バルサ加入のギュンドアン「まだ証明すべきことがある」…シャビ監督や“恩師”との秘話も明かす

　今夏の移籍市場でマンチェスター・Cからバルセロナに完全移籍加入したドイツ代表MFイルカイ・ギュンドアンが、新天地での入団会見に臨んだ。クラブ公式HPやスペインメディア『ムンド・デポルティーボ』がその様子を伝えている。

　現在32歳のギュンドアンはこれまでドルトムントやマンチェスター・Cなどで活躍。ドルトムント在籍時の2011－12シーズンにはブンデスリーガとDFBポカールの2冠を達成しており、2016年夏に加入したマンチェスター・Cでは在籍7シーズンで計14ものタイトル獲得を経験した。2022－23シーズンはプレミアリーグ、FAカップ、チャンピオンズリーグ（CL）の“トレブル”達成に大きく貢献。同シーズン限りで契約が満了を迎え、フリートランスファーでバルセロナに加わっていた。

　バルセロナのトレーニング施設「シウタ・エスポルティバ・ジョアン・ガンペール」に姿を見せたギュンドアンは「第一印象は非常にポジティブなものだった。このクラブの一員になれてワクワクしているし、実現させてくれた人々に改めて感謝したい」と言葉を発した。「子どもの頃、平日だろうと休日だろうとバルサの全試合を見ていたことを思い出すね」と振り返ると「（フランク・）ライカールトの時代から、もちろんペップが率いていた時もね」と続け、バルセロナの“レジェンド”でありマンチェスター・C時代の“恩師”でもあるジョセップ・グアルディオラ監督の名前にも触れた。

「僕が見ていた当時のバルサの選手たちは今はレジェンドになっているが、僕にとってはアイドルだったんだ。だからこそ、この素晴らしいクラブの一員として皆さんの前に立てることを何よりも誇りに思っている」

「新しいチーム、新しい国、新しい街。年齢を重ねても、僕にはまだ証明すべきことがたくさんある。この数年で、私は多くの経験を積むことができたし、この若いチームに経験を組み合わせれば、素晴らしいことができるだろう」

「このクラブのユニフォームに袖を通すことは夢だったし、今は誇らしい気持ちでいっぱいだ。実は過去にもあと1歩のところまで行ったことがあったんだけど、その時はタイミングが悪かった。幸運なことに、今日がその瞬間となったんだ」

　また、ギュンドアンは当時憧れていた選手の名前を挙げつつ「僕のプレースタイルとは全く異なるけれども、ロナウジーニョのことは今でも鮮明に覚えている。シャビ、（アンドレス・）イニエスタ、セルヒオ（・ブスケツ）にも憧れているが、サッカーを理解している人なら誰もが彼らのことを目で追っているはずだ」とコメント。「特にブスケツは僕とタイプの似ている選手だと思っている。たとえ自分が目立たなかったとしても、チームが勝つためにプレーできる選手だ」と話した。

　ギュンドアンにとって、バルサ加入の決め手となったのはクラブを率いるシャビ・エルナンデス監督の存在だったようだ。「彼と話した時、これが正しい道だと確信することができた」と加入前の出来事を振り返ったギュンドアンは「彼は僕のことを万能型の選手として評価してくれている。まだ具体的なポジションや役割の話まではできていないんだけど、どのポジションであろうと、誰とでもうまくプレーできるはずだ」と自信を示した。

　ギュンドアンの加入に一役買ったのはシャビ監督だけではない。かつてドルトムントで共闘したポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキとは「オフに入る前に話をする機会があった」という。ドイツ代表のチームメイトであるGKマルク・アンドレ・テア・シュテーゲンとのやり取りにも言及しつつ、惹かれるものがあったと明かしている。

「このクラブについて、地中海に面している街での暮らしについて、そして彼がバルサをどれほど愛しているかについてだ。彼の言葉からは力強さを感じたね。テア・シュテーゲンからも手紙をもらったんだ。もちろん、最終的な決断は自分自身で下したものだけど、加入を後押ししてくれたことは事実だ」

　マンチェスター・C時代の“恩師”であるグアルディオラ監督には、オフに入ってしまっていたため電話越しで決断を伝えたという。「たとえ電話越しだったとしても、彼に1番最初に知らせることが重要だった」と自身の心境を明かしたギュンドアンは「彼には感謝の気持ちを伝えた。そして、ある意味では彼自身も幸せだったはずだ。このクラブ、街について何か聞きたいことがあれば、再び彼にアドバイスを求めることになるね」と話した。

　2022－23シーズンのバルセロナはラ・リーガで4シーズンぶり通算27度目のラ・リーガ制覇を成し遂げたものの、CLでは2シーズン連続でグループステージ敗退。新シーズンはラ・リーガ連覇だけでなく“欧州王者”も目指して戦っていくこととなる。ギュンドアンは「CLは競争力のある、難しい大会だ。実際、僕の所属していたマンチェスター・Cは何年もの間“優勝候補”止まりだったからね。小さな違いであっても勝負を分ける。昨季CLで優勝した経験を活かして、このクラブでもCLを勝ち獲れると思っている」と話すと、次のように意気込みも語った。

「僕はバルサが欧州の舞台でカムバックを果たすため、その一翼を担うためのエネルギーを持ってここに来た。シャビのおかげで、このクラブには非常にポジティブな基盤が築かれている。バランスの取れたプレーで、ヨーロッパで勝利を掴み取るための基盤だよ」