今季途中まではスタッド・ランスを率いていたウィル・スティル氏 [写真]=Icon Sport via Getty Images
RCランスは10日、同クラブトップチームの新監督にウィル・スティル氏が就任することを発表した。契約期間は2027年6月30日までの3年間と伝えられている。
スティル監督は1992年10月14日生まれの現在31歳。10代後半から指導者としての道を歩み始めるという、非常に稀有なキャリアを誇る若き指揮官だ。シント・トロイデンやスタンダール・リエージュなど、母国ベルギーのクラブでアナリスト、スカウト、コーチなどを務めた後、2021年1月にはジュピラー・プロ・リーグ(ベルギー1部リーグ)史上最年少となる28歳でベールスホット(現2部)の監督に就任した経歴を持つ。
2021年夏にはスタッド・ランスのアシスタントコーチに就任。シーズン途中には古巣のスタンダール・リエージュへアシスタントコーチとして“復帰”し、翌2022年夏には今度はスタッド・ランスへ出戻り。同年10月にオスカル・ガルシア監督が成績不振で解任されたことに伴い、暫定監督を経て監督へ昇格。当時、スティル監督はUEFA(欧州サッカー連盟)のプロライセンスを保持してなかったにもかかわらず、その手腕が高く評価されたことで、クラブは毎試合罰金を払うことを受け入れてまで同監督にチームを託した。
当時のチームはリーグ・アン開幕10試合で1勝5分4敗と低迷していたものの、スティル監督の就任以降はクラブ記録となる19試合無敗を達成するなど、立て直しに成功。“スティル政権”では11勝10分7敗という成績を残し、11位でシーズンを終えた。
就任2年目となる2023-24シーズン、日本代表MF伊東純也とMF中村敬斗を擁するチームは、序盤戦こそ欧州カップ戦出場権を争える位置につけていたが、徐々に勝ち点を落としていく。それでも、2022-23シーズンと同じようなペースで勝ち点を積み上げることには成功。そんななか迎えた5月2日、スタッド・ランスはスティル監督が来季の契約を延長しないことで合意したと明かし、来季に向けたクラブの準備のため、同日付けでスティル監督と弟のニコラ・スティルアシスタントコーチがクラブを離れることを発表していた。
そんなスティル監督の新天地は、RCランスに決定。2022-23シーズンのリーグ・アンを2位で終えたRCランスは、2023-24シーズンは実に21シーズンぶりとなるチャンピオンズリーグ(CL)へ出場。欧州コンペティションと並行して国内の戦いに臨んだが、過密日程の影響もあり、最終的には14勝9分11敗の勝ち点「51」で7位フィニッシュ。シーズン終了後には、2部に低迷していたクラブをおよそ2年半でCLへ導いたフランク・エズ監督の退任が決定しており、同監督はニースへ向かうことが決まっている。
スティル監督の就任受けて、RCランスのゼネラルディレクターを務めるピエール・ドレオッシ氏がコメントを発表。次のような言葉で、スティル新監督に期待を寄せた。
「ウィル・スティルがRCランスに加入したことを非常にうれしく思う。ウィルが監督のポジションに就き、このクラブの新しいサイクルをスタートさせることは、我々にとっての最優先事項だった。ウィルは最年少記録を塗り替えた有望な監督であるだけでなく、勝利に執着心を持ち、組織を団結させられるような人格者でもある」
「真の意味での情熱を持ち合わせ、勝利至上主義者かつ優れた戦術家でもあるウィルは、スタッド・ランスにその足跡を残し、19試合無敗というクラブ歴史的な記録を成し遂げるなど、実に説得力のある結果を残してきた。我々は、ウィルという人間をこのクラブに迎え入れら得ること、彼のリーダーシップや熱狂的なエネルギーを『スタッド・フェリックス・ボラール』(ホームスタジアム)で発揮してもらえることを、非常に喜ばしく思っている」
By サッカーキング編集部
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