バルサで選手登録が抹消されたダニ・オルモ [写真]=Icon Sport via Getty Images
スペインサッカー連盟(RFEF)とラ・リーガは4日、バルセロナに所属するスペイン代表MFダニ・オルモとスペイン人FWパウ・ビクトルの再登録を認めない方針を示した。
今夏、バルセロナはラ・リーガのサラリーキャップ超過規定によって、選手の新規登録を行えない状況が続いていた。そのため、今夏に加入したダニ・オルモとパウ・ビクトルは、選手登録ができないまま開幕直後の2試合を欠場したものの、デンマーク代表DFアンドレアス・クリステンセンの長期離脱により、同選手の給与枠の一部を使うという特例措置によって、暫定登録が可能となっていた。以降、ダニ・オルモは公式戦通算15試合に出場して6ゴール1アシストをマークしており、パウ・ビクトルは途中出場が多いものの、ここまで公式戦17試合出場2ゴールを記録している。
だが、両選手は特例措置によって暫定的に選手登録がなされていた状況のため、バルセロナが12月31日までにサラリーキャップ超過の問題を解消できなければ、再び登録から外されることが決まっていた。この問題を受けて、バルセロナは経済活動を専門とする第10商事裁判所へ、ダニ・オルモとパウ・ビクトルの暫定登録を求める訴えを求めたものの、これは先月27日付で棄却されたと伝えられた。民事を専門とする第一審裁判所への訴えも同様の結末に終始。控訴も棄却されたことが報じられていた。
その傍らで、バルセロナは新たに完成する『カンプ・ノウ』のVIPエリアの運営権をカタールの投資ファンドに売却することで、新たに1億ユーロ(約163億円)の収入を得られる目処が立ったと、現地メディアの『ムンド・デポルティーボ』は報じていた。これにより、サラリーキャップの枠を増加させ、両選手の登録が完了するかと思われたが、ラ・リーガ側は支払い証明の欠如を理由として選手登録を認めていない。選手ライセンスを発行するRFEFも、ラ・リーガの承認なしにライセンス発行はできないとして、バルセロナの要求には応じない姿勢を見せていた。
そして今回、ラ・リーガとRFEFは連名で、「バルセロナが提出した、ダニ・オルモとパウ・ビクトルの連盟ライセンスの事前承認と手続きに関する要請について」と題した声明を発表。同声明のなかで、バルセロナがラ・リーガの経済管理要件を遵守し、関連書類を完成させたことを受けて、ラ・リーガは3日よりクラブ人件費の上限を増額させることを認めたと発表。つまり、『カンプ・ノウ』のVIPエリアの運営権売却による収入が確認されたことが明かされた。
これにより、バルセロナは“1:1ルール”での選手獲得が可能になった模様だ。これまで、バルセロナはサラリーキャップ超過のペナルティにより、選手売却等で生じた新た収益のうち、市場に投資できる金額は同選手の年俸の50%(※人件費全体の5%以上を占める選手の売却の場合は60%)、移籍金収入が発生した場合は総額の35%のみに限られていた。これが100%に戻るのが“1:1ルール”の指すところで、いわば通常の予算規模で選手獲得等に動くことができるようになる。
ただし、『カンプ・ノウ』のVIPエリアの運営権売却による収入は確認されたものの、ダニ・オルモとパウ・ビクトルの再登録は認められなかった。この理由については、声明のなかで「RFEF一般規則第130.2条と第141.5条の言葉に則って解釈すると、シーズン中にライセンスが取り消された選手は、当時所属していたクラブの同じチームにおいて、同じシーズン中にライセンスを取得することができないため」と記されている。ダニ・オルモとパウ・ビクトルの選手登録は12月31日をもって解消されたため、再登録は不可能。現状では、少なくとも今シーズンは、両選手が再びバルセロナの選手として登録されることはないことが決まった。
なお、『ムンド・デポルティーボ』や『スポルト』等の現地情報によると、バルセロナは上記の『カンプ・ノウ』のVIPエリア運営権の“売却”こそ12月31日時点で済ませていたものの、カタールの投資ファンドからの“支払い”が2025年にずれ込んだため、クラブ側の不備はなかったと主張しているという。同時に、ラ・リーガとRFEFの共同声明内にある「第141.5条」は、本来サラリーキャップ超過によって登録が不可能となった選手を対象として設けられたわけではないために、今回のケースの場合は適応外になるとの認識のようだ。
今後、バルセロナはスポーツ高等評議会(CSD)に訴えを起こし、ダニ・オルモとパウ・ビクトルの暫定的な選手登録を要求する見込みだという。登録が認められるか否かは、バルセロナ側の主張をCSDがどのように解釈するかというところによるが、現時点で登録実現の可能性は低いと見られる。
ダニ・オルモの契約には解除条項が付随しているため、2030年6月まで契約を残しているものの、今冬の移籍市場でのフリー移籍が可能となる。一方で、今夏にジローナから正式加入を果たしたパウ・ビクトルについては2029年6月30日までの契約を残しているが、契約解除条項が付随していないため、フリーでの移籍は不可能。また、現在の状況ではレンタル移籍もできない見込みのようだ。
新年に入り、RFEFとラ・リーガはダニ・オルモとパウ・ビクトルの登録を認めない方針を示した。バルセロナは“諦めない姿勢”で訴えを続ける見込みではあるが、両選手が今後ブラウグラナのユニフォームを身に纏ってピッチに立つ機会はあるのだろうか。
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By サッカーキング編集部
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