[写真]=Getty Images
バルセロナがブラジル代表MFアルトゥールをユヴェントスに売却したことは、大きな物議をかもした。実質的にはボスニア・ヘルツェゴビナ代表MFミラレム・ピャニッチとのトレードだが、2018年の加入からわずか2年、クラブOBのシャビにも例えられた逸材の放出に大半のファンは首を傾げているようだ。地元スポーツ紙『スポルト』が公式HP上で行ったアンケートでも、回答者の8割近くがアルトゥールの売却に「No」を突き付けている。
今回のオペレーションは、コロナ禍の影響を受けて財政難に苦しむクラブにとってはやむを得ないものだったという意見もある。だが一部のファンは批判の矛先をジョゼップ・マリア・バルトメウ会長に向け、SNS上では「#BartomeuOut」というハッシュタグが登場。クラブ運営に対する不満はくすぶったままだ。
そこで今回は、2014年1月にバルトメウ会長が就任して以降、バルセロナが一度は獲得しながら、放出した選手たちをピックアップ。取引額の大きかった選手を中心にベストイレブン形式でまとてみた。
※情報はすべて『transfremarkt』を参照
GKヤスパー・シレッセン(オランダ)
獲得:アヤックス→バルセロナ(2016年夏/1300万ユーロ=約15億円)
放出:バルセロナ→バレンシア(2019年夏/3500万ユーロ=約42億円)
移籍金収支:+2200万ユーロ=約27億円
アルトゥールと同じく、トレード移籍によって退団が決まったのがシレッセンだ。バルセロナは2600万ユーロ(約32億円)を支払ってバレンシアからブラジル代表GKネトを獲得する代わりに、オランダ代表GKをバレンシアに売却。手に入れた移籍金は獲得時のコストを大きく上回る3500万ユーロ(約42億円)だった。
DFアレイクス・ビダル(スペイン)
獲得:セビージャ→バルセロナ(2015年夏/1700万ユーロ=約21億円)
放出:バルセロナ→セビージャ(2018年夏/930万ユーロ=約11億円)
移籍金収支:-770万ユーロ=約9000万円
2015年夏にバルセロナに加入するも、当時は補強禁止処分を受けていたため選手登録が叶わず、翌年1月まで試合に出られなかった。その後もケガで長期離脱を強いられ、本来のパフォーマンスは発揮できず。在籍3シーズンで公式戦51試合出場4ゴールの記録を残し、セビージャに復帰した。
DFジェリー・ミナ(コロンビア)
獲得:パルメイラス→バルセロナ(2018年冬/1180万ユーロ=約14億円)
放出:バルセロナ→エヴァートン(2018年夏/3025万ユーロ=約37億円)
移籍金収支:+1845万ユーロ=約22億円
バルセロナでジェットコースターのような日々を過ごしたのがミナだ。2018年1月にパルメイラスから加入すると、半年後にはコロンビア代表としてW杯に出場。大会後に複数クラブからのオファーが届き、エヴァートンへの移籍を決めた。わずか半年の在籍で、移籍金収支は1845万ユーロ(約22億円)の黒字を記録。そもそもチームに必要な選手だったのか疑問は残るが、クラブの金庫を潤すという点においては最良の仕事をしたと言える。
DFトーマス・フェルマーレン(ベルギー)
獲得:アーセナル→バルセロナ(2014年夏/1900万ユーロ=約23億円)
放出:バルセロナ→ヴィッセル神戸(2019年夏/フリー)
移籍金収支:-1900万ユーロ
昨年夏、移籍金ゼロでヴィッセル神戸に加入したヴェルマーレンは、バルトメウ政権発足後初めての移籍マーケットでバルセロナに加入した選手だ。ただ度重なる負傷に苦しめられ、53試合の公式戦出場にとどまった。それでも日本では本来のパフォーマンスを取り戻し、天皇杯優勝に貢献した。
DFルカ・ディニュ(フランス)
獲得:パリ・サンジェルマン→バルセロナ(2016年夏/1650万ユーロ=約20億円)
放出:バルセロナ→エヴァートン(2018年夏/2020万ユーロ=約25億円)
移籍金収支:+370万ユーロ=約4億5000万円
ジョルディ・アルバの後継者として加入するも、その地位を崩すことはできず、ロシアW杯のメンバー入りも逃した。それがひとつのキッカケとなってエヴァートンへ移籍。バルセロナは放出を渋ったが、好条件のオファーが届いたこともあって、売却を決断したという。
MFアンドレ・ゴメス(ポルトガル)
獲得:バレンシア→バルセロナ(2016年夏/3700万ユーロ=約45億円)
放出:バルセロナ→エヴァートン(2018年夏/2500万ユーロ=約30億円)
移籍金収支:-1200万ユーロ
バレンシアでブレイクを果たし、レアル・マドリードとの争奪戦の末にバルセロナへ加入。しかし期待されたほどの活躍を見せられず、本人は大きな重圧を感じて「フットボールを楽しめなくなった」と告白したほどだった。1年間のレンタル移籍を経て、昨年夏にエヴァートンへの完全移籍が発表された。
MFパウリーニョ(ブラジル)
獲得:広州恒大→バルセロナ(2017年夏/4000万ユーロ=約48億円)
放出:バルセロナ→広州恒大(2019年冬/4200万ユーロ=約51億円)
移籍金収支:+200万ユーロ=約2億4000万円
選手たちも驚きの退団となったがパウリーニョだ。2017年夏に中国からやってくると、瞬く間にチームにフィット。リーガ・エスパニョーラではリオネル・メッシ(34得点)、ルイス・スアレス(25得点)に次ぐ9ゴールを挙げたが、わずか1年でのUターン移籍が決まった。シーズン途中に同胞のフィリペ・コウチーニョが加入して出番が減少傾向にあったことも退団に拍車をかけたという。
MFアルトゥール(ブラジル)
獲得:グレミオ→バルセロナ(2018年夏/3100万ユーロ=約38億円)
売却:バルセロナ→ユヴェントス(2020年夏/7200万ユーロ=約87億円)
移籍金収支:+4100万ユーロ=約50億円
7200万ユーロ(約87億円)の売却額はネイマールのパリ・サンジェルマン移籍時に発生した2億2200万ユーロ(約270億円)に次ぐ、クラブ歴代2位の記録だった。アルトゥール個人の移籍金収支は4000万ユーロ以上の黒字になる。ただ今後バルサの中盤を担っていくはずだったタレントを放出したことはチームに少なからぬ影響をもたらすかもしれない。
FWマルコム(ブラジル)
獲得:ボルドー→バルセロナ(2018年夏/4100万ユーロ=約50億円)
放出:バルセロナ→ゼニト(2019年夏/4000万ユーロ=約48億円)
移籍金収支:-100万ユーロ=約1億2000万円
マルコムも1年でバルセロナを離れた選手の一人。2018年夏、ローマから強奪する形でバルセロナが契約を結ぶも、エルネスト・バルベルデ監督(当時)が求めていた選手ではなかったことがのちに判明。公式戦24試合出場4ゴールという記録を残し、ゼニトに売却された。
FWパコ・アルカセル(スペイン)
獲得:バレンシア→バルセロナ(2016年夏/3000万ユーロ=約36億円)
放出:バルセロナ→ドルトムント(2019年夏/2100万ユーロ=約25億円)
移籍金収支:-900万ユーロ=約11億円
リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールのバックアッパーとしてバレンシアから加入。ただ“MSN”の壁は高く、バルセロナでプレーした2年間でのリーグ戦先発はわずか14試合にとどまった。結局、レンタル先のドルトムントで得点を量産し、買い取りオプションが行使されて退団が決まった。
FWアルダ・トゥラン(トルコ)
獲得:アトレティコ・マドリード→バルセロナ(2014年夏/3400万ユーロ=約41億円)
放出:バルセロナ→?(2020年夏/フリー)
移籍金収支:-3400万ユーロ=約41億円
バルトメウ政権下で最も不可解な補強となったのが、アルダ・トゥランの獲得かもしれない。加入から半年は補強禁止処分によって試合に出られず、その後もバルサ・スタイルに馴染めないままだった。またレンタル移籍で母国へ復帰したあとは数々の問題行動を起こして、“お騒がせ男”に。今冬にバルサ復帰を果たすも、登録外のまま契約満了となった。
(記事/Footmedia)
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By Footmedia