“トレパンGK”として知られるハンガリーの守護神キラーイ [写真]=Getty Images
古くからブンデスリーガやプレミアリーグのファンだった人にとっては懐かしく、初めて見た人にとってはもの珍しい出で立ちだったはずだ。
ハンガリー代表にとって44年ぶりのユーロ本大会出場がかかったノルウェーとのユーロ予選プレーオフでも、守護神ガボール・キラーイはお馴染みの“トレパン”姿でゴールマウスに立っていた。
1976年生まれの39歳。1998年にデビューしたハンガリー代表でのキャップ数は同国歴代最多タイの「101」を数え、ドイツではヘルタ・ベルリンや1860ミュンヘン、イングランドではクリスタル・パレスやバーンリーなどを渡り歩いてきたベテランGKにとって、グレーのトレパンは知る人ぞ知るトレードマークなのである。
なぜ、彼は休日の部屋着のようなダボダボのスウェットパンツを戦闘服に選ぶのか? その理由を、キラーイは母国ハンガリーのメディアにこう話す。
「自分はGKであってトップモデルじゃないからね! 基本的に快適さの問題さ。昔は土のグラウンドや、冬の凍った芝生の上でプレーしなければいけなかった。地面に落ちた際に足が傷つかないようにするためにジョギングパンツをはいていた。動きやすいように、いつもワンサイズ上のものを使っているんだ。ドイツやイングランドにいた時はショーツも試したんだけど、しっくりこなかった。結局、見た目よりも結果の方が重要なんだ」
また、過去に『FIFA.com』で語ったインタビューでは、意外と長いトレパン歴や、それを続ける理由についても明かされている。そのルーツは、生まれ故郷ソンバトヘイにあるハラダーシュというクラブで彼がプロデビューした当時にさかのぼる。
「ソンバトヘイでプレーしていた1996年からだ。ある時、黒のパンツを洗濯しちゃっていたから初めてグレーをはいたんだ。そこからチームは8試合か9試合無敗を続けて、降格の危機から救われた。その時から幸運のお守りなのさ」
そんなポリシーが、ノルウェーとのプレーオフ2試合でもハンガリーに幸運をもたらした。39歳にして、キラーイは初の主要国際大会出場という夢を叶えるフランス行きの切符を手にしたのである。
来年4月には40歳の誕生日を迎えるが、その2カ月後に開幕するユーロ2016でピッチに立つことができれば、元ドイツ代表のローター・マテウスが持つユーロ最年長出場記録(39歳91日)を更新することにもなる。
ユーロ史上初の40代プレーヤーとして歴史にその名を刻む瞬間も、彼はもちろん“幸運のトレパン”でゴールマウスに立つはずだ。
(記事/Footmedia)
By Footmedia