コーナーフラッグ付近で副審に抗議するグアルディオラ監督 [写真]=Bongarts/Getty Images
文=鈴木智貴
かつてFIFA(国際サッカー連盟)が定める国際審判員として1998年及び2002年のワールドカップ、2004年欧州選手権、UEFAチャンピオンズリーグなど数々のビッグマッチで笛を吹き、現在はドイツ第2国営放送局(ZDF)のサッカー解説を務めているスイス人ウルス・マイアー氏が、バイエルンのジョゼップ・グアルディオラ監督を批判した。
マイアー氏はドイツの専門誌『フォーカス』に寄稿したコラムの中で、「グアルディオラにとってラインは関係ないようだ。彼はほぼ例外なく、コーチングするためのテクニカルエリアから出ていく。そしてコーナーフラッグ付近にも現れた。審判にあつかましく要求することなど、本当にばかげたことだ」と述べている。
同氏が指摘するのは、3日に行われたバイエルン対シャルケの一戦でのことだ。
66分、ロベルト・レヴァンドフスキのシュートが内田篤人の足に当たってコースが変わり、GKティモン・ヴェレンロイターも防ぎきれずシャルケのゴールネットを揺らした。しかし、その前にボールがラインを割っていたとしてゴールは取り消しとなったが、グアルディオラ監督はコーナーフラッグの脇に立っていたマルクス・ヘッカー副審のところまで行き猛抗議。判定が覆らないと分かった後は同副審に握手を求めていた。
さらにこの直後の67分、CKからアリエン・ロッベンがヘディングゴールを決めた時には、近くにいた第4審判に抱き着き、喜びを露わに。グアルディオラ監督がしたこれら一連の審判団への行動は観衆の笑いを誘うなど、一見微笑ましいものではあった。
しかしマイアー氏は自身のコラムの中でこう続けている。
「彼は全てが許されるとでも思っているのだろう。彼のああいう行動はレフェリーの権威を地に落とし、笑いものにするだけだ。リスペクトに欠けているね。ルールブックに則り、すぐにスタンドへの退場を命じなければならない」
すでに昨年10月、グアルディオラ監督はブンデスリーガ唯一の女性レフェリー、ビビアナ・シュタインハウス氏が第4審判を務めていた時にも、同氏に近寄り肩に手をかけながら抗議をするなど、(決して悪意はないのだろうが)審判に対する行動がいささか度を過ぎているとして批判を受けていた。
感情を露わにしたオーバーアクションが売りのグアルディオラ監督。それが見られなくなるのは寂しい気もするが、果たして彼が自身の行動を改める日はやって来るのだろうか?
By 鈴木智貴