合展開は行き来の激しいものになる可能性がある。アルトゥールは的確なボール捌きでリズムを作り出せる好選手だが、中盤インサイドにはフィジカル能力に優れ、オープンな展開で力を発揮できるアルトゥーロ・ビダルが選ばれるかもしれない。
右サイドバックは、これまでセルジ・ロベルトがレギュラーを務めてきたが、今季はネルソン・セメドが適応度を高めている。守備対応の荒さが減ってきていること、爆発的なスピードで対峙する相手を押し込めることから、セメドが先発の座を勝ち取ったとしても不思議ではない。
また、左ウイングの位置は、アトレティコ戦で上々の出来を示したフィリペ・コウチーニョが先発の座を勝ち取りそう。負傷明けのウスマン・デンベレは招集メンバーには名を連ねるだろうが、起用されるとしても起爆剤としての途中投入となるだろう。
文=松本武水
写真=Getty Images
【PR】UEFAチャンピオンズリーグは
WOWOWが独占配信!
「WOWOWオンデマンド」とは、テレビやBS視聴環境がなくてもWOWOWのコンテンツを月額2,530円(税込)で楽しめるサービス。
WOWOWではUEFAチャンピオンズリーグ(CL)、UEFAヨーロッパリーグ(EL)のリーグフェーズの注目試合と決勝トーナメントの全試合を放送・配信するほか、UEFAカンファレンスリーグ(ECL)の決勝や注目試合も視聴できる。
欧州最高峰のサッカーを楽しみたいなら、今すぐ加入しよう!
- ① CL・ELの注目試合&決勝トーナメント全試合を堪能できる!
- ② 「WOWOWオンデマンド」はいつでもどこでも好きなデバイスで視聴可能!
- ③ スポーツ、映画、音楽、ドラマなど幅広いコンテンツが楽しめる!