PK戦の末にイタリアを破り、GKノイアー(左から3人目)を中心に喜ぶドイツ代表メンバー [写真]=Anadolu Agency/Getty Images
2日に行われたユーロ2016準々決勝で、ドイツ代表がイタリア代表をPK戦の末に退け、3大会連続の4強入りを果たした。
ドイツは65分にMFメスト・エジルのゴールで先制するが、78分にDFジェローム・ボアテングのハンドからイタリアにPKを献上し同点とされ、試合は1-1のままPK戦に突入。すると、ともに3選手が失敗するという予想外の譲り合いの展開となり、最後は両チーム合わせて18人目となるDFヨナス・ヘクターが決めて、勝負に決着をつけた。
1962年チリ・ワールドカップでの初顔合わせ以来、主要大会では8試合連続でイタリアの前に屈していたドイツ。ようやく天敵克服となった一戦を終え、ドイツのメディアは出場選手の試合後採点と寸評を掲載した。
『ドイツ通信社(DPA)』は、PK戦で2本を止めて“マン・オブ・ザ・マッチ”に選ばれたGKマヌエル・ノイアーと、最後のPKを決めて熱闘の幕を引いたヘクターに最高点となる「1」をつけた。(ドイツメディアの採点は最高「1」点、最低「6」点)
事実上の決勝戦とも言われた一戦を制し、軒並み高得点が並ぶ中、DFマッツ・フンメルスとFWマリオ・ゴメスの両選手は『DPA』の他、大衆紙『ビルト』、高級紙『ディ・ヴェルト』からも「2」点の高い評価を受けた。
各選手の採点と寸評は以下の通り。
■マヌエル・ノイアー
採点:『ビルト』=3/『ディ・ヴェルト』=2/『DPA』=1
▼寸評
「長い間ドイツ代表の記録だったゼップ・マイヤーの連続無失点時間(481分)を更新。いつものように後ろをガッチリと守り、リベロとしても輝くプレーもあった。代表としては初めてとなるPK阻止が2本あった」(ディ・ヴェルト)
「キャプテンとして出場も、シュヴァインシュタイガーが途中出場すると、快くキャプテンマークを渡していた。ボヌッチが上手く決めたPKはノーチャンスだった」(DPA)
■ジョシュア・キミッヒ
採点:3/4/2
▼寸評
「右サイドで勤勉に動いたが、ミスもあった。競り合いの勝率は改善の余地あり。役に立たないクロスが多かった」(ビルト)
「いつもの右サイドハーフに比べ、より攻撃的なポジションを任されたが、守備では不安定なところがあった」(DPA)
■ジェローム・ボアテング
採点:3/2/2のち3
▼寸評
「やはり守備におけるボスだった。イタリアのストライカーも彼を前に玉砕した。ワールドクラス! し・か・し、キエッリーニとのマッチアップで犯したハンドでPKを献上し、同点に追いつかれた」(ビルト)
「守備陣の優秀なボスとして3バックを見事に統率。しかし、不運なかたちでハンドを犯し、PKを与えてしまった」(ディ・ヴェルト)
■マッツ・フンメルス
採点:2/2/2
▼寸評
「注意深く、相手より一歩先に出ることが多かった。ビルトアップでも力を発揮」(ビルト)
「ペッレ相手に研ぎすまされた守備を見せた。高いボールキープ力とアイデアで、イタリアのストライカーに先手を打っていた。中盤まで上がってスペースを埋める動きも多く、圧倒的なプレーをしていた」(DPA)
■ベネディクト・ヘーヴェデス
採点:2/3/2
▼寸評
「キミッヒにポジションを奪われていたが、3バックでの守備を上手くこなしていた」(ディ・ヴェルト)
「スタメンで唯一入れ替わった選手だが、へーヴェデスの出場した公式戦19試合でドイツ代表は負け知らず(17勝2分け)。3バックの右サイドでペナルティエリア内に攻め込もうとするボールをせっせと奪い、空中戦もほぼ制した。レーブの判断は正しかった」(DPA)
■ヨナス・ヘクター
採点:3/3/1
▼寸評
「攻撃には全くといっていいほど絡むことがなかったが、決定的な場面で仕事をした。折り返したクロスは相手DFに当たったものの、先制点のアシストにつながった」(ビルト)
「ターボ・ヘクター! PK男ヨナスはケルンの英雄だ! 左サイドを勇敢そして思い切りよく動き、エジルの先制点をお膳立て。守備では右サイドのキミッヒを上回っていた。震えながらも、最後のPKを決めた」(DPA)
■サミ・ケディラ※16分まで出場
採点:3/対象外/対象外
▼寸評
「交代で下がるまでの動きは、これまでに比べるとよりアクティブになっていた」(ビルト)
「ゲームを落ち着ける役目として常に機能しており、(離脱は)ドイツにとって大きな損失だ」(DPA)
■トニ・クロース
採点:3/3/3
▼寸評
「いつもに比べるとボールに触る回数も少なかった。試合に入り込もべく苦戦していた。43分、ペナルティエリアのすぐ手前でとんでもないボールロスがあった」(ビルト)
「ケディラの負傷後、より守備的なプレーが求められたことでシュートなしに終わった。ボールを奪って散らす重要な役目をこなした。PKでは冷静さを失わず」(DPA)
■トーマス・ミュラー
採点:3/3/4
▼寸評
「(初ゴールが遠く)ユーロとは相性が悪いままだ。懸命に動き回ったが、目に見えるような結果を手にできず」(ビルト)
「イタリア戦でも、これまでの試合と変わらず必死にプレー。まだ初ゴールが出ていないが、敵に手を休ませず、慌てさせる動きができる彼は、ゴールを決めなくとも重要なプレーヤーだ」(ディ・ヴェルト)
■メスト・エジル
採点:2/2/4
▼寸評
「味方にとってつねにパスを出せる動きをしていた。PKを外したものの、彼にとってユーロでベストゲームだった」(ディ・ヴェルト)
「レーヴ監督の戦術変更でトップ下から左サイドハーフへとポジションチェンジした。しかし、どうやらその位置はやりにくかったようだ。前半はほぼ試合に絡まなかったが、後半に入って調子を上げた。そしてスペースを見つけて的確な走路を取ると、ヘクターのパスに飛び込み、代表通算20ゴール目を挙げた」(DPA)
■マリオ・ゴメス※72分までプレー
採点:2/2/2
▼寸評
「力強いパフォーマンスだった。ゴールこそなかったが、パスを出せる動きでシュートを狙うと、DFに囲まれながら夢のようなパスを出して先制点をお膳立てした」(ディ・ヴェルト)
「ボールキープ力も高く、闘争心抜群だった。まさしくセンターフォワードとしてブッフォンの前に現れた」(DPA)
■バスティアン・シュヴァインシュタイガー※16分から出場
採点:3/4/4
▼寸評
「ユーロとワールドカップ合わせて37試合目の出場は、世界記録! 以前のフォームは取り戻していないものの、中盤をまとめていた」(ビルト)
「ケディラほどは上手く試合を落ち着ける動きはできなかった。試合のスピードを落としてしまうことも多かった。そしてPKも外した」(ディ・ヴェルト)
■ユリアン・ドラクスラー※72分から出場
採点:3/対象外/3
▼寸評
「攻撃に力を与えようとしたが、スロバキア戦ほどの力強さはなかった。しかしPKは成功させた」(ディ・ヴェルト)
By サッカーキング編集部
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