CL準々決勝第2戦のポルト戦で先発したバイエルンの選手 [写真]=Getty Images
文=鈴木智貴
26日、首位を勝ち点15差で追っていたヴォルフスブルクの敗戦が決まると同時に、ドイツ最大のメガクラブ、FCバイエルン・ミュンヘンの2014-15シーズン優勝も決定した。
ブンデスリーガ史上最速での戴冠記録を作り上げた昨シーズン、一昨シーズンと比較すれば若干の遅れはあったものの、第30節での優勝決定は史上3番目のスピード。第5節以降1度も首位の座を明け渡さなかった彼らの独走ぶりは、“圧巻”という言葉以外に適した表現が見当たらない。
しかし、ジョゼップ・グアルディオラ監督も昨シーズンのやり方を単に踏襲するだけではなかった。
昨夏、バイエルンはクロアチア代表FWマリオ・マンジュキッチとドイツ代表MFトニ・クロースという、これまでのタイトル獲得に多大な貢献を残してきた主力2名を放出したが、その代わりにポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキ、元スペイン代表MFシャビ・アロンソ、スペイン代表DFフアン・ベルナト、モロッコ代表DFメディ・ベナティア、MFセバスティアン・ローデら実力者を補強。
指揮官はこの新戦力を用い、これまでのバイエルンではあまり見られなかった3バックやアンカーを導入し、オランダ代表MFアリエン・ロッベンや元フランス代表MFフランク・リベリーなど“飛び道具”的な選手がいない場合のオプションを見つけ、戦術のフレキシブルさをチームに植えつけていった。
そうは言っても、ただ大金を支払い、他所のクラブから能力の高い選手を獲得してくるだけで良いチームが作れるかと言えば、そうではない。
例えば、近年バイエルンとドイツの覇権を争う日本代表MF香川真司のドルトムントは、開幕前における補強と放出の収支がマイナス5100万ユーロ(約65億円)。しかし、そのうちレギュラーとして扱われているのは香川くらいで、イタリア代表FWチーロ・インモービレやコロンビア代表FWアドリアン・ラモスなどは、今シーズン終了後に早くもドルトムントを去りそうな勢いである。夏の収支バランスで黒字を計上しながら、新たに加わった選手のほぼ全員が即座にフィットしたバイエルンとは、極めて対照的だ。
ブンデスリーガ創設から52シーズンが経過し、その約半分にあたる25回目のリーグ優勝を果たしたバイエルン。ドイツメディアから「彼らの存在がリーグの成長を妨げてしまうのでは?」という心配の声が聞こえてくるほど際立つその強さは、果たして来シーズンどのように変化していくのだろうか。
By 鈴木智貴