EURO2020のGSでインパクトを残した4選手 [写真]=Getty Images
EURO2020はグループステージ最終節の全日程を終え、決勝トーナメントに進出する16カ国が決定した。
こうしたビッグトーナメントでは勝者ばかりが称えられるが、その裏には“美しき敗者”とも呼ぶべきチームや選手たちが存在する。そこで今回は、ファンの脳裏に鮮烈なインパクトを残し大会を去る4人の選手たちをおさらいする。
▼ゴラン・パンデフ(北マケドニア/FW)
国際主要大会に初めて出場した北マケドニア代表は、グループステージ最下位での敗退が決まった。だが37歳のパンデフは、記録にも記憶にも残る選手として、この大会を去る。
北マケドニアの最多出場記録と最多得点記録を持つレジェンドは、オーストリア代表との初戦で早速ゴールネットを揺らした。37歳321日での得点は、EURO歴代2番目の年長記録。2001年の代表デビュー以来、ビッグトーナメントに縁のなかった男が、EURO史にその名を刻んだ。
代表引退を宣言して臨んだ21日のオランダ戦では、途中交代の際にチームメイトが花道を作って、大先輩を拍手で送り出した。その光景は、世界中のサッカーファンの心を揺さぶったことだろう。「このことを今後の人生においても忘れるつもりはない」。代表ラストマッチを終え、本人はそうつぶやいた。
▼ビリー・ギルモア(スコットランド/MF)
今月11日に20歳になったばかりの俊英は、第2節のイングランド代表戦にスタメン出場。“英国対決”という大一番でA代表初先発を果たすと、攻守に躍動して、最も印象的な活躍をした選手に与えられる「スター・オブ・ザ・マッチ」を受賞した。
大手メディア『ESPN』によると、チェルシーに所属するギルモアは、FAカップ、プレミアリーグ、チャンピオンズリーグでも、初先発の試合で「マン・オブ・ザ・マッチ」に選出されている。その物怖じしないキャラクターが大舞台でも発揮された。試合後に新型コロナウイルスの陽性反応が出て、チームもグループステージでの敗退が決まったが、スコットランド代表の希望の光となったのは間違いない。
▼ロランド・サライ(ハンガリー/FW)
今回のグループステージで“敢闘賞”に値するチームがあるとすれば、ハンガリーだろう。ポルトガルとの初戦に敗れたものの、新旧世界王者のフランスとドイツに対して勝ち点1を挙げるなど、大健闘を見せた。“死の組”と言われたグループFが大混戦に陥ったのも、彼らの奮闘があったからだ。
フランス戦で先制点を挙げたアッティラ・フィオラや、同試合で「スター・オブ・ザ・マッチ」に輝いたラースロー・クレインヘイスレルの活躍も特筆すべきだが、サライもまた今大会で評価を上げた選手だろう。ドイツのフライブルクに所属するアタッカーは、自慢の加速力でチャンスを演出し、ドイツ戦ではアダム・サライの得点をアシストした。彼の父、そして叔父も元プロサッカー選手というサラブレッドは、ケガでメンバー落ちを余儀なくされたドミニク・ショボスライの穴を埋めたとは言えないにせよ、目を引く活躍を見せた。
「僕らはとても良いプレーをしてきたし、文句は言えない。自分たちのプレーに誇りを持っている。僕らは本当に良い方向に進んでいると思う」。手ごたえを掴んだ24歳は胸を張って、この大会を後にする。
▼ルーカス・フラデツキー(フィンランド/GK)
グループステージを終えて、最も悔しい思いをしているのがフィンランドだろう。彼らはグループBで3位に入り、最後の最後まで決勝トーナメント進出に望みをつないでいた。だが、各グループ3位のなかで5番目の成績に終わり、上位4カ国に与えられる決勝トーナメントへの切符をつかめなかった。
それでも、国際主要大会初出場のフィンランドは、初戦のデンマーク代表戦で勝ち点3を手に入れた。クリスティアン・エリクセンのアクシデントがあった後では、素直には喜べないかもしれないが、“弱小国”のレッテルを貼られてきた彼らにとっては歴史的勝利に違いない。
殊勲の決勝点を叩き込んだのは、ヨエル・ポーヤンパロ。だが、23本ものシュートを跳ね返した守護神フラデツキーこそ勝利の立役者と言える。
勝敗の分岐点となったPKの場面では、彼の勘が冴えわたった。普段は相手のPKキッカーについてリサーチしているようだが、この時はエリクセンが不在。代わりにキッカーを務めたピエール・エミール・ホイビュルクの情報はなかったという。だから咄嗟の判断と身のこなしでボールをキャッチしたそうだ。勝利を実感するまでに数日はかかったそうだが、彼のファインプレーが大きな1勝を呼び込んだ。
(記事/Footmedia)
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