新たな遺恨…ハンドを巡りバイエルンとドルトムント、宿敵同士の舌戦続く

グアルディオラ

ドルトムント戦でハンドをアピールするグアルディオラ監督 [写真]=Anadolu Agency/Getty Images

文=鈴木智貴

 4月28日、DFBポカール準決勝が行われ、日本代表MF香川真司が所属するドルトムントはPK戦の末に宿敵バイエルンを破り、ここ5シーズンで3度目となる決勝進出を決めた。しかし、試合後の興奮冷めやらぬ状態から始まってしまった両クラブの舌戦は、今もなお続いている。

 発端は、バイエルン側から出た審判の判定に対する批判だ。

 ドルトムントのDFマルセル・シュメルツァーがペナルティエリア内でハンドを犯したように見えたシーンについて、カール・ハインツ・ルンメニゲ社長は「主審には眼鏡屋へ行くことを勧める」と、試合後にコメントしていたが、これを聞いたドルトムント前主将であるセバスティアン・ケールが真っ向から反論。「彼らは僕らに負けると、いつも決まって『レフェリーのせいだ』と言う。けれど、そんなことよりも彼らはもっとPKの練習をしたほうがいいんじゃないのかな?」と、フィリップ・ラームに始まり、シャビ・アロンソ、マリオ・ゲッツェ、マヌエル・ノイアーと4人のキッカー全員がPKを外したバイエルンに対し、皮肉たっぷりに応戦している。

 普段は場外乱闘に加わらないジョゼップ・グアルディオラ監督も、さすがにそこまで言われては黙っておけなかったようだ。

 ブンデスリーガ第31節レヴァークーゼン戦に向けた会見を実施した5月1日、指揮官は「私からケールへの助言は次の通りだ。もし勝ち点が35(※実際は37ポイント差)も後ろにいるのなら、多くを話さないほうが良い。そのほうがよっぽどベターだ」と、唇に右手の人差し指を当てる仕草を見せながら話し、さらに「私はバイエルンの監督としてドルトムントに2、3回負けたことがあるが、これまで1度たりとも周囲のせいにしたことはない。それをケールは知っておくべきだ」と、まくし立てている。

 さて、次にリングへ上がったのはドルトムントのミヒャエル・ツォルクSDだ。

 ドイツ紙『ビルト』の取材に対し「ケールは誰かを嘲笑したかったのではなく、ただ単に気持ちが高揚しすぎていただけだろう。彼はバイエルンの選手に対して大きなリスペクトを持っている。それは確かだ」と擁護した一方で、「我々はこれまで何回か決勝で負けてきたが、公に審判の判定を批判したことはなかった」と、2013年のチャンピオンズリーグと2014年のDFBポカールの2度、決勝でバイエルンと対戦したことを引き合いに出し、当時「どんな程度であれ、審判を晒し者にするような行為に対して私は我慢ができない」と話していたルンメニゲ社長に、釘を刺している。

 ゲッツェやロベルト・レヴァンドフスキの獲得をめぐり、昨年の今頃はかつてないほどの緊張状態にあったドルトムントとバイエルン。今回生まれた火花は、雪解けムードになりつつあった両クラブにとって新たな遺恨となりそうだ。

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