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【コラム】スペイン勢唯一の生き残りを懸けて…バルサはCL準々決勝第1戦をどう戦う?

2019.04.08

バルサはマンUと対戦する[写真]=Getty Images

 UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝、マンチェスター・Uvsバルセロナの1st legが、10日(日本時間4時)にキックオフされる。

 近年のCLでは隆盛を極めてきたスペイン勢。だが、今季は決勝トーナメント1回戦で同大会3連覇中のレアル・マドリードと、直近5シーズンで二度の準優勝を経験しているアトレティコ・マドリードの敗退が決定し、準々決勝に残ったのはバルサのみとなった。

 果たしてこれは、黄金時代崩壊の序章なのか。はたまた、スペイン勢の覇権はまだしばらく続いていくのだろうか。

■CLでのマンU戦は過去8試合で3勝4分1敗

 CLにおけるマンチェスター・U戦で、バルサは3勝4分1敗の成績を残している。敗戦率は12.5%と低いが、8試合で10失点と比較的ゴールを割られる頻度も多く、それがドローの多さにつながってきた。

 唯一の敗戦は2007-08シーズンの準決勝2nd leg。『オールド・トラッフォード』で行われた一戦では、ポール・スコールズのゴールが決勝点となった。当時は、バルサを暗黒時代から救い出したロナウジーニョのコンディションが下降の一途をたどっており、この準決勝2nd legでもチームに帯同せず。チームの戦い方からも閉塞感が漂い、「変化の必要性」を感じさせた試合だった。

バルサはスコールズの一撃に沈んだ [写真]=Getty Images

 しかしその翌シーズン、バルサはCL決勝で“赤い悪魔”を相手にリベンジを果たす。クリスティアーノ・ロナウドウェイン・ルーニーカルロス・テベスらを擁していたマンチェスター・Uに2-0で勝利。ジョゼップ・グアルディオラが到来したバルサは、新たなサイクルのスタートを高らかに宣言した。

バルサはC・ロナウド擁するマンUを決勝で下した [写真]=Getty Images

 バルサが最後にマンチェスター・Uと対戦したのは、2010-11シーズンの決勝。ペップ体制の円熟期をむかえていたバルサがペドロ・ロドリゲス、リオネル・メッシダビド・ビジャのゴールでビッグイヤーを手にしている。

黄金期のバルサが決勝で3-0と快勝 [写真]=Getty Images

■心のトゲとして残る「ローマの悲劇」…カギは主力選手たちの疲労度

昨季、バルサはローマの地で衝撃的な敗戦を喫した [写真]=Getty Images

 2014-15シーズンの優勝以降、バルサはCLで3シーズン連続ベスト8どまりとなっている。なかでも衝撃的な敗戦だったのは、昨季のローマ戦だろう。

 1st legの結果は「ほぼ完璧」と言えるものだった。本拠地『カンプ・ノウ』で4-1と大勝。ダニエレ・デ・ロッシとコスタス・マノラスがオウンゴールを献上するなど、ローマは混乱しているようにすら見えた。アウェイゴールを一つ許したものの、この大差ではさして影響を及ぼさないはず……。バルサの準決勝進出は確実だと、誰もが思ったことだろう。

ホームで大勝したバルサの次ラウンド進出は確定したかに思われたが…… [写真]=Getty Images

 だが、ローマは死んでいなかった。奇跡の逆転突破を懸けて2nd legに臨んだ“ジャッロロッソ”は、猛烈なプレスと前への推進力でバルサを圧倒。試合開始早々にエディン・ジェコがゴールネットを揺らすと、1st legで痛恨のオウンゴールを記録したデ・ロッシとマノラスが汚名返上のゴールを決めた。ローマの圧力で窒息寸前となったバルサは、『スタディオ・オリンピコ・ディ・ローマ』で1ゴールも挙げることができず。2試合合計スコアは4-4で並んだものの、1st legのアウェイゴールが致命傷となり、準決勝進出の夢は露と消えた。

 ローマでの大失敗には、シーズンを通したチームマネジメントの難しさが色濃く反映されていた。エルネスト・バルベルデ監督は主力を固定して連携面の熟成をはかっていたが、その反動でチームはシーズン後半に息切れを起こすことに。休みなく連戦をこなしてきた選手たちは、ローマ戦で明らかに疲弊していた。

 そして、昨季の悪夢は再び繰り返される危険性がある。今回のマンチェスター・U戦の直前、バルサはリーガ・エスパニョーラでアトレティコ・マドリードと対戦。ルイス・スアレスとメッシのゴールで2-0と勝利し、ラ・リーガ優勝をほぼ手中に収めた、だが、勝ち点3確保のためにフルメンバーを起用したこと、試合終盤までスコアレスの展開が続いたために、キープレーヤーたちを90分間起用せざるを得なかったことで、スカッドの疲労度は間違いなく高まっている。国内の試合で主力を温存できなかったことは、もしかするとCLの舞台で高くつくかもしれない。

主力がフル稼働せざるを得なかったアトレティコ戦がどう影響するか [写真]=Getty Images

■“大黒柱”メッシは好調を維持するも…「そけい部の違和感」がどう影響するか

もはや、メッシの存在自体がバルサの“生命線”だ [写真]=Getty Images

 今季も例に漏れず、メッシは影響力の大きさを見せつけている。CLでは6試合出場で8ゴールを挙げているし、攻撃を組み立てる時やスイッチを入れる時は、必ずと言っていいほどボールがメッシを経由する。週末のアトレティコ戦でも、メッシは常に決定的な存在で在り続けた。

 だが、メッシが絶大な影響力を持つ半面、バルサは「メッシがコケたら皆コケる」危険性を抱えている。これは何も今に始まった問題ではないが、その解決策を見出せていない以上、マンチェスター・U戦にも不安はつきまとう。

 そのメッシは、久々にアルゼンチン代表に復帰した3月の国際Aマッチウィークでそけい部の違和感を訴え、代表活動を途中で切り上げた。そけい部周辺の違和感は1月から感じていたようだが、過密日程によって症状が悪化したようだ。現に、ラ・リーガ第30節のビジャレアル戦ではスタメン出場を回避(61分から途中出場)。バルベルデ監督はコンディションの調整に気を配っているが、メッシに何かアクシデントがあれば、バルサの準決勝進出は暗雲が漂ってくるだろう。

■マンU戦1st legの予想スタメン…中盤インサイドと右SBで変更の可能性が

バルサの予想スタメン [写真]=Getty Images

 バルベルデ監督が「冒険を好まない」タイプだということを踏まえると、10日の1st legは“鉄板メンバー”のほとんどがスタメン出場するはずだ。

 変更があるとすれば、中盤インサイドと右サイドバックか。縦に早い攻撃を得意とするマンチェスター・Uが相手ということもあり、自ずと試合展開は行き来の激しいものになる可能性がある。アルトゥールは的確なボール捌きでリズムを作り出せる好選手だが、中盤インサイドにはフィジカル能力に優れ、オープンな展開で力を発揮できるアルトゥーロ・ビダルが選ばれるかもしれない。

 右サイドバックは、これまでセルジ・ロベルトがレギュラーを務めてきたが、今季はネルソン・セメドが適応度を高めている。守備対応の荒さが減ってきていること、爆発的なスピードで対峙する相手を押し込めることから、セメドが先発の座を勝ち取ったとしても不思議ではない。

 また、左ウイングの位置は、アトレティコ戦で上々の出来を示したフィリペ・コウチーニョが先発の座を勝ち取りそう。負傷明けのウスマン・デンベレは招集メンバーには名を連ねるだろうが、起用されるとしても起爆剤としての途中投入となるだろう。

文=松本武水
写真=Getty Images

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