9月に代表デビューを果たした4選手 [写真]=Getty Images
今月の代表戦では、日本代表がヨーロッパの強豪を相手に親善試合で見事な結果を残し、新たな戦力もしっかりとアピールに成功した。
9日のドイツ戦に4-1で快勝したあと、12日のトルコ戦ではDF町田浩樹(ユニオン・サン・ジロワーズ/ベルギー)とDF毎熊晟矢(セレッソ大阪)がA代表デビューを果たして4-2の勝利に貢献した。日本代表は好結果を残しながら選手層の強化にも成功。充実した代表ウィークを過ごすことができた。
当然、ほかの国でも新たなに代表デビューを飾った選手たちがいる。それでは9月の代表戦でA代表デビューを果たした4選手の“ファーストダンス”を見ていこう。
[写真]=Getty Images
■スペイン最年少
まずは、何といってもスペインの16歳だろう。バルセロナに所属するFWラミン・ヤマルが、今月8日に行われたEURO予選のジョージア戦でA代表デビューを果たしたのだ。負傷したダニ・オルモに代わって前半44分に投入されたラミン・ヤマルは、74分にニコ・ウィリアムズの折り返しを得意の左足で叩き込んで代表初ゴール。「16歳57日」での代表デビューと代表初ゴールは、どちらもスペイン代表の最年少記録となった。
ラミン・ヤマルは、バルセロナの同僚であるMFガビが保持していた最年少デビュー(17歳62日)と最年少ゴール(17歳304日)の記録を塗り替える共に、元ウェールズ代表FWギャレス・ベイルが持っていたEURO予選の最年少ゴール記録(17歳83日)まで塗り替えて見せた。ただし、EURO予選の最年少出場記録には一歩及ばなかった。同記録を持つのは現在アーセナルで活躍するノルウェー代表MFマルティン・ウーデゴールで、2016年に「15歳300日」で出場していた。
それでもラミン・ヤマルは、まだまだ記録を更新していくだろう。来夏のEURO本大会に出場すれば、ポーランド代表MFカツペル・コズウォフスキがEURO 2020で打ち立てた「17歳246日」という本選での最年少出場記録を更新するだろう。さらに元スイス代表FWヨハン・フォンランテンが持つ「18歳141日」というEURO本大会での最年少ゴール記録も塗り替える可能性がある。
また、スペインではビジャレアルのMFアレックス・バエナ(22歳)も代表デビューを果たした。今年7月にU-21欧州選手権でスペインの準優勝に貢献していたバエナは、今月12日に行われたEURO予選のキプロス戦で76分に投入されて代表デビューを飾ると、ピッチに立ってからわずか「71秒」でネットを揺らして見せた。
これはスペイン代表における最短ゴール記録…かと思いきや、上には上がいた。国際サッカー歴史統計連盟(IFFHS)によると、2019年に当時ビジャレアルに所属していたDFパウ・トーレス(現在:アストン・ヴィラ)が代表デビューからわずか「59秒」でゴールを奪ったそうだ。さらに、1998年には元レアル・マドリードのFWフェルナンド・モリエンテスがスウェーデン戦で代表デビューを果たすと、ピッチに立ってわずか「53秒」でネットを揺らしており、それがスペイン代表の“最短ゴール記録”だという。
■ニースからレ・ブルーへ
FIFAランク2位のフランスでも新たに代表選手が誕生した。ニースに所属するDFジャン・クレール・トディボ(23歳)が、12日に行われたドイツとの親善試合でフル出場して代表デビューを果たしたのだ。今年3月の代表戦で初招集されながらも出番がなかったセンターバックは、1-2で敗れたとはいえドイツ戦で記念すべき初キャップを獲得した。
ニースの選手がフランス代表デビューを果たすのは史上32人目。過去にはFWロイク・レミ、そして今年3月にはフランスの英雄リリアン・テュラムの息子で、FWマルクス・テュラム(インテル)の弟であるMFケフラン・テュラム(22歳)もニースの選手として代表デビューを飾っている。
トディボはというと、トゥールーズの下部組織で育って台頭すると2019年にバルセロナに引き抜かれた。だが、カタルーニャではほとんど出番を貰えずにローン移籍を繰り返し、2021年からニースに所属している。今回のドイツ戦では現在アーセナルで活躍するDFウィリアン・サリバとコンビを組んだが、実は二人は元チームメイト。2021年にサリバがアーセナルから武者修行のためニースにローン移籍した際に一緒にプレーしていた。
■ドイツでは“知らない32歳”
ハンジ・フリック体制における最後のデビュー選手は「知らない32歳」だった。日本代表MF三笘薫のブライトンの同僚であるMFパスカル・グロス(32歳)は、ドイツでは無名選手だ。カールスルーエで活躍した元プロ選手のシュテファン・グロスを父に持つミッドフィルダーは、ホッフェンハイムでプロキャリアをスタートさせると、インゴルシュタットで定位置を確保してブンデスリーガで65試合に出場した。だが、チームが2部降格の憂き目にあったこともあり、2017年にプレミアリーグに昇格したばかりのブライトンに移籍し、それからはイングランド南岸のクラブで試合に出続けてきた。
そしてチームがヨーロッパリーグ出場権を確保する躍進を遂げたことで彼にも注目が集まり、今月初めてドイツ代表に召集されて9日に行われた日本代表との親善試合で代表デビューを果たしたのだ。最近のドイツは一部のポジションでタレント不足に喘いでおり、昨年11月にはFWニクラス・フュルクルクが「29歳280日」で代表デビューを果たして話題になっていたが、グロスとフュルクルクでは状況が違う。
フュルクルクは昨季ブンデスリーガで得点を量産しており、最終的には得点王に輝いて今オフにはドルトムントに引き抜かれた選手だ。一方のグロスは、年代別代表の経験こそあれ、ドイツでもイングランドでもいわゆるスモールクラブに所属してきた地味なプレーヤー。それがブライトンの大躍進によってドイツ代表の目に留まったのである。
結局、グロスが代表デビューを飾った日本戦でドイツ代表は1-4の大敗を喫して、恩人のハンジ・フリック代表監督が解任されることに。急遽、ルディ・フェラーを暫定監督に据えて12日のフランス戦に臨み、何とか2-1で勝利して6試合ぶりの白星を飾った。そのフランス戦でグロスは負傷した主将イルカイ・ギュンドアンに代わって前半25分からピッチに立つと、最初は緊張も見られたが後半は中盤でゲームをコントロールして勝利に貢献した。
試合後には「グロスは非常に良かった。すぐにイエローカードを貰ってしまったが、それでも戦う意思を保って非常にうまくデュエルをこなした」と、ドイツのTV番組に出演した元ドイツ代表のバスティアン・シュヴァインシュタイガー氏から賛辞を浴びた。グロスを知る元インゴルシュタットのスポーツダイレクターのハラルド・ゲルトナー氏に至っては「試合後半、パスカルは完全にドイツ代表の一員だった。彼がチームに安定性をもたらした。まさに今のドイツ代表に必要な選手だ」と大絶賛。
ルディ・フェラー暫定監督も「グロスを招聘したのはハンジ・フリックだ」として前任者の手柄を称えつつ、「ドイツ国民の多くはグロスのことを知らなかったと思うが、彼は素晴らしいプレーをしてくれた」と、32歳の“無名プレーヤー”を絶賛した。
ちなみにグロスの「32歳87日」でのデビューはドイツ代表において歴代10位となる高齢デビュー! 2013年に「33歳105日」で代表デビューしたGKローマン・ヴァイデンフェラー以降では最年長だという。ドイツ代表の最年長デビュー記録を持つのは、オーストリアがドイツ統治下だった1941年の戦時中に「35歳89日」にしてドイツ代表デビューを果たした元オーストリア代表DFカール・セスタだという。
果たして、今後はどんな選手が代表デビューを飾るのか? 今から次の代表ウィークが楽しみだ。
(記事/Footmedia)
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By Footmedia