24日にバルセロナとレアル・マドリードが対戦する [写真]=Getty Images
9月12日に開幕したリーガ・エスパニョーラ(ラ・リーガ)は、いよいよ今季初の“エル・クラシコ”を迎える。バルセロナが本拠地カンプ・ノウにレアル・マドリードを迎える一戦は、日本時間10月24日(土)の23時キックオフ。真夜中でもなく、日本のファンにとっては視聴しやすい時間帯だろう。
今回のクラシコは、新型コロナウイルスの影響で無観客試合となることが決まった。それでも世界中で6億人以上が視聴する一大スポーツイベントであり、これまでに数々のドラマが生み出されてきた。ピッチに立つのは各国代表のスター選手ばかりで、至るところで極上のマッチアップが繰り広げられる。互いの威信をかけた戦いは、世界最高峰と言っても過言ではない。
最大の見どころはやはり、両キャプテンの激突になるだろう。バルセロナのFWリオネル・メッシはクラシコの歴代最多得点(26得点)、レアル・マドリードのDFセルヒオ・ラモスは歴代最多出場(44試合)の記録を持つ。100年以上の歴史を誇るダービーマッチで、“生ける伝説”となった2人の攻防をリアルタイムで見られる――そんなチャンスは滅多にあるものではない。クラブの、そしてクラシコの顔である両雄のバトルは、まさに至高の戦いと言える。
ただし、クラシコの“ボス”たちを差し置いて主役の座を奪おうとしている選手がいる。バルセロナのFWアンス・ファティだ。「メッシ後のバルサを担う」と言われる17歳は目下絶好調。リーグ戦では両チーム最多の3ゴールを奪い、9月にはスペイン代表デビューを果たした。大一番を前にして、新スター誕生の予感が漂っている。
ファティをどう封じるかはレアル・マドリードにとって最大のポイントとなるが、大役を任されそうなのが30歳のDFナチョ・フェルナンデスだ。普段はバックアッパーという位置づけながら、右サイドバックのレギュラーを務めるダニエル・カルバハルの負傷離脱を受けてスタメン候補に浮上。飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続ける神童とのマッチアップは少々荷が重いとはいえ、11歳からレアル・マドリード一筋でプレーしてきた男である。クラシコの重みを熟知するナチョの意地とプライドが、ゲームにさらなる熱気をもたらすはずだ。
レアル・マドリードの“攻”対バルセロナの“守”という点では、FWカリム・ベンゼマとDFジェラール・ピケのマッチアップもまた見逃せない。クリスティアーノ・ロナウド退団後からエースの重責を担うベンゼマは、昨季リーグ戦のチーム得点王(21得点)にしてアシスト王(8アシスト)。フィニッシャーとチャンスメーカーの二役を担う彼は、レアル・マドリードの攻撃戦術そのものである。そんなフランス人ストライカーを迎え撃つピケもバルセロナの守備の柱として君臨し続けており、10年以上繰り広げられてきた2人のバトルは今回も名勝負必至だ。
またゴール前の攻防だけでなく、中盤での駆け引きも勝負の分かれ目となる。最注目は同胞対決だ。バルセロナのMFフィリペ・コウチーニョとレアル・マドリードのMFカゼミーロは、ブラジル代表のチームメイトで同い年(28歳)。今月行われたW杯予選で同時出場を果たした2人が、クラシコでは敵同士として相まみえる。コウチーニョはトップ下、カゼミーロはチームの“へそ”に当たるアンカーのポジションを務めるため、「1on1」のような状況が多く生まれるのも大きな特徴だ。華麗なテクニックとハードな潰し。好対照な武器を持つセレソン対決は見ごたえ十分だろう。
一方、戦術上のキーマンとなるのは、23歳のMFフレンキー・デ・ヨングと22歳のMFフェデリコ・バルベルデである。バルセロナは今夏、クラブOBでオランダ代表を率いていたロナルド・クーマンを新監督に招へい。その指揮官が「チーム作りの中心に据える」と指名したのが、代表監督時代の教え子であるデ・ヨングだった。長短織り交ぜたパスはもちろんのこと、自陣から持ち上がるドリブルも変幻自在で、クラシコでも試合のリズムを作る重要な役割を担う。対するバルベルデは、レアル・マドリードの活力そのものと言っていい。走力自慢の彼がいるのといないのとではチームの躍動感が全く違う。ジネディーヌ・ジダン監督が掲げる全員攻撃・全員守備を体現する選手だ。
1年前にカンプ・ノウで行われたクラシコでは、バルベルデがデ・ヨングへのパスコースをことごとく封鎖し、バルセロナを機能不全に追い込んだ。ジダン監督が仕掛けた策が奏功し、結果はスコアレスドロー。バルセロナはホームで勝ち損ね、レアル・マドリードは敵地で貴重な勝ち点1を手に入れた。ジダン監督は同様のゲームプランで臨むのか、それとも指揮官として初のクラシコを迎えるクーマン監督がサプライズを提供するのか。交代枠が5人に拡大してから行われる初めてのクラシコということもあり、監督同士の采配にも大きな注目が集まる。
各国の代表戦を終えて迎えた前節は、両チームがそろって敗戦。今季リーグ戦初黒星を喫したが、休む間もなくチャンピオンズリーグの試合を戦い、バルセロナは中3日、レアル・マドリードは中2日でクラシコに臨む。選手たちのコンディションは万全ではないかもしれないが、“絶対に負けられない戦い”だからこそ、死力を尽くした激闘となる可能性もある。
そもそも過去244回にわたって行われてきたクラシコは、バルセロナが96勝、レアル・マドリードが96勝、引き分け52とまったくの互角。リーグ戦に限っても、バルセロナが72勝、レアル・マドリードが73勝、引き分け35と、その差はわずか1勝しかない。タイトルが懸かった一戦ではないものの、永遠のライバル同士にしか醸し出せない独特の熱気や妖気は画面越しにも十分に伝わってくるはずだ。
世界中の視線が一点に注がれる10月24日(土)。勝利の凱歌を上げるのは、バルセロナか、レアル・マドリードか。数多くのサッカーファンを虜にしてきたクラシコを見逃す手はない。
(記事/Footmedia)
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By Footmedia