HSV戦で重傷を負い運びだされるマインツMFソト [写真]=Bongarts/Getty Images
日本代表FW岡崎慎司の所属するマインツが、3日に行われたブンデスリーガ第31節、ハンブルガーSVとの試合中に重傷を負った元コロンビア代表MFエルキン・ソトに対し、1年の契約延長オファーを出すことを決めた。
同選手は、両チーム無得点で迎えた前半32分に、シュートを撃とうとしたところでオランダ代表ラファエル・ファン・デル・ファールトと接触。そのまま倒れ込み、担架で運び出された。すぐに市内の大学病院に搬送され、左ひざの前十字じん帯と内側じん帯の断裂に加え、半月板損傷と診断されている。
2007年からマインツでプレーするソトは、35歳を迎えるこの夏にマインツとの契約が満了する。退団後は、家族とともに母国に戻り、キャリアをスタートさせたクラブでプレーすることがほぼ決まっていた。だが、選手生命にも関わりかねない今回の負傷を受け、マインツのマネージャーを務めるクリスチャン・ハイデル氏は即座に「我々は彼を放っておくようなことはしない。彼は、すぐにでも1年の契約延長にサインができる。今すぐに」と明言。ソトの今後を支えるために、瞬時に大きな判断を下し、これ以上ない救いの手を差し伸べることを決めた。
この試合でマインツは1-2で敗れたが、関係者は心ここにあらずの状態だったようだ。ドイツの各メディアは、マインツとソトの強い絆を取り上げる中で、マインツ関係者のショックが大きく、もはや試合どころではなかったことも伝えている。
「長いことこの世界にいるが、あんなひざは見たことがない。ひざがあるべき場所になかった。その後に起きたことは、それに比べばどうでもいいことだった。誰もが同じ思いでいた」(ハイデル氏)
「これほど長い間マインツのために身を粉にしてくれた選手が、こんなことになるなんて。こんな別れ方になってしまうのは…ひどい」(MFヨハネス・ガイス)
「もちろん我々選手たちは、そのシーンを何とか忘れようとした。でも、できなかった」(GKロリス・カリウス)
試合後の会見で、所見が伝えられると、マルティン・シュミット監督はゆがめた顔を手で覆い、HSVのブルーノ・ラッバディア監督もぼう然とした。シュミット監督は「これがキャリア最後の試合にならないことを願う」と声を絞り出した。
地元紙『Allgemeine Zeitung』によると、謝罪したファン・デル・ファールトに対し、ハイデル氏が責めるようなことはなく、このプレーでフリーキックを与えなかったレフリーだけを批判したという。
試合後、「できるだけ早く病院に行きたい」と話していたハイデル氏。同紙は、さっそく4日にソトを見舞ったハイデル氏の「エルキンはだいぶ落ち着いていた。強い痛みもかなり治まったようだ」とのコメントを伝えている。
ソトは専門病院へと移った後、数年前に十字靭帯を断裂した際に手術を担当した医師のもと、手術を受ける見込みとなっている。